1. トップ
  2. 新築2年目なのに「立っていられない」冬限定で…30代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【一級建築士は見た】

新築2年目なのに「立っていられない」冬限定で…30代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.29
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

「エアコンはしっかり効いているはずなのに、床が冷たくて立っていられません。冬は家の中でも厚手のスリッパが手放せなくて……」

そう語るのは、新築2年目のBさん(30代主婦・夫婦+子ども1人の3人家族)。

間取りも外観も理想通りで気に入っていたはずなのに、冬になるとやってくる“底冷え”が想像以上につらく、朝は床に足をつけた瞬間に目が覚めてしまうほど。

快適なはずの新築マイホームが、冬の間だけは「足元が凍える家」になっていました。

失敗の正体は「断熱」の落とし穴

床は室内で最も体に触れる面積が大きく、かつ熱を奪われやすい場所です。

たとえ室温(空気)が暖かくても、床そのものが冷たいと、人間の体感温度は一気に「寒い家」へと引きずり込まれます。

Bさん宅では、標準的な合板フローリングを選び、床下の断熱も一般的な仕様のままでした。すると冬場は床下空間が外気の影響で冷え込み、床材がまるで“冷やされた板”のような状態に。

暖房を強めても床面の温度が上がらず、光熱費だけがかさんでいくという、典型的な「底冷えの落とし穴」にはまっていたのです。

「床断熱」か「基礎断熱」か、その選択が分かれ道

ここで家づくりにおいて知っておきたいのが、「床断熱」と「基礎断熱」という考え方の違いです。

●床断熱
一般的な戸建てに多く、床板のすぐ裏側に断熱材を敷き詰める方式です。施工しやすくコストも抑えられますが、床下空間が外気に近いため、どうしても足元に冷えを感じやすくなる側面があります。

●基礎断熱
基礎の立ち上がり部分を断熱材で覆い、床下を室内と同じような環境に保つ方式です。床下の冷え込みが抑えられるため、底冷え対策として非常に効果的です。

ただし、基礎断熱は湿気対策など、高度な設計・施工精度が求められます。検討する際は、精通した工務店やハウスメーカーを選ぶことが重要です。

対策は“設備を足す前”が勝負

底冷えを感じたとき、安易に暖房設備を増やすと「光熱費の沼」に陥ります。まずは以下の順番で対策を検討してください。

1.「触れる冷たさ」を遮断する
ラグやマットを敷き、床の冷たさが直接足に伝わらないようにします。

2. 「冷気の入口」を塞ぐ
玄関、勝手口、床下点検口などの隙間をチェックし、気流を止めます。ここを改善するだけで、体感温度が変わることもあります。

3. 断熱の強化を検討する
それでも解決しない場合は、床下断熱の追加や、窓を二重にする(内窓の設置)などのリフォームを検討し、熱が逃げる元を断ちます。

その上で、どうしても必要であれば床暖房などの設備を検討するのが最も効率的です。

室温より「床の温度」が暮らしの質を決める

Bさんは「新築なのに、冬が来るのが憂鬱になるのがショックでした」と語っていました。

冬の快適さは、単にエアコンの性能だけで決まるものではありません。床、窓、隙間といった“冷えやすい場所”をどう設計するかが、暮らしの満足度を左右します。

これから家づくりを始めるなら、「わが家の暮らしには床断熱と基礎断熱、どちらが合っているか」まで踏み込んで検討してみてください。そこが、後悔のない「本当に暖かい家」をつくる分かれ道になります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】