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息子の免許取得後、保険料が『2倍以上』に。車体はボロボロ…50代男性の悲痛な後悔「セダン、失敗だったかも…」

  • 2026.1.21

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

子育てが一段落し、自分へのご褒美として念願のセダンを購入したAさん(50代男性)。しかし、その満足感は息子の免許取得とともに、少しずつ悩みへと変わっていきました。

「ガリッ」という不快な音とともに刻まれる傷、Webで確認して愕然とした保険料、そして家計から消えていく修理費。Aさんの体験談を通じて見えてきた、親子で車を共有することの落とし穴と、車選びの新たな視点について考えます。

やっと手に入れた「大人の隠れ家」。完璧なはずの愛車ライフ

仕事も家庭もようやく落ち着きを見せ始め、50代を迎えたAさんが選んだのは、以前から憧れていた、少し背伸びをしたセダンでした。

週末の早朝、誰にも邪魔されずに丁寧に洗車をし、艶やかなボディラインを眺める時間は、Aさんにとって至福のひとときです。彼にとってこの車は、単なる移動手段ではありませんでした。長年家族のために働いてきた自分への勲章であり、一人の男としての時間を楽しめる「大人の隠れ家」のような存在だったといいます。

ハンドルを握れば、滑らかな加速と静粛性に包まれ、日々の喧騒を忘れさせてくれる。そんな完璧なカーライフが、これからもずっと続いていくものだと信じて疑いませんでした。

しかし、その平穏な日々は、大学生の息子さんが免許を取得したことを境に、少しずつ変化していきます。

「父さん、今度の週末、車貸してくれない?」

息子さんの成長を頼もしく思う反面、その言葉は、Aさんが抱えることになる新たな悩みの入り口でもありました。

1回目の「ガリッ」。全年齢補償への変更シミュレーションで言葉を失う

息子さんが運転に慣れ始めた頃、それは起こりました。

「ごめん、ちょっと擦っちゃった…」

帰宅した息子さんから告げられたのは、あまり聞きたくなかった報告でした。駐車場へ降りて確認すると、左フロントバンパーに白く痛々しい擦り傷が走っています。

「まあ、初心者だし、最初はこんなこともあるさ」

Aさんは息子さんを萎縮させないよう、努めて明るく振る舞いましたが、内心では「あんなに綺麗だったのに…」と、ショックを隠しきれなかったそうです。

修理の見積もりを取ると、板金塗装で数万円という金額。手痛い出費ですが、ここでAさんはふと重要なことに気がつきました。

「そういえば、今の保険契約で、息子の運転は補償されるんだったか?」

これまでAさんと奥様だけが運転するため、年齢条件は「30歳以上補償」にしていました。しかし、20歳以下の息子さんが運転するには、これを「全年齢補償(年齢条件なし)」へと変更しなければなりません。

Aさんはすぐにスマートフォンを取り出し、保険会社のマイページから条件変更のシミュレーションを行いました。画面に表示された変更後の保険料を見た瞬間、Aさんは思わず二度見してしまったといいます。これまでの保険料の倍以上の、信じがたい金額へ跳ね上がったのです。

「子どもが運転するようになると保険料が上がる」とは聞いていたAさんですが、まさかこれほど家計にインパクトを与えるものだとは、想像していなかったようです。

2回目、3回目…。積み重なる傷と「家計持ち出し」の複雑な心境

大幅にアップした保険料を受け入れ、「これで万が一の時も安心だ」と自分に言い聞かせて、Aさんは息子さんに鍵を渡す日々を続けました。

ところが、トラブルは一度では終わりません。免許を取りたての息子さんにとって、車幅感覚の掴みにくいセダンの長いノーズや後方の視認性は、少々ハードルが高かったのかもしれません。

狭い路地でのすれ違いでサイドミラーを擦り、ショッピングモールの駐車場ではポールの位置を見誤る。大きな事故こそないものの、小さな「ガリッ」「ゴリッ」が繰り返されるたびに、Aさんの愛車は少しずつ“無惨な姿”へと変わっていきました。

ここでさらにAさんを悩ませたのが、「修理費をどうするか」という問題です。数万円から十数万円程度の修理に毎回保険を使っていたのでは、翌年の等級が下がり、ただでさえ高額になった保険料がさらに跳ね上がってしまいます。

結局、等級ダウンを避けるために選んだのは「自費修理」でした。しかし、その出費はAさんの小遣い程度で賄えるものではありません。やむなく家計から修理代を捻出することになるのですが、その時の奥様の視線は冷ややかだったといいます。

「またやったの?あなたがどうしてもって、あんな大きな車を買うから…」

奥様の言葉に反論できないAさん。自分の趣味で選んだ車が、結果として家計を圧迫し、家族の負担になっている現実に、Aさんは複雑な思いを抱くようになりました。

「この車、失敗だったかも…」親の趣味か、家族の実用か

ある夜、ガレージで傷ついた愛車を眺めながら、Aさんはある事実に気づいたそうです。

「初心者の息子と共有するには、この車は高級すぎたし、大きすぎたのかもしれない」

Aさんが求めていたのは、所有欲を満たす「趣味の車」でした。一方で、今この家に必要だったのは、初心者が気兼ねなく運転技術を磨ける「練習のための道具」だったのです。

親の満足感や見栄と、初心者の運転しやすさという実用性。このミスマッチこそが、積み重なる修理費と、Aさんの精神的な消耗を生んでいた正体だったのかもしれません。

もし、これがコンパクトカーや、もう少し取り回しの良い中古車だったなら、息子さんもこれほどプレッシャーを感じずに運転できたかもしれません。そして、万が一擦ったとしても、Aさんもこれほど心を痛めずに済んだはずです。

子どもの免許取得は「車選び」の分岐点。Aさんの事例から学ぶこと

結局、Aさんは度重なる修理に疲弊し、いくつかの傷は「これも家族の歴史だ」と割り切って、修理せずにそのまま乗り続けることに決めたそうです。ピカピカだったあの頃の輝きはありませんが、息子さんが一人前に運転できるようになるまでの「高い授業料」だと受け入れているといいます。

これからお子さんが免許を取得される予定の皆さん、あるいは車の買い替えを検討されている同世代の皆さんは、このAさんの事例をひとつの判断材料にしてみてはいかがでしょうか。

子どもの免許取得は、車選びの基準をガラリと変えるべき大きな分岐点と言えるかもしれません。

もし、お子さんと車を共有する予定があるのなら、購入前に必ずWebサイトなどで「全年齢補償」にした場合の保険料をシミュレーションしてみることをお勧めします。その金額は、車種選びの予算を再考させるほどの影響力を持っている場合があるからです。

そして何より、「誰が運転するのか」を冷静に想像してみることが大切です。ご自身の「乗りたい」という気持ちと、家族の「使いやすさ」のバランスをどう取るか。

初心者マークをつけたお子さんがハンドルを握る姿をイメージしてみることで、選ぶべきボディサイズや車種はおのずと変わってくるのではないでしょうか。



ライター:根岸 昌輝
自動車メーカーおよび自動車サブスク系ITベンチャーで、エンジニアリング、マーケティング、商品導入に携わった経験を持つ。
現在は自動車関連のライターとして活動し、新車、技術解説、モデル比較、業界動向分析など、業界経験に基づいた視点での解説を行っている。


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