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「レジで急かさないで!」薬局のレジで長々と説明をする“本当の理由”に「面倒だけどありがたい」「大切なこと」

  • 2026.1.14
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

ドラッグストアで風邪薬や咳止めを買おうとしたとき、レジで店員さん(薬剤師や登録販売者)から「お飲みになる方のご年齢は?」「すでに家に同じ薬はありませんか?」などと質問されたことはありませんか?丁寧な対応を有り難いとおもいつつ、「もう何度も買っているし、やり取りは短くていいのに…」と思った経験がある方もいるかもしれません。

一方で、SNS上では薬剤師さんや登録販売者の方々から「レジで薬の確認中にお客様に急かされて困る。説明は法律で定められた義務なんです」という声がしばしば見られます。実は、この「確認」や「説明」は店舗独自のルールではなく、法律で義務付けられているものなのです。

そこで今回は、市販薬を購入する際の確認や説明がなぜ必要なのか、その法的根拠や背景にある社会問題について詳しくご紹介します。

なぜドラッグストアは薬について「確認」しなくてはならないの?

ドラッグストアで薬を買うとき、レジで薬剤師や登録販売者からいろいろと質問されるのは、店舗の業務マニュアルではありません。法律で決められているからなのです。

法律や厚生労働省によって「濫用等のおそれのある医薬品の取扱い」に関するルールが細かく定められており、薬剤師や登録販売者は、それに従ってお客様に質問や確認をしています。つまり、店側が確認せずに販売すると、法律違反になってしまうのです。

どんな薬を買うときに確認されるの?

では、具体的にどんな薬を買うときに確認されるのでしょうか?対象となるのは「エフェドリン」「コデイン」「ジヒドロコデイン」「ブロモバレリル尿素」「プソイドエフェドリン」「メチルエフェドリン」の成分を含む医薬品です。

これらの成分が入っている薬は、風邪薬、咳止め、鼻炎薬、鎮静薬などです。「風邪をひいたときによく買う薬」が対象になっていることが多いため、確認される機会も多いというわけですね。

具体的にどんなことを質問されるの?

薬剤師や登録販売者からは、主に次のようなことを質問されます。

まず、購入する人が中学生や高校生など若い場合は、名前や年齢を確認されます。また、「他のお店でも同じ薬を買っていませんか?」「すでに家に同じ薬はありませんか?」といった、購入状況についても聞かれることがあります。

さらに、薬は原則として1人1箱までの販売となっています。もし2箱以上購入したい場合は、その理由を聞かれることになります。

これらの確認をした結果、「適正な使用」と認められた場合にのみ、薬が販売されます。逆に言えば、確認の結果によっては販売できないこともあるのです。

なぜそこまで厳しくチェックするの?

厳しい確認が必要になった背景には、深刻な社会問題があります。それが、若者を中心とした「市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)」の増加です。

実は今、若者の「市販薬オーバードーズ」が問題に

近年、10代を中心とした若者による市販薬の乱用が大きな問題となっています。

厚生労働省のデータによると、精神科で治療を受けた10代の患者のうち、市販薬を「主な薬物(患者の精神科的症状に関して、臨床的に最も関連が深いと思われる薬物)」として使っていた人の割合は、2014年には0%でした。ところが、2020年には56.4%にまで増加しています。わずか6年の間に、市販薬の乱用が若者の間で広まってしまったのです。

この問題は日本だけではありません。アメリカでも、中学生や高校生による市販薬の乱用が増えており、国際的にも不安視されています。

「市販薬の乱用」って何?

ところで、「市販薬の乱用」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

「市販薬の乱用」とは、薬の説明書に書かれた正しい飲み方を無視して使ってしまうことです。たとえば、風邪の症状を抑えるための咳止め薬を、何錠も一気に飲んでしまったり、体調が悪くないのに何度も飲み続けたりすることを指します。

「市販薬だから安全」と思われがちですが、正しく使わなければ危険なのです。市販薬は街中で簡単に手に入るもの。だからこそ、薬局やドラッグストアでは、法律に基づいて厳しく確認を行っているのです。

2026年5月から、ルールはさらに厳しくなる予定

現在でも厳しい確認が行われていますが、2026年5月1日からは、さらにルールが強化されることになっています。これまで「濫用等のおそれのある医薬品」として扱われてきた薬が、法律上「指定濫用防止医薬品」として位置づけられます。また、これまでの薬に加え、新たな成分も指定される見通しです。

また、お店で販売するときには、濫用防止に関する注意事項を、紙やタブレットなどを使って説明することが義務になるなど、これまで以上にしっかりとした対応が求められるようになります。若者の市販薬乱用を防ぐために、国全体で取り組みが進められているのです。

「急かさないで」お互いの理解が大切

今回は、市販薬を購入する際の確認や説明がなぜ必要なのか、その法的根拠や背景にある社会問題についてご紹介しました。

SNS上では「丁寧に説明してくれてありがたい」「面倒だけど、オーバードーズを防ぐためなんだね」「大切なこと」「乱用防止に役立っているのかな」といった理解を示す声がある一方で、「説明を受けているのを周りの人に聞かれるのが恥ずかしい」「体調が悪い時に速やかに買えないのは辛いかも…」という声も見られました。

レジでの確認は法律で定められた義務であり、若者の市販薬乱用を防ぐための大切な取り組みです。お互いに理解し合いながら、気持ちよく買い物ができるといいですね。


参考:
かぜ薬や鼻炎薬など一部の医薬品には、適正使用のための販売ルールがあります(東京都保健医療局)
濫用等のおそれのある医薬品について(厚生労働省)
指定濫用防止医薬品の指定について(厚生労働省)


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