1. トップ
  2. 「捨てないで!」農水省が“注意喚起”→断面が青くなった大根、まだ食べられる?→管理栄養士「捨ててしまうのはもったいない」

「捨てないで!」農水省が“注意喚起”→断面が青くなった大根、まだ食べられる?→管理栄養士「捨ててしまうのはもったいない」

  • 2026.1.26
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冬の食卓に欠かせない大根ですが、切った断面がまるでインクのような青色に変色していて、ギョッとした経験はありませんか?カビや腐敗を疑って捨ててしまいがちですが、実はその大根、まだ食べられる可能性が高いのです。むしろ、見た目だけで捨ててしまうのは、冬大根の豊富な栄養をみすみす逃していることになります。

2026年1月23日に、農林水産省 公式X(@MAFF_JAPAN)が、「大根を切った時に青くなっているものが稀にあります。」「捨てないで!」と注意喚起の投稿を行いました。

では、なぜ大根は青くなるのでしょうか? 今回は、管理栄養士の工藤まりえさんにインタビュー。「青変した大根の正体」や「青さが気にならなくなる調理マジック」、そして「変色大根の栄養価」について、プロの視点から解説していただきました。

カビではなく「生理現象」だと判断する3つのチェックポイント

---農水省も話題にしていましたが、切った大根の中が青かったり、茹でた後に青変したりすると、どうしても『カビ』や『腐敗』を疑ってしまいます。ズバリ、これは食べても体に害はないのでしょうか?また、なぜこのようなドキッとする色に変色してしまうのでしょうか?

工藤まりえさん:

「私自身も、過去に一度こういった大根に出会ったことがあります。

買ってきたばかりの新鮮な大根だったはずなのに、中心がうっすら青くなっていて「え、これ大丈夫?」と手が止まった経験があります。管理栄養士になるための勉強をしていた頃、テキストに書いてあった気がしますが、実際に見るとギョッとする色でビックリしたのを覚えています。きっと同じような経験をした方は少なくないのではないでしょうか。

ですが、結論から言うと、見た目が青いだけで、異臭やぬめりがなければ、基本的に食べても体に害はありません。農水省も発信している通り、これは多くの場合「腐敗」ではなく、大根自身が持つ成分による自然な化学反応で「ダイコン青変症」や「青あざ症」と呼ばれる生理現象です。

栽培環境による影響や、土壌の栄養状態、収穫後の保管方法などで発生するとされていますが、この青色の色素が何なのか、詳しい発生メカニズムについてはまだ解明されていません。どうやら、研究当初はアントシアニンだと考えられていたようですが、研究により現在はそうではないというところまでは分かっているようです。カビが生えているわけではないことは分かっているため、安全に食べることは可能です。

一方、酸っぱいにおいや腐ったようなにおいがする場合、ぬめりが出る、糸を引くといった場合は話が別です。これらは微生物による腐敗のサインなので、食べずに廃棄してください。色だけで即アウトにするのではなく、「におい・触感・全体の様子」を見ることが、無駄なく大根を使い切るコツです。」

見た目の違和感を消し去る「大根おろし」と「ブリ大根」の魔法

---安全だと分かっても、青いまま食卓に出すのは少し抵抗がある…という方も多いと思います。この変色を元の色に戻したり、気にならなくさせたりする調理のコツはありますか?

工藤まりえさん:

「安全だと分かっていても、青く変色した大根をそのまま食卓に出すのは、やはり少し抵抗がありますよね。
この大根の変色は、なかなか真っ白に戻りにくい性質があるため、調理法を工夫しながら食べることがおすすめです。

生で食べる場合、浅漬けやスティック野菜のような大根の白さを活かす調理法ではなく、大根おろしにするのがおすすめです。すりおろすことで色が分散し、青みはほとんど気にならなくなります。さっぱりとした味わいは、焼き魚や揚げ物の付け合わせにもぴったりです。

次におすすめしたいのは煮物です。加熱することで青色は全体にぼやけ、場合によっては透き通った白色になることもあり、見た目の違和感がぐっと減ります。お味噌汁の具にしても良いですね。一番のおすすめはブリ大根です。濃いめの煮汁と具材の存在感で、青変はほぼ気になりません。むしろ甘みの強い冬大根は、ブリの旨みを受け止める名脇役になります。

無理に「真っ白に戻そう」と思わなくても大丈夫。あまり神経質に考えず、調理法を選んで食べてみてください。」

「変色=栄養劣化」ではありません。ビタミンCも酵素もそのまま! 冬大根を捨てずに使い切るメリット 

---変色成分がポリフェノールの一種(アントシアニン等)だとすれば、白い大根よりもむしろ抗酸化作用などが期待できるのでしょうか? 栄養のプロの視点から見て、変色した大根ならではの栄養的メリットや、冬の大根を余すことなく栄養を摂り切るポイントがあれば教えてください。

工藤まりえさん:

「青く変色した大根を見ると「栄養的にはどうなの?」と気になる方も多いと思います。

変色の原因物質がポリフェノールの一種という説もあり、「もしそうならむしろ栄養価が高いのでは?」という発想にもつながるかもしれません。ただ、結論から言うと、残念ながら現時点の科学的知見では、青変した大根が“特別に抗酸化力が高い食品になる”とまでは言い切れません。また、青変したからといって栄養価が落ちるわけでもない点も押さえておきたいポイントです。

そもそも冬の大根は、ビタミンC、食物繊維、カリウム、消化を助ける酵素などをバランスよく含む優秀な食材。免疫力のサポート、腸内環境の改善、むくみ対策、胃腸の負担軽減など、寒い季節の体調管理に役立つ栄養が詰まっています。青変していても、こうした大根本来の栄養価はしっかり保たれています。

栄養を無駄なく摂り切るコツは、調理法の使い分けです。大根おろしにすればビタミンCや酵素を比較的フレッシュな形で取り入れられますし、煮物なら食物繊維をしっかり摂れて体も温まります。ブリ大根のようにたんぱく質や脂質と組み合わせれば、栄養バランスも一段とアップします。

見た目の変化だけで捨ててしまうのは、栄養面でも食品ロスの面でも、やはりもったいない選択。青くなった大根も、冬の栄養を最後まで味わうための立派な食材として、ぜひ上手に活用してみてください。」

「青い大根」は自然の証。見た目だけで捨てずに、調理で賢く救済しよう

真っ白なはずの大根が青いと不安になるのは当然の反応です。しかし工藤さんの解説により、それが大根自身の生理現象であり、多くの場合「食べられる」ことが分かりました。

今回のポイントを整理すると、以下の3点です。

  1. 「におい」と「ぬめり」で判断 色が青くても、異臭やぬめりがなければカビではありません。安心して料理に使いましょう。
  2. 調理法で「青」は消せる サラダやスティックにするよりも、「大根おろし」や「濃い味の煮物」にすれば、青い色は全く気にならなくなります。
  3. 栄養はそのまま 変色してもビタミンや食物繊維は健在です。捨ててしまうのは、食品ロスとしても栄養面でも非常にもったいない行為です。

もし次にスーパーで買った大根が青くても、慌てて捨てずに「今日はブリ大根にしよう」「みぞれ鍋にしよう」とメニューを切り替えてみてください。その柔軟さが、冬の食卓を豊かにしてくれます。


出典:農林水産省 公式X(@MAFF_JAPAN)

監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。