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処方された薬が多くて「全部飲むのが面倒」…自己判断で一部の薬を服用しなかったらどんなリスク?薬剤師に聞く

  • 2025.12.21

医療機関を受診したときに、一度に数種類の薬を出されたことはありませんか。「風邪の症状なのにこんなに?」「一度に飲んでよいのかな?」と気になったことがある人も多いと思います。もし複数の薬を処方された際、すべての薬を飲むのが面倒だからと服用を避けた薬があった場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。数種類の薬が処方される理由と、より安全な飲み方などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。

副作用が出る可能性

処方薬の一部を飲まなかった場合のリスクとは?(画像はイメージ)
処方薬の一部を飲まなかった場合のリスクとは?(画像はイメージ)

Q.医療機関で症状によっては粉薬、錠剤、水薬など、複数の種類の薬を一度に処方されることがありますが、なぜなのでしょうか。

真部さん「病気の症状や原因は一つではなく、発熱やせき、鼻水などいくつもの症状が同時に出ることがあります。処方薬は基本的に1つの薬に1つの成分が含まれているので、症状に対応した薬を組み合わせて出します。例えば、たんが絡むせきと鼻水で受診した場合、『去痰薬』『せき止め』『抗ヒスタミン薬』の3種類が出されます。少し熱があるという場合には、『解熱鎮痛剤』を合わせて4種類になります。

処方薬はとても効果があるので、副作用を減らす意味でも1つに1つの成分としていますが、薬の効果を補ったり副作用を抑えたりするために一剤増やすこともあります。解熱鎮痛剤で胃が荒れないように胃薬を出すといったケースです」

Q.一度に複数の種類の薬を飲んでも本当に問題ないのでしょうか。

真部さん「必要があれば、複数の薬を一度に飲むことは可能です。医師や薬剤師は、処方の段階で『一度に飲んでも安全か?』『一度に飲んでも効果に影響しないか?』を確認しているので、処方通りに飲んでいただいて問題ありません。

ただし、他の薬との飲み合わせや相互作用に注意が必要となります。例えば、効果が薄くなったり、逆に強くなったり、また、副作用が増える場合があります。そのため、自己判断で薬を追加することは危険ですし、やめていただきたいと思います。特に市販薬には成分が重なっていることが多いので、購入の際は必ず薬剤師に相談していただきたいと思います」

Q.もし複数の薬を処方された際、すべての薬を飲むのが面倒だからと服用を避けた薬があった場合、どのようなデメリットが生じる可能性がありますか。

真部さん「『薬がなくても大丈夫そう』と自己判断してしまうと、複数の薬による効果が弱まったり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。

複数の薬を処方された場合、それには意味があるので、自己判断は危険だと思います。例えば、抗生物質と整腸剤について、抗生物質を飲むと一時的におなかの『よい菌』もやっつけてしまうので、どうしてもおなかが緩くなってしまいます。特に元々、おなかが緩めの人であれば下痢が続いてしまうので、整腸剤が出されるわけです。

抗生物質については、体調がよくなったからと勝手にやめてしまうと耐性菌の問題が出てくるため、決められた期間きちんと飲み切ってくださいね。また、解熱鎮痛剤は胃の粘膜を痛めてしまうので、副作用の予防として胃薬が出されます。

セットで使うことで効果を発揮する薬として、今回は『去痰薬』を例にご紹介しますね。ひどくたんが絡んでせきが出るとき、せき止め以外に去痰薬が複数出ることがあります。去痰薬は『気道粘液の分泌を促進する』『たんをやわらかくする』『気道の繊毛運動を活発にする』など、たんを出しやすくする複数の作用を組み合わせて、効果を高めるために処方されます。

たんの排出に多目的にアプローチをして、より症状の改善を効果的に行うことを目的にしています。服用を避けてしまうと、せっかくの効果が十分発揮されなくなるので注意しましょう。もし複数の薬を飲むことが不安でしたら、薬をもらう際に薬剤師に確認してみてくださいね」

* * *

複数の薬が処方されるのには理由があり、一部の薬の服用をやめてしまうと、複数の薬による効果を受けられなくなってしまうということです。もし複数の薬を一度に飲むのに不安がある場合は、薬剤師や医師に相談してみてはいかがでしょうか。

オトナンサー編集部

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