1. トップ
  2. 『海沿い』のタワマン高層階なのに…“窓を開けない”40代女性→一級建築士が目の当たりにした“思わぬ大誤算”

『海沿い』のタワマン高層階なのに…“窓を開けない”40代女性→一級建築士が目の当たりにした“思わぬ大誤算”

  • 2026.1.30
undefined
出典元:ChatGPTにて作成(イメージ)

「景色がいいから、窓を開けて心地よい風を感じる暮らしがしたかったんです」

そう話すのは、海沿いのタワマン高層階に住み替えたKさん(40代女性)。

内見の際は非常に静かで、窓の向こうに広がるパノラマ眺望に心が躍りました。ところが、入居後に最初の違和感は“窓を開けた瞬間”にやってきます。

風が通り抜けるというより、室内に叩きつけてくる。開放感への期待が、一瞬で「落ち着かなさ」に変わってしまったのです。

強風が「暮らし」を乱す大誤算

高層階は地上より風が強いのは当然と思われがちですが、実はその勢いを決定づけるのは「周囲の立地条件」です。単に高さだけの問題ではなく、以下のような環境では風のトラブルがより深刻化しやすくなります。

  • 遮るもののない「開放地」 海沿いや川沿い、あるいは広大な公園に隣接しているような立地は、風を遮る建物がないため、強風がダイレクトに窓を叩きつけます。
  • ビル風が発生しやすい「都市部」 周囲に高いビルが立ち並んでいる場合、ビルにぶつかった風が加速して吹き抜ける「ビル風」や、狭い隙間を通り抜ける「街路風」が発生し、特定の方向にだけ猛烈な風が吹き込むことがあります。

Kさん宅で起きた大誤算は、まさにこの「立地によって増幅された風の凶暴化」でした。

「窓を開けて換気をする」という当たり前の日常が、タワマンでは時として大きなストレスになります。

機械換気に頼り切る「運用の難しさ」とは?

窓を自由に開けられないとなると、頼みの綱は24時間換気システムやレンジフードなどの「機械換気」です。

しかし、ここでも後悔の声は上がります。

●においがこもる
給気口の位置や換気量が、実際の生活動線と噛み合っていないことが主な原因です。空気の「入り口」と「出口」のルート上ににおいの発生源がないと、空気はうまく入れ替わりません。

●冬場の乾燥がつらい
タワマンの換気能力は非常に高いため、冬場はせっかく加湿器を回しても、潤った空気がどんどん外へ逃げてしまいます。

●局所的な結露
「高層階は結露しない」と思われがちですが、加湿器の使用中に給気口から冷たい外気が入り込むと、その付近のサッシ周りだけが急激に冷やされ、結露が発生しやすくなります。

「高層階=空気がきれいで常に快適」と期待しがちですが、実際には高度な設備の「設定と使いこなし」によって室内環境が左右されます。このギャップが、住み始めてからの失敗感を強める要因になります。

購入・入居前に確認すべき「3つの防衛策」

タワマンの住み心地は、間取り図よりも「設備と環境条件」に支配されます。検討中の方は、以下のポイントをチェックしてみてください。

1. 地図で「風の通り道」を予測する
海沿いや広い公園の隣など、遮蔽物のない立地は風が直撃します。また、周囲のビルとの隙間が「ビル風の通り道」になっていないかも要確認です。

2. 給気口と「家具レイアウト」を照合する
24時間換気の給気口が、ベッドの頭元やソファの真後ろにないか図面で確認しましょう。冬場、そこから入り込む冷気が不快なドラフト(冷風)や結露の原因になります。

3. サッシの「気密性」を現地で試す
内見時は窓を閉め切り、隙間風の音がしないかをチェックします。サッシの精度が低いと、室内の気流が安定しません。

タワマンは“窓を閉めても満足できるか”で決まる

タワマンの魅力は、単なる景色だけでは完成しません。強風や音、換気のクセを正しく理解し、それを受け止められて初めて「高層の快適さ」が手に入ります。

眺望を買ったはずが、窓を閉め切ってストレスを抱えて暮らすことになっては本末転倒です。景色という「静止画」だけでなく、風や音という「環境」まで含めて見極めること。それが、空に近い暮らしを最高のものにするための近道です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】