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「すぐに使用を中止してください」一級建築士が警告。冬場は“コンセント”から火災に…危険な「NG使用法」とは?

  • 2025.12.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

寒さが厳しい冬になると、多くのご家庭で電気ストーブやセラミックヒーターなど暖房器具を使い始めます。

ところが、その際に火災が起きるのではないかという不安を感じたことはありませんか?なぜ冬場に火災リスクが高まるのか、その原因や予防策が気になるところです。

今回は、冬の火災リスクの背景と、日々の暮らしで簡単に実践できる安全対策について、一級建築士のyukiasobiさんに詳しく伺いました。これを読めば、安心して冬を乗り切る知識が身につくはずです。

なぜ冬場の火災リスクは急増するのか?

---冬場のコンセント使用による火災リスクについて、タコ足配線以上に危険とされる使用法には、どのような電気的・物理的要因が関係しているのでしょうか?

yukiasobiさん:

「冬場の火災リスクが格段に高い理由は、暖房器具が「電気の消費量が非常に大きい(高ワット)」からです。

スマホの充電器や扇風機などは電気の消費量が少ないため、多少のタコ足配線でも許容範囲に収まることが多いですが、電気ストーブやセラミックヒーターなどは、たった1台でコンセントの限界に近い電気(1,000W〜1,200W程度)を消費します。

ここに「物理的な要因」が加わります。冬は空気が乾燥してホコリが舞いやすく、それがコンセントに溜まります。さらに、高出力の電気を通し続けることでコード自体が熱を持ち、その熱がホコリやコンセント周辺の樹脂を劣化させます。この「大量の電気(熱)」と「溜まったホコリ」が合わさった時、急激な発火リスクが生じるのです。」

高ワットな暖房器具を延長コードで使うのがなぜ危険?

---冬場に多くの家庭で行われている暖房器具の使い方(例:電気ストーブとエアコンの同時使用、延長コードの重ね使いなど)で、タコ足配線以上に火災リスクが高まる使用法を教えてください。

yukiasobiさん:

「最も危険だと感じるのは「高ワットな暖房器具を延長コードで使用すること」です。

実は、多くの延長コードの耐熱・耐電流性能は、壁にあるコンセント本体よりも低く作られています。特に以下の使い方は「火災の予約」をしているようなものです。

①延長コードの「継ぎ足し(タコ足の連鎖)」
コードを何本も繋ぐと、接続部分(抵抗)が増えて異常に発火しやすくなります。

②コードを「束ねたまま」使う
長いコードが邪魔だからと束ねたり、家具の下に敷いたりした状態でハイパワーな暖房器具を使うと、放熱できずに熱がこもり、中のビニールが溶けて一気にショート・発火します。

③エアコンと「同じ回路」での併用
壁のコンセントが別々でも、壁の裏で同じ電線につながっている場合があります。エアコンと電気ストーブを同時に「強」で使うと、壁の中の電線が限界まで熱くなり、古い住宅では壁の内側から火が出る恐れもあります。」

すぐに実践したい冬の火災予防の鉄則3つとは?

---冬場のコンセント火災を防ぐために、今日から家庭で実践すべき最も重要なチェックポイントと対策を教えていただけますでしょうか。

yukiasobiさん:

「今すぐ実践できる「命を守る3つの鉄則」です。

①暖房器具は「壁のコンセントに直接」刺す
これが鉄則です。延長コードは使わず、壁のコンセントから直接電気を取ってください。これだけで、接続部やコードの過熱リスクの大部分をカットできます。

②使用中・使用後に「プラグの根元」を触ってみる
暖房を使って30分ほど経ったあと、一度プラグを抜いて根元の金属部分やプラスチック部分を触ってみてください。「アチッ!」と感じるほど熱い場合は、コンセントがゆるんでいたり、中で劣化が進んでいたりする危険信号です。すぐに使用を中止してください。

③「隠れたコンセント」のホコリを吹き飛ばす
テレビ台の裏や寝室の隅など、差しっぱなしでホコリを被っているコンセントがあれば、乾いた布で拭いてください。
コンセントは「一度刺したら終わり」ではなく、「熱を出す消耗品」だと考えて点検することが、冬の住まいの安全を守る最初の一歩になります。」

冬の火災から家族を守るために今日から始めること

寒い冬に欠かせない暖房器具は、その高い電力消費により火災リスクを高めることがあります。

特に延長コードの使い方には十分な注意が必要です。しかし、壁のコンセントに直接差すことやプラグの根元の熱さチェック、そしてホコリをこまめに掃除するといった、日常で簡単に行えるポイントを抑えるだけでリスクは大幅に減らせます。

冬の暮らしを安心して過ごすために、これらの鉄則をぜひ実践し、火災予防意識を高めていきましょう。安全な暖かさがご家庭に訪れることを願っています。


監修者:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。