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130万円の壁で『損する人』『得する人』に“決定的な違い”があった。働き損で終わらせない…「厚生年金」を狙うべき理由とは?

  • 2026.1.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

パートタイムや副業などで年収が130万円を超えそうになると、「手取りが減る」「将来の年金はどうなるのか」といった不安や疑問を感じる方が多いのではないでしょうか。

なぜ「130万円の壁」と呼ばれる基準を超えると、逆に得られる手取りが減るのか、また年金の受給額にどんな影響が出るのかは複雑な制度が関わっています。

この記事では専門家の解説をもとに、社会保険と年金の仕組みがなぜ影響を与えるのかを分かりやすく紐解きます。正しい情報を得て、後悔しない働き方の選択に役立てましょう。

130万円の壁とは?手取り減少と年金制度の関係

---130万円の壁を超えた際に手取りが減少し、さらに将来の年金額にも影響が出る仕組みには、社会保険料負担や年金制度のどのような要素が関わっているのでしょうか?

中川 佳人さん:

「130万円の壁を超えた際に手取りや将来の年金に影響が出るのは、①社会保険の扶養から外れて保険料の自己負担が発生すること、②年金制度上の立場が変わること、この2つの要素が関わっています。

年収が130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れ、これまで免除されていた健康保険料や年金保険料を自分で負担する必要があります。その結果、年間でおおむね20万円前後から30万円程度の社会保険料負担が発生し、収入が増えても手取りが一時的に減る『逆転現象』が起こることがあります。

扶養を外れた後に加入する年金制度は、勤務先の条件によって異なります。勤務時間や会社規模などの要件を満たさない場合は国民年金に加入することになり、保険料は全額自己負担となります。この場合、保険料負担は増えますが、将来受け取る年金額自体は変わりません。

一方、勤務条件を満たして厚生年金に加入できる場合は、基礎年金に加えて、現役時代の収入や加入期間に応じた厚生年金が将来上乗せされます。保険料は会社と折半で負担する仕組みのため、老後の年金だけでなく、病気やけがで働けなくなった際の保障範囲も広がります。

このように、130万円の壁を超えた際に手取りが減少し、将来の年金額にも影響が出る背景には、社会保険料負担の発生と、加入する年金制度の違いという制度上の仕組みが関わっています。」

年金はどう変わる?国民年金と厚生年金の違いを具体例で解説

---130万円の壁を超えた場合、社会保険料の負担だけでなく、将来受け取れる年金額にどの程度の影響があるのか、具体的な試算を教えていただけますか?

中川 佳人さん:

「具体的な試算で見ると、130万円の壁を超えた後に国民年金に加入する場合、将来受け取れる年金額は変わりません。一方、厚生年金に加入できた場合は年金が上乗せされます。厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトによると、年収150万円の人が10年間厚生年金に加入した場合、65歳以降に受け取れる年金額は年額で約7万6,700円増えるとされています。

まず、勤務時間や会社規模などの要件を満たさず国民年金に加入する場合です。このケースでは、扶養内で第3号被保険者であった人が国民年金第1号被保険者に切り替わります。国民年金は加入月数によって年金額が決まる仕組みのため、未納がなければ、扶養内で働いていた場合と比べて将来の年金額自体は変わりません。一方で、国民年金保険料は全額自己負担となります。

週20時間以上勤務するなどの条件を満たし、厚生年金に加入できた場合は、老齢基礎年金に加えて報酬比例部分が上乗せされます。先ほどの試算のように、年収150万円程度で10年間加入した場合でも、年額で約7万円台の年金増加が見込まれ、受給期間が長くなれば生涯で見ると100万円を超える差になる可能性があります。

このように、130万円の壁を超えた後の年金への影響は一律ではありません。国民年金に加入する場合は年金額は変わらず、厚生年金に加入できた場合は年金が増えるため、自分の働き方がどの制度に該当するのかを確認することが重要です。」

130万円の壁を超えそうなときの賢い判断法とは?

---130万円の壁を超えそうなパート主婦が、手取りや年金の損失を最小限に抑えるために、今すぐ確認すべきことと取るべき行動を教えてください。

中川 佳人さん:

「130万円の壁を超えそうな場合にまず行うべきなのは、厚生労働省が公開している社会保険適用拡大特設サイトや公的年金シミュレーターを使い、自分の条件で社会保険料と年金額を具体的に試算することです。数字で確認してから働き方を選ぶことが、手取りや将来の不安を抑える近道になります。

130万円を超えた後の影響は一律ではありません。国民年金に加入する場合は、保険料の自己負担が増えても将来の年金額は変わりません。一方、厚生年金に加入できれば、老齢基礎年金に加えて報酬比例の厚生年金が上乗せされ、将来の年金や現役時代の保障も手厚くなります。この違いを把握せずに収入だけが増えると、結果として負担だけが増えてしまう可能性があります。

厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトでは、年収や加入期間に応じて、厚生年金に加入した場合に増える年金額や、保険料負担の目安が具体的に示されています。公的な資料を基に考えることで、制度の損得を冷静に比較しやすくなります。

130万円の壁に関する問題で後悔しやすいのは、感覚的に判断してしまうことです。公的なシミュレーションを活用し、具体的な数字を見たうえで判断することで、自分にとって最適な働き方を選択することができます。」

数字で確認して後悔しない働き方を選ぼう

年収の130万円の壁を超えたときには、手取りが減る一方で将来の年金額が変わるかどうかは、加入する年金制度によって大きく変わります。社会保険の扶養から外れて自己負担が増えることや、国民年金と厚生年金の違いをしっかり理解することが重要です。特に、厚生年金に加入できる働き方なら将来の年金が増え、老後の安心にもつながるメリットがあります。

感覚的な判断に頼らず、厚生労働省の特設サイトや年金シミュレーターを活用して具体的な数字を把握してから、働き方を検討することが、後悔しない賢い選択につながります。これからのライフプランを見据え、公的な情報をもとに冷静に判断しましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。