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『新電力』と『大手電力』どっちが正解?→電気代高騰のいま、「大手電力に戻すべき人」の条件とは?【お金のプロが解説】

  • 2026.1.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「節約のために新電力にしたのに、逆に請求額が高くなった気がする…」。その違和感、実は気のせいではありません。燃料価格が高騰する今、契約プランの仕組み次第で、年間数万円も損をする「価格逆転」が起きています。

原因は「燃料費調整額の上限」と「市場連動型」のリスク。これを知らずに放置すると、ある日突然、電気代が数倍に跳ね上がる恐れも。一体どうすれば防げるのでしょうか?

今回は、金融機関勤務 現役マネージャーの中川佳人さんにインタビュー。「検針票のどこを見れば危険なプランだと分かるのか」や「今すぐ大手電力に戻すべき人の条件」について、プロの視点から解説していただきました。

「上限なし」は年間2万円の損? 新電力で起きる価格逆転のカラクリ

---『新電力から大手に戻す人が増えている』と聞きますが、その最大の理由は『燃料費調整額の上限』にあるというのは本当でしょうか? そもそも、この“上限”があるプランとないプランでは、請求額にどれほどの差が出るものなのか、仕組みと実情を教えてください。

中川 佳人さん:

「新電力から大手電力に戻す人が増えている背景には、燃料費調整額に『上限があるかどうか』という仕組みの違いが大きく影響しています。
大手電力が提供する従量電灯などの規制料金には、燃料価格が急騰した場合でも家計への影響を抑えるため、燃料費調整額を一定水準までに制限する上限が設けられています。これは、電力自由化後も残された消費者保護の仕組みといえます。

一方で、多くの新電力や大手電力の自由料金プランには、この上限がありません。そのため、原油やLNGなどの燃料価格が高騰すると、その分が制限なく電気代に反映され、結果として『基本料金や単価は安いはずなのに、請求額は大手より高い』という価格逆転が起きやすくなります。

実際に、上限がないプランへ移行した家庭では、月300kWh程度の使用でも月800円前後、契約プランや使用状況によっては、年間で1万円以上の差が生じるケースも見られます。一人暮らしの世帯でも、燃料高騰が続く局面では年間で大きな負担増となる可能性も考えられます。

このように、燃料費調整額の上限は、普段は意識されにくいものの、価格が不安定な時期ほど家計を守る役割を果たします。電気代の変動をできるだけ抑えたい人ほど、大手の規制料金に安心感を見出し、契約を戻す動きが広がっていると考えられます。」

請求額がいきなり数倍に? 「市場連動型」を見抜く明細の危険ワード

---SNSなどで『電気代が突然数倍になった』という悲鳴を目にすることがありますが、これは卸電力取引所の価格に連動する『市場連動型』プランのリスクだと聞きます。自分が契約しているプランがこのタイプかどうか、検針票やWeb明細の『どこ』を見れば見分けられますか?

中川 佳人さん:

「SNSなどで『電気代が急に跳ね上がった』という声が目立つ背景には、市場連動型プランを知らずに契約しているケースがあります。自分のプランが該当するかどうかは、検針票やWeb明細を見れば判断できます。

市場連動型とは、日本卸電力取引所の取引価格を電気代に反映させる仕組みです。電力の需給が逼迫すると価格が一気に上昇するため、猛暑や厳冬期には電気代が数倍になるリスクがあります。この仕組みを使うプランでは、料金明細に特徴的な項目名が記載されています。

具体的には、料金内訳に『電源調達調整費』『市場価格調整額』『市場連動』『JEPX』といった項目がないかを確認してください。また、プラン名に『マーケット』『スポット』『ダイレクト』などの言葉が含まれている場合も注意が必要です。さらに、契約時の料金算定式に『市場価格を参照する』と記載されていれば、市場連動型と判断できます。

これらの表記が見つかった場合、電気代は市場価格に連動し、安定しにくい状態です。毎月の電気代を安定させたい家庭では、固定単価制や従量電灯など、価格変動の仕組みがシンプルなプランを選ぶことで、想定外の請求を防ぎやすくなります。まずは明細を見て、電気代の契約が市場連動型になっていないか確認してみましょう。」

大手に戻すべき? 迷った時に比較したい「安定」と「セット割」の損得

---結局のところ、今の電気代高騰下において『大手の従量電灯(規制料金)』に戻すべきなのは、どのような生活スタイルの人でしょうか? 逆に、携帯やガスとの『セット割』やポイント還元を含めれば、新電力を使い続けたほうがトータルでお金が残るケースもあるのでしょうか?

中川 佳人さん:

「電気代高騰が続く今、大手電力の従量電灯に戻すべき人は、毎月の家計を安定させたいと考える方です。特に、共働き世帯や子育て世帯など、光熱費が家計に占める割合が大きい家庭では、急な値上がりを避けられる安心感が得られます。

規制料金は、燃料価格が大きく動いても請求額が極端に膨らみにくい構造になっています。そのため、電気の使い方を細かく調整する余裕がない人や、電気代の変動に神経を使いたくない人には相性が良いといえます。

一方で、新電力を使い続けたほうがトータルで得になるケースもあります。たとえば、電力使用量が多く、セット割やポイント還元を確実に活用できている家庭です。ガスや携帯電話とのセット割で年間1,000円以上の割引があり、さらにポイント還元を家計管理に組み込めている場合は、電気代単体では割高でも全体ではプラスになることがあります。

重要なのは、『電気代だけ』で判断しないことです。価格の安定性を取るか、セット特典まで含めた総合的な支出を取るかは、家庭ごとに異なります。短期的な安さだけでなく、数年単位での安心感や管理のしやすさも含めて考えることが大切です。迷ったときは、直近1年分の使用量と請求額を並べ、セット割の実額も合算して比較すると判断しやすくなります。」

「基本料金」だけで選ぶのは危険。明細を確認しリスク許容度で判断を

電力自由化以降、「乗り換えれば安くなる」が常識でしたが、今は「プランの仕組み」を理解していないと痛手を見る時代です。

中川さんの解説によるチェックポイントは以下の3点です。

  1. 「上限」の有無:燃料調整額の上限がないと、高騰時にダイレクトに値上がりします。
  2. 「市場連動」の確認:「市場価格調整額」などの記載がある場合、電気代急騰のリスクがあります。
  3. 「トータル」で比較:電気代が高くても、携帯やガスのセット割で相殺できる場合もあります。

毎月の変動にビクビクしたくないなら、大手電力の「規制料金」に戻すのも賢い選択です。まずは検針票を開き、ご自身の契約内容を確認することから始めましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。