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新築なのに「生乾きのような湿っぽさ…」冬になると、30代女性を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「暖房を使い始めると、部屋の空気が一気に重たく感じて、独特のにおいが残るんです。料理のにおいも、生乾きのような湿っぽさも抜けなくて……」

そう語るのは、共働きで子ども2人のFさん(30代女性)です。

新築の“高気密高断熱”住宅で、夏は快適だったものの、冬は窓を開ける機会が減り、家の中のにおいが目立つようになったといいます。

来客のたびに慌てて消臭剤を置くのがストレスになっていました。

なぜ冬に「におい」が抜けにくくなるのか

冬は寒さのため窓開け換気が減り、空気の入れ換えを「24時間換気システム」に頼り切ることになります。ここで換気計画がうまく機能していないと、においの出口が足りず、汚れた空気が家の中に滞留してしまいます。

特に起きやすいのが、家全体の「換気バランス」が崩れているケースです。給気(入り口)と排気(出口)のルートが噛み合っていないと、においを含んだ空気がスムーズに流れません。

また、冬場にレンジフードを「強」で回すと、室内の空気が足りなくなり、別の場所(排水口や他の換気口など)から空気が引っ張られて“逆流のような動き”が起き、余計なにおいを呼び込むこともあります。

さらに、室内干しの定着も冬特有の事情です。洗濯物の湿気やにおいが、脱衣室や廊下、ウォークインクローゼット(WIC)に溜まり、加湿器の水分と混ざり合って「空気の重さ(こもり感)」を強める要因になります。

まず確認したい「量」と「経路」

対策の第一歩は、換気を「動いているか」ではなく、「どこから入り、どこへ抜けるか」で見ることです。

リビングに給気口があるのに、においが溜まりやすい脱衣室やWICに排気(吸い込み口)がないと、そこが“においの袋小路”になりがちです。

また、冬は外からの冷気を嫌って24時間換気を弱めたり、止めてしまったりする方がいますが、におい対策の面では逆効果です。新鮮な空気が入らないことで、家の中の汚れは一気に濃縮されてしまいます。

今日からできる改善策

大掛かりな工事をしなくても、改善できることはあります。

●24時間換気の「点検・清掃」
フィルターが埃で詰まっていませんか?まずは連続運転を前提に、通り道をきれいにしましょう。

●局所換気の「併用」
料理中や室内干しの際、においが強いと感じる時だけ、浴室やキッチンの換気扇を「強」で追加運転する習慣をつけましょう。

●サーキュレーターで「空気を回す」
WICや脱衣室など、空気が淀みやすい場所に向けて風を送る。これだけで滞留が減り、体感温度も整いやすくなります。

冬のにおいは「換気計画の弱点」が見えるサイン

冬に出る「こもる」「残る」「抜けにくい」といった感覚は、住まいが発している重要なサインです。換気は“設備が付いているか”ではなく、“量と経路が生活に合っているか”で決まります。

においが気になり始めたら、運用の見直しと空気の流れの確認から始めること。それが、冬の暮らしを健やかにする近道です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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