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SNSで話題の『手編みハンドルカバー』は違法になる?!→弁護士「極めて危険です」“安易な使用”に警鐘。

  • 2026.1.28
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出典元;photoAC(※画像はイメージです)

SNSで話題の「モコモコの手編みハンドルカバー」。愛車を可愛くしたい気持ちはわかりますが、純正品より滑りやすく、厚みで操作しにくいと感じたことはありませんか? 実はそのカスタム、道路交通法違反になる可能性があります。

「ハンドルカバー自体は禁止されていないはず」と思っていても、それが原因で操作を誤れば、拘禁刑や罰金の対象になり得るのです。

今回はアディーレ法律事務所 正木裕美 弁護士にインタビュー。「安全運転義務違反」に問われるケースや、事故を起こした際に責任が重くなる「著しい過失」のリスク、さらにダッシュボードのぬいぐるみ等の“違法ライン”について解説していただきました。

「可愛い」が命取りに? 滑るハンドルカバーで問われる“拘禁刑・罰金”のリスク

---SNSで見かける「モコモコの手編みハンドルカバー」は、純正品に比べて滑りやすく、厚みもあります。これをつけて公道を走る行為は、警察の取り締まり対象(道路交通法違反)になる可能性はありますか?

正木裕美 弁護士:

「摘発の可能性があります。ポイントは「運転に支障があるかどうか」という点です。

ハンドルカバーそのものを規制する法律はありません。しかし、道路交通法は「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定めており、運転者に“安全運転義務”を課しています。

例えば、ハンドルカバーの素材が滑りやすかったり厚すぎるなどしたために確実なハンドル操作ができない状態で運転した場合は、この安全運転義務に反し、道路交通法違反として3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、ハンドルカバーを付けたために、的確に運転できず、結果人身事故を起こして人を死傷させた場合は、過失運転致死傷罪に問われる可能性もあります。

自分の好きなものに囲まれて過ごすことが幸せな気持ち自体は理解できますが、車は命を奪う危険な凶器にもなりえるものです。可愛いというだけではなく、安全運転に影響を及ぼすことはないのか、危険をまねくことはないのか、想像力をもって慎重に考えるクセをつけてほしいと思います。」

「滑って操作ミス」は言い訳無用。事故の賠償額が跳ね上がる“著しい過失”の恐怖

---もし、こうしたカバーをつけていて「ハンドルが滑って曲がれなかった」という理由で事故を起こした場合、ドライバーの「過失割合(責任の重さ)」は通常よりも重くなるのでしょうか?

正木裕美 弁護士:

「交通事故の責任を考える上で、事故当事者全員にどの程度の不注意(過失)があったのかを判断する必要があります。

過失割合は事故当事者の不注意の程度、割合を数値化したものですが、その割合は個別具体的な事情によって大きく変わってくるものなので、一概に過失割合重くなる、軽くなると言うことは難しいです。

もっとも、この過失割合を検討する上で何も指針がないわけではなく、類似事案の裁判例を参考にすることが一般的です。実務上は、道路交通法や過去の裁判例や研究を元に、事故態様ごとの基本的過失割合をまとめた本がありますので、これをベースにした上で、当該事故の個別の事情を反映させて過失割合を検討することが多いです。

この基本的な過失割合には通常想定される程度の過失は織り込み済みですが、それを超えるような著しい過失が認められる場合、基本的なものよりも過失割合が重く修正される場合があります。ハンドル操作ミスは著しい過失と判断される可能性があるものの一つですので、一般論としては、滑りやすいハンドルカバーをつけていたがために適切なハンドル操作ができなかったとなれば過失割合が重くなる可能性はあります。」

ぬいぐるみやカーテンはどこまでOK? 弁護士が教える「視界不良」の違法ライン

---ハンドルカバー以外にも、「ダッシュボードにぬいぐるみを並べる」「窓にカーテンをつける」などの装飾も人気です。弁護士の視点から見て、「ここまではセーフだが、これ以上はアウト(検挙対象)」という法的な境界線はどこにありますか?

正木裕美 弁護士:

「あくまで、法律の規定や基準を満たしているのかどうかということになりますので、問題となる行為の違法性はそれぞれ検討する必要はありますが、考え方の一つのポイントとしては「安全運転の妨げにならないか」という点が挙げられると思います。

絶対的な条件は、道路運送法で車両の安全性を確保するための保安基準を満たしていること。保安基準に適合しない車で公道を走行することは違法で、不正改造車となります。例えばブレーキランプの色を変える、定められた基準より透過率の濃いスモークフィルムをガラスに貼る、検査標章・バックミラー・ドライブレコーダー等限定的に許可された以外のものをつける(ステッカーなど)ことが該当します。ランプの色が通常と違うと車がどう動くか周囲が理解しづらかったり、物で視野が遮られると安全運転ができず極めて危険ですよね。

保安基準を満たしていればすべて許されるわけではありません。道路交通法では、先ほどの安全運転義務のほか、「車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。」とされています。

例えば、カーテンを閉めたまま走行する、ダッシュボードにぬいぐるみを並べたりルームミラーにアクセサリをぶらさげるなど視界を遮るものがある、装置が操作しづらくなる、ミラーが確認できないといった、安全運転の妨げとなるものは違法とされる可能性があります。」

車は可愛さよりも操作性を最優先に

自分好みの空間でドライブするのは楽しいものですが、それが安全を脅かすものであってはなりません。

正木弁護士の解説によるポイントは以下の3点です。

  1. 操作性が命:ハンドルカバーが滑ったり厚すぎたりして運転に支障が出れば、道路交通法違反(安全運転義務違反)となります。
  2. 事故責任が増す:装飾品が原因のハンドル操作ミスで事故を起こすと「著しい過失」とされ、過失割合(賠償責任)が重くなる可能性があります。 
  3. 視界を遮らない:ダッシュボードのぬいぐるみやカーテンも、運転の視野を妨げれば違法です。

「みんながやっているから」は通用しません。何かをつける際は、「とっさの時にハンドルやブレーキを確実に操作できるか?」を想像し、少しでも不安があれば取り外す勇気を持つことが、あなたと周囲の命を守ります。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

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正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属)アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。 アディーレ法律事務所は、依頼者が費用の負担で相談をためらわないよう、弁護士費用で損をさせない保証制度(保証事務所)を導入しています。「何もしない」から「弁護士に相談する」社会を目指しています。

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