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「一人で対応しないで」元警察官が警告。“GPS付のぬいぐるみ”で住所特定…ストーカーへの「正しい対処法」とは?

  • 2026.1.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

恋人や元パートナーからのプレゼント。嬉しいはずのそのぬいぐるみに、もしGPSや盗聴器が仕掛けられていたら……。

近年、小型機器の普及により、ストーカーの手口はますます巧妙化しています。「縫い目に違和感がある」「なんだか重い気がする」。そんな不安を感じた時、私たちはどう確認すればいいのでしょうか? そして万が一、発見してしまった時に「一番やってはいけないこと」とは?

今回は、元警察官(生活安全課)で防犯インフルエンサーのりょうせいさんにインタビュー。プロの視点から、意外な隠し場所の見抜き方や、身を守るための正しい証拠保全について解説していただきました。

ぬいぐるみより危険? 「スマホ」を使った最新GPS手口とチェック法

---ぬいぐるみにGPSや盗聴器を仕込む手口は、具体的にどのように行われるのでしょうか? 縫い目の違和感や重さなど、素人でも『怪しい』と気づけるチェックポイントや、ぬいぐるみ以外にも注意すべき“意外な隠し場所”があれば教えてください。

りょうせいさん:

「近年、紛失防止タグが、ストーカー行為に悪用されるケースは実際に増えています。

目的は相手の現在地を一度知ることではなく、「どこで生活しているのか」「どんな行動パターンなのか」を継続的に把握することです。ただし、手口はぬいぐるみに仕込むケースに限りません。現場では、使用していないスマートフォンを車に取り付けて位置情報を取得していた事案や、交際中に知らない間にスマートフォンへ位置情報共有アプリを入れられていたケースもありました。

こうした事案に共通するのは、「位置情報が取れる状態を長期間つくる」という点です。そのため、ぬいぐるみの縫い目や重さといった物理的な違和感だけで見抜くのは、一般の方には難しい場合も多いでしょう。むしろ重要なのは、「なぜそこにあるのか」「いつからあるのか」「誰から来たものなのか」といった経緯に違和感がないかを考えることです。

また、物に仕込まれていなくても、スマートフォンそのものが位置情報を発信してしまうケースもあります。インストールした覚えのないアプリが入っていないか、位置情報の共有設定が知らない間に有効になっていないかを、日頃から確認しておくことも大切です。位置情報を共有する機能やアプリは便利な反面、悪用されるリスクもあります。必要な場面だけに限定し、普段は位置情報を取得されにくい設定にしておくなど、生活全体で位置情報の扱いを見直す意識が被害防止につながります。」

発見しても「一人で判断」は危険! 警察を呼ぶ前にすべき安全確保の鉄則

---もし自宅でGPSを見つけてしまった時、恐怖のあまりすぐに取り外して捨てたり、壊したりしたくなります。しかし、その場で壊してしまうことにリスクはないのでしょうか? 犯人を刺激せず、自分を守るためにとるべき『正しい初動』を教えてください。

りょうせいさん:

「自宅や持ち物からGPS機器などを見つけた場合、恐怖からすぐに取り外したり壊したりしたくなるかもしれません。

しかし、最も重要なのは一人で対応しないことです。まずは躊躇せず警察に通報し、安全を確保してください。自宅で発見した場合は、盗聴器などが併せて仕掛けられている可能性も考え、発見場所からできるだけ離れ、窓やドアを閉めた上で、トイレなど外部から侵入されにくい場所から通報するのが望ましいでしょう。

警察官が到着する前に無力化したい場合でも、自己判断で壊したり捨てるのは避けてください。どうしても触れる必要がある場合は、設置されていた状況や場所、物の状態をスマートフォンで撮影して記録を残しておくと、後の捜査に役立つことがあります。基本的には、警察に通報した上で、到着前にどう対応すべきか指示を仰ぐのが最も確実です。

外出先で発見した場合も同様に、一人で抱え込まないことが大切です。タクシーに乗って車内から通報する、近くの交番に向かう、コンビニなど人のいる場所で店員に助けを求めるなど、速やかに第三者がいる状況を作ってください。とにかく「一人で対応しない」「すぐ相談する」ことが、自分を守り、犯人を特定するための第一歩になります。」

逮捕だけでは終わらない。警察への相談とセットで行うべき「避難」

---ストーカー規制法が改正され、GPS機器を用いた位置情報の取得も規制対象になりましたが、実際に警察に相談した場合、どのような対応をとってもらえるのでしょうか? 警察が動きやすくなるために、相談時に持参すべき情報やメモなどはありますか?

りょうせいさん:

「ストーカー被害について警察に相談した場合、状況に応じてさまざまな対応が検討されます。

事実関係が整理できれば、事件化の可能性を含めた判断が行われるほか、警察から加害者に対して警告を行えるケースもあります。また、被害の深刻度によっては、被害者の安全確保を最優先に考え、避難に関する助言や支援が行われることもあります。警察に相談することで、「今後どう行動すべきか」を一緒に考えてもらえる点は大きな意味があります。

一方で、知っておいてほしい大前提もあります。仮に事件化や検挙に至ったとしても、それだけで加害者の行動が完全に止まるとは限りません。検挙によって一時的に動きが止まることはあっても、その効果は永続的ではない場合もあります。だからこそ、ストーカー規制法などの制度を活用し、「継続的に行動を制限する」ことが重要になります。

その際に欠かせないのが、被害者自身の避難や環境の見直しです。警察の捜査や警告、支援は非常に重要ですが、それだけに頼るのではなく、「距離を取る」「安全な場所へ移動する」といった行動と組み合わせてこそ、効果を発揮します。警察の対応と被害者の意思、この二つがかみ合って初めて、被害を止める現実的な対策につながるといえるでしょう。」

「違和感」は放置しない。一人で抱えず、即警察へ

ストーカー被害は、ぬいぐるみなどの「モノ」だけでなく、スマホという「デジタル」の隙からも忍び寄ります。

りょうせいさんの解説による重要ポイントは以下の3点です。

  1. スマホを確認:不審なアプリや設定を見直すことが第一の防衛策です。
  2. 破壊・廃棄は注意:反応が消えると犯人が来る危険性も。一人で判断せず、安全な場所から即通報を。
  3. 「避難」もセットで:警察の介入に加え、物理的に距離を取る対策が不可欠です。

恐怖を感じたら、自己判断せずプロ(警察)を頼ってください。

その一本の電話が、あなたを守る命綱になります。


監修者:防犯インフルエンサー りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。