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新築2年目で「乾燥で喉が痛い、加湿すると結露が…」30代夫婦を襲った“大誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.19
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「冬の朝、起きた瞬間から喉がヒリヒリする。顔も手もカサついて、クリームが手放せないんです」

そう語るのは、新築2年目のAさん(30代/夫婦+子ども1人の3人暮らし)。

床暖房とエアコンを併用できる「冬に強い家」のはずでしたが、乾燥で体調を崩しがちになり、「快適装備が裏目に出ました」と肩を落とします。

“乾燥対策”のつもりが結露を招く大誤算

Aさん宅は、朝は床暖房、日中はエアコン、夜は両方を弱めに運転していました。すると空気が乾き、静電気が頻発。子どもも「痛い」と言うようになり、寝室でも咳き込みが増えました。

そこで加湿器を強めに回したところ、今度は窓の下やサッシ周りが濡れて水滴がつく。乾燥がつらいのに、加湿すると結露が出る――これが冬の大誤算でした。

この家で“乾燥対策が裏目に出た”3つのポイント

理由は主に3つです。

1. 窓が“冷たい場所”になっている
冬は窓がいちばん冷えやすい部分です。窓が大きい家、サッシが一般的なタイプの家、北側や角部屋で外気の影響を受けやすい家ほど、窓の表面温度が下がります。すると、室内の暖かく湿った空気がその冷たい窓に触れることで、空気中の水分(水蒸気)が冷やされて水滴(結露)になります。

2. 換気で“湿気が外に逃げる”のに、窓だけは濡れる
24時間換気は、空気を入れ替える仕組みなので、湿気も一緒に外へ出ていきます。つまり、加湿しても部屋全体の湿度は上がりにくい。ところが窓だけは冷たいので、少し増えた湿気が“窓にだけ集まって”結露が出ます。「乾燥しているのに、窓だけ濡れる」状態が起きやすいのはこれが原因です。

3. 暖房+加湿で“空気の流れ”が読みにくくなる
床暖房はゆっくり暖め、エアコンは風で空気を動かします。ここに加湿器の蒸気が加わると、湿気が部屋の一部に寄ったり、窓の近くに流れたりします。結果として、同じ部屋の中でも「乾く場所」と「結露する場所」が同時に出やすくなるのです。

なぜこの家だけ?――“設備”より相性の問題

よくある疑問が、「床暖房+エアコン+加湿器は周りもやっているのに、なぜうちだけ?」という点です。

結論から言うと、原因は設備そのものというより、家の条件(窓・換気)と運用(設定・置き方)の相性が悪かったことにあります。高気密高断熱だから乾燥する、という話ではありません。

性能が高くても、窓や換気、使い方が噛み合わないと不快感が生じます。

今日からできる対策――順番が大事

対策としては、以下が考えられます。

まず温湿度計で“体感”を見える化します。目安は室温20〜22℃で湿度40〜50%。いきなり高湿度を狙うと結露が増えます。

次に、加湿器を窓の近くに置かない、サーキュレーターで空気を回し湿気を溜めないこと。床暖房があるなら、エアコンの設定温度を上げすぎず風量控えめにすると乾燥感が和らぐ場合があります。

それでも結露が強いなら、厚手カーテンや内窓などで窓面の冷えを減らすのが効果的です。

床暖房もエアコンも正しく使えば心強い味方になります。大切なのは、乾燥と結露のバランスを取ること。快適装備を“本当に快適”にする鍵は、そこにあります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。