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『値上がりする物件』と『暴落する物件』には“決定的な差”があった…不動産会社が明かす、「10年後も価値ある家」の見極め方

  • 2025.12.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

マンション購入を考える際、多くの人が気にするのが「駅からの距離」。駅近物件は資産価値が保たれやすいと言われますが、本当にそれだけで判断して良いのでしょうか?

実際には「駅徒歩時間」以外にも見逃せないポイントがあることをご存知でしょうか。今回は、資産価値を維持しやすいマンション選びについて、具体的な目安や見極めのコツについて、合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さんに詳しく伺いました。

駅距離だけではわからない本質を知ることで、将来の価値下落リスクを抑えた賢い選択が可能になります。

資産価値維持の目安は「徒歩11分以内」って本当?

---資産価値が維持・向上する『徒歩分数』の具体的な分岐点は何分ですか? また、それは『ターミナル駅』と『各駅停車の駅』であっても同じ基準が適用されるのでしょうか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「資産価値が維持されやすい一つの目安は「徒歩11分以内」です。これは絶対的な基準ではありませんが、実務感覚と客観データの両面から見て現実的なラインだと考えています。

主要路線やターミナル駅は通勤利便性や生活利便性が高いため、多少徒歩距離が長くても検討対象として評価されるケースが実務的には見られます。一方で、出口が限定的な各駅停車駅では、利用できる路線や需要層が限られるため、徒歩距離の影響が相対的に大きくなる傾向があります。」

駅から遠くても資産価値が下がりにくいケースとは?

---駅遠であっても価値が下がらない、あるいは駅近でも暴落してしまう『例外的な物件』には、どのような特徴(大規模再開発、ブランド力、管理体制など)がありますか?

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「駅からの距離は資産価値を判断するうえで重要ですが、それだけで価値が決まるわけではありません。駅から遠くても値崩れしにくい物件や、駅近にもかかわらず売却に苦戦する物件はあります。

まず、駅遠でも価値が下がりにくい物件の代表例として挙げられるのが、大規模再開発と一体で計画された物件です。駅から15分前後であっても街全体が再開発され、商業施設や医療機関、教育施設、公園などが計画的に整備されているエリアでは、評価の軸が「駅距離」よりも「生活利便性」に移ります。こうしたエリアは実需層が安定しており、相場が崩れにくい傾向があります。

もう一つは、ブランド力のあるデベロッパーによる大規模マンションです。共用部の質や管理体制、修繕積立金の設定が長期目線で設計されているケースが多く、築10年、20年が経過しても、建物の「古さ」がそのまま価値低下につながりにくい点が特徴です。

一方で、駅に近くても価格が下がりやすい物件も存在します。典型的なのは、駅前立地ゆえに住環境の評価が下がりやすいケースです。例えば、以下のような特徴です。

・騒音や人通りが激しい立地
・飲食店や風俗系店舗が集中するエリア
・ワンルーム住戸の比率が高く投資色の強いマンション

これらの物件は、購入時には利便性が高く見えるものの、実際には居住環境としての評価が伸びにくく、将来の実需層が付きにくい傾向があります。そのため、市況が悪化した際には、価格調整の影響を真っ先に受けやすくなります。」

駅近でも要注意!売却に苦戦する物件の特徴とは?

---資産価値が下がりにくいマンションを見極めるために、購入検討者が内覧時や契約前にチェックすべき「駅徒歩」以外の具体的なポイントを教えていただけますでしょうか。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「駅からの距離以外で、私が必ず確認しているのは、次の3点です。

・管理体制
・立地の持続性
・将来の買い手像

まず一つ目は、管理体制と管理費・修繕積立金の設計です。内覧時には専有部分だけでなく、エントランスやゴミ置き場などの共用部も必ず確認してください。掲示物が整理され、清掃が行き届いている物件は、日常的な管理がきちんと機能している可能性が高いと言えます。
あわせて注意したいのが修繕積立金の水準です。金額が極端に安い場合、将来の修繕に備えきれず、10年後に大幅な値上げが行われることもあり、売却時に敬遠される要因になりやすくなります。

二つ目は、「これから価値が上がりそうか」よりも、「ずっと住みやすいか」という視点です。再開発予定の有無よりも、次のような条件を満たすエリアは、派手さはなくても長期的に評価が下がりにくい傾向があります。

・住宅地として定められており、周囲の環境が急に変わりにくい
・周辺に嫌悪施設が入りにくい
・学区の評判が安定しており、家族世帯から選ばれ続けている

三つ目は、10年後の自分以外の買い手を想像できるかどうかです。今の自分が住みたいかだけで判断せず、次の視点で見てみると、間取りや階数、住戸の向きに対する評価が変わってきます。

・子育て世帯にも選ばれるか
・将来、賃貸として貸しやすいか
・高齢者にも無理のない住環境か

資産価値が下がりにくいマンションとは、今の自分だけでなく、10年後の誰かにも自然に選ばれる設計になっている物件だと考えます。」

資産価値を守るために今日からできること

駅から徒歩11分以内というのは資産価値を維持する上での一つの目安ですが、それだけで安易に判断するのは危険です。再開発エリアやブランドデベロッパーの物件は駅距離がやや長くても安定した価値を持つ一方で、駅近でも住環境が悪い物件は価格低下のリスクが高まります。

物件選びで大切なのは、「管理が行き届いているか」「生活環境が長期的に維持されるか」「将来の買い手に魅力的か」という視点を持つこと。これらを慎重に見極めることで、将来も安心して暮らせるだけでなく、資産としても価値を守りやすくなります。

この記事を参考に、駅距離の数字に惑わされず、自分と将来の家族、そして次の住まい手まで視野に入れた賢いマンション選びを心がけてみてください。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力×伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門×情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。