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新NISA『損をする人』『得をする人』は“決定的な違い”があった。お金のプロが明かす、初心者が陥りがちな「判断ミス」

  • 2026.1.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

新NISAで資産形成を始めたものの、相場の下落に動揺してしまい、結果的に「誤った売り時」で資産を手放してしまうケースが少なくありません。本来は長期投資が前提の制度であるにもかかわらず、なぜ初心者は短期的な値動きに翻弄され、損をしてしまうのでしょうか?

本記事では、金融機関勤務の現役マネージャーであり1級FPの中川佳人さんにインタビュー。初心者が陥りやすい心理的な落とし穴や、下落局面での「狼狽売り」を防ぐための心構え、そして着実に資産を増やすために最初にすべき具体的なアクションについて解説していただきました。相場の変動に負けない、強い資産形成のヒントを探ります。

新NISA初心者が陥る罠。「誤った売り時」を選んでしまう心理的背景

---新NISA初心者が「誤った売り時」で資産を減らしてしまうことがあると聞きますが、どのような心理的要因や判断ミスが影響しているのでしょうか?

中川 佳人さん:

「新NISA初心者が誤った売り時で資産を減らしてしまう背景には、短期的な値動きに耐えられなくなり、『これ以上、下がる前に売っておこう』と判断してしまうことがあります。

本来、新NISAは長期的な資産形成を目的とした制度ですが、運用を始めたばかりの方ほど、日々の価格変動に一喜一憂しやすい傾向があります。相場が下落すると、不安や恐怖が先に立ち、冷静に長期視点を保つことが難しくなってしまいます。

具体的には、相場が一時的に調整局面に入っただけにもかかわらず、『このまま下がり続けたらどうしよう』『今売らなければ損が確定してしまうのではないか』と感じ、回復を待たずに売却してしまうケースが多く見られます。しかし、投資は長期で考えることが前提です。S&P500や全世界株式といった代表的な指数も、リーマンショックなどの大きな下落を経験しながら、時間をかけて回復してきました。

下落局面で慌てて売却してしまうと、本来得られたはずの利益を逃してしまいます。あらかじめ値下がりも起こり得ると理解しておくことで、相場の変動に対する気持ちの余裕も生まれやすくなります。短期的な値動きに振り回されるのではなく、淡々と投資を継続する姿勢が、資産を減らさないために大切です。」

不安を打ち消すために最も重要な「投資目的」の明確化

---新NISA初心者が、相場の一時的な下落に焦って保有資産を売却してしまうケースが多いと聞きますが、こうした「狼狽売り」を防ぐために心がけるべきポイントを教えてください。

中川 佳人さん:

「新NISA初心者が相場の一時的な下落に焦って売却してしまう、いわゆる『狼狽売り』を防ぐために最も重要なのは、『このお金を何のために運用しているのか』という投資目的を明確にすることです。

投資目的がはっきりしていないまま運用を続けていると、相場が下落した際に『今売るべきか』『このまま持ち続けて大丈夫なのか』と判断基準を失いやすくなります。その結果、不安や恐怖といった感情が先行し、冷静な判断ができなくなってしまいます。

例えば、老後資金や将来の教育費など、10年以上先に使う予定のお金であれば、短期的な値下がりは本来、過度に気にする必要はありません。長期投資では、途中で価格が下がる局面が何度も訪れるのは自然なことです。しかし、投資の目的や使う時期が整理できていないと、評価額が下がった瞬間に『失敗したのではないか』と感じ、慌てて売却してしまうケースも少なくありません。

価格の上下そのものに意識を向けるのではなく、『いつ』『何のために使うお金なのか』を意識することで、相場の見え方は大きく変わります。投資目的が明確であれば、一時的な下落局面でも冷静さを保ちやすくなり、狼狽売りを防ぐことにつながります。新NISAを活用した投資では、相場を過度に気にする姿勢よりも、投資目的に立ち返る習慣を持つことが、長期的な資産形成を支える大切なポイントになります。」

運用開始前に決めておくべき「出口戦略」と「時間軸」

---新NISA初心者が「最悪の売り時」を避け、着実に資産を増やすために、まず最初に実践すべき具体的な行動や工夫を教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「新NISA初心者が『最悪の売り時』を避け、着実に資産を増やしていくためにまず実践すべきことは、運用を始める段階で『長期投資であることを前提に考える』ことと、『その資金をいつ、何のために使うのかを具体的に決めておく』ことです。

新NISAは、短期的な値上がり益を狙う制度ではなく、時間を味方につけて資産を育てることを目的としています。そのため、運用を始める前に『途中の値下がりは起こり得るものだ』と理解しておくことが大切です。

特に、運用開始時に投資の目的や使う時期が決まっていないと、評価額が下がった局面で『今売るべきか』『このまま続けて大丈夫なのか』と迷いが生じ、その場の感情で売却判断をしてしまいがちです。反対に、老後資金や教育資金など、使う時期が10年以上先と分かっているお金であれば、短期的な値下がりは『途中経過』として受け止めやすくなります。

例えば、『この資金は老後まで使わない』といった形で、あらかじめ自分なりのルールを決めておくことが有効です。価格の上下ではなく、ライフプランをもとにした判断を売却の基準にすることで、相場に振り回されにくくなります。

新NISAは、長期投資を通じて資産形成を目指すための制度です。運用開始時に長期投資であることを再確認し、投資目的と使う時期を具体化しておくことが、『最悪の売り時』を避け、長期的に資産を育てていくためのスタートになります。」

新NISA成功の鍵は「目的」と「長期視点」

新NISAでの失敗を避ける最大の鍵は、目先の価格変動に一喜一憂せず、「何のために、いつ使うお金なのか」という目的意識を明確に持つことにあります。相場は常に変動するものであり、一時的な下落は長期投資における「通過点」に過ぎないことを理解しておく必要があります。

中川さんが強調するように、運用開始時点で「長期戦であること」を腹落ちさせ、ライフプランに基づいた明確なゴール設定をしておくことが、メンタルの安定につながります。下落局面でも焦らず、淡々と投資を継続する姿勢こそが、将来的な資産形成を成功させるための王道と言えるでしょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。