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「狙われ始めているサイン」元警察官が警告。特殊詐欺の『標的』になっている…電話での“不審な兆候”とは?

  • 2026.1.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「うちは資産家でもないのに、なぜ狙われたのか?」特殊詐欺の被害に遭った際、多くの人がそう疑問を抱きます。犯人グループは事前に詳細な個人情報を握っているのでしょうか、それとも電話口での何気ない対応がリスクを高めているのでしょうか。

本記事では、元生活安全課の警察官であり、現在は防犯インフルエンサーとして活動するりょうせいさんにインタビュー。犯人がターゲットを選別する際に見ている「反応」や、被害に及ぶ前に現れる電話の「不審な兆候」、そして被害を未然に防ぐための具体的な対策について解説していただきました。巧妙化する手口に対し、精神論ではなく具体的な行動で身を守るための、プロの防犯知識をお届けします。

狙われているのは「情報」ではなく「反応」。犯人が電話口で探っていること

---特殊詐欺のターゲットとして狙われやすい家庭には、電話の着信履歴や応答パターンなど、犯罪者側が見極めている具体的な特徴があるのでしょうか?

りょうせいさん:

「特殊詐欺において、犯人グループが相手を詳しく知った上で電話をかけているケースは多くありません。

電話をかける段階では、不特定多数、あるいは何らかのリストをもとに架電していることがほとんどで、この時点で被害者側の性格や判断力、生活状況まで把握しているわけではありません。

リストには、氏名や電話番号、場合によってはおおよその年齢層などが記載されている可能性はありますが、それはあくまで表面的な情報にすぎません。本当に重要視されているのは、電話をかけた『その後』の反応です。要件を伝えた際に話を聞いてくれるか、不安そうな様子を見せるか、会話が途切れずに続くかといった点を通じて、相手の反応を探っています。

被害者の方から話を聞いてきた中で強く感じるのは、特定の性格や家庭環境が原因で狙われているわけではないということです。多くの方が、最初の段階で違和感を覚えながらも、突然の出来事に対して誠実に対応しようとした結果、話を続けてしまっています。犯人はその反応を見て、さらに話を進めるかどうかを判断しているのが実情です。」

無言電話やワン切りは「試し行為」。固定電話に現れる危険な前兆サイン

---特殊詐欺のターゲットとして狙われやすい家庭の電話機には、どのような兆候(例:非通知着信の増加、無言電話など)が現れるのでしょうか?

りょうせいさん:

「特殊詐欺の被害に遭う前段階では、電話機にいくつかの『兆候』が現れることがあります。代表的なのは、知らない番号や非通知からの着信が増えること、無言電話やすぐに切れるワン切りのような電話が続くことです。これらは、犯人側が『電話がつながるか』『人が応答するか』を確認するための試し電話である可能性があります。

また、短期間に同じような不審な着信が複数回続く場合、何らかのリストに電話番号が含まれている可能性も考えられます。犯人グループは、電話に出た履歴や応答の有無をもとに、再度電話をかけてくることがあるためです。

さらに、現在でも特殊詐欺の多くは固定電話を狙って行われています。若年層やミドル層では固定電話を持たない家庭が増えている一方で、高齢者世帯では固定電話を使用しているケースが多く、結果として犯人側が固定電話を中心に電話をかけているのが実情です。

不審な着信が続く場合は、偶然ではなく『狙われ始めているサイン』として注意することが重要です。」

警察官でも騙される巧妙なシナリオ。「無言で切る」が最強の防衛策

---特殊詐欺のターゲットにされないために、一般家庭が今日からすぐに実践できる「電話機の設定」や「着信時の対応」で、最も効果的な対策を教えていただけますでしょうか。

りょうせいさん:

「特殊詐欺を防ぐうえで、最も重要なのは『話し込まないこと』です。悔しいですが、犯人グループは非常に緻密なシナリオを用意し、登場人物を増やしながら巧みな話術で相手を追い込みます。実際に被害者から話を聞いていると、内容を最後まで聞いてしまえば、警察官であっても騙されかねないと感じるほど精巧なケースもありました。

違和感を覚えた時点で、理由を考えたり、相手に断る必要はありません。何も言わずに電話を切ることが最も効果的な対応です。犯人の最大の狙いは電話を切らせないことで、『逮捕される』『法的手続きが必要』などと不安や時間的制約をあおり、判断力を低下させます。その状態で一人で考え続けることが、最も危険です。

あわせて、電話機の対策も重要です。番号が表示されるディスプレイ付きの電話機を使用し、登録していない番号には出ないことを徹底してください。さらに、通話録音機能や録音される旨を自動で案内する機能が付いた電話機や後付け機器も、犯人を遠ざける有効な手段です。」

怪しいと感じたら、会話をしないことが防御

特殊詐欺を防ぐ上で最も重要なのは、犯人の用意した巧妙なシナリオという土俵に上がらないことです。りょうせいさんが強調するように、一度話を聞いてしまえば、プロである警察官ですら騙されかねないほどの心理的な罠が仕掛けられています。

「相手に悪いから」という遠慮や誠実さは、犯罪者にとって格好の隙となります。違和感を覚えたら、理由も告げずに即座に電話を切ること。そして、防犯機能付き電話の活用や、知らない番号には出ないというルールを徹底し、物理的に犯人との接点を断つことが重要です。「自分は大丈夫」という過信を捨て、常に防御の姿勢を持つことが、大切な資産を守る鍵となります。


監修者:防犯インフルエンサー りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。