1. トップ
  2. レシピ
  3. 「寝ても疲れが取れない…」原因は“あの栄養素”不足かも? 12月13日「ビタミンの日」に知っておきたい13種類の役割と食材

「寝ても疲れが取れない…」原因は“あの栄養素”不足かも? 12月13日「ビタミンの日」に知っておきたい13種類の役割と食材

  • 2025.12.13

蔦屋重三郎の命を奪った「江戸わずらい」の正体

12月13日は「ビタミンの日」です。この日付の由来には、実は2025年の大河ドラマの主人公として注目を集めた、江戸時代の出版プロデューサー・蔦屋重三郎とも深い関わりがあります。

蔦屋重三郎が命を落とした原因とされる「脚気(かっけ)」は、当時「江戸わずらい」と呼ばれ、原因不明の奇病として恐れられていました。

12月13日は「ビタミンの日」。その由来とは?
12月13日は「ビタミンの日」。その由来とは?

実はこれ、ビタミンB1不足が原因。そのことに世界で初めて気づいたのが、日本の農芸化学者・鈴木梅太郎氏でした。彼は1910年(明治43年)12月13日、米糠(こめぬか)から抽出した成分を「オリザニン(後のビタミンB1)」として学会で発表。この世紀の大発見にちなんで、12月13日が「ビタミンの日」に制定されたのです。

脚気が流行した背景には、玄米から白米への食生活の変化がありました。一汁一菜で白米を大量に食べる江戸の食卓では、精米で失われたビタミンB1を補う術がなかったのです。

「飽食の時代」と言われる現代ですが、偏った食事でビタミン不足に陥るリスクは、江戸時代と変わりません。

たくさんの種類の食材をいただくことで、ビタミンの過不足リスクが軽減されます。
たくさんの種類の食材をいただくことで、ビタミンの過不足リスクが軽減されます。

現在、発見されているビタミンは13種類あり、それぞれの役割が異なります。主な働きと不足するとどんな体調不良を招きやすいのか、どんな食べ物に多く含まれるのか、簡単にまとめたので参考にしてください。

●脂溶性ビタミン(4種類)

油炒めや天ぷら、オイル系ドレッシングなど油脂と組み合わせると体内に吸収されやすくなる特徴があります。体外に蓄積されやすく排出されにくいため、“ばっかり食べ”やサプリメントなどによる摂りすぎにも注意が必要です。

・ビタミンA【主な働き】皮膚や粘膜の健康を守り、目の働きを正常に保ちます。また、動脈硬化など生活習慣病の原因となる活性酸素を取り除く抗酸化作用があります。【不足すると?】暗い場所で目が見えにくい(夜盲症)、肌の乾燥、細菌などの感染リスクが高くなります。【多く含まれる食品】豚レバー、鶏レバー、ウナギの蒲焼、ギンダラ、鶏卵、ニンジン、カボチャなど

・ビタミンD【主な働き】骨や歯の成長をサポートし、カルシウムとリンの吸収を促進します。また、血液中のカルシウム量を保つ手助けもします。【不足すると?】骨の変形や骨粗しょう症を起こしやすくなります。【多く含まれる食品】鮭、真イワシ、サンマ、アンコウの肝、鶏卵、干しシイタケなど

・ビタミンE【主な働き】細胞の老化予防などのアンチエイジング、血流改善、性ホルモンの生成などに関与しています。【不足すると?】溶血性貧血や動脈硬化を招きやすくなり、体内の酸化が進んでシミやシワの一因になるリスクが高くなります。【多く含まれる食品】ウナギの蒲焼、ツナ缶、アーモンド、パプリカ、カボチャ、パプリカ(赤)、アボカドなど

・ビタミンK【主な働き】血液を固めて出血を止めたり、骨や歯を丈夫にする働きがあります。【不足すると?】出血が止まりにくくなり、骨がもろくなる可能性があります。【多く含まれる食品】納豆、干しヒジキ、生ワカメ、焼き海苔、豆苗、モロヘイヤなど

●水溶性ビタミン(9種類)

水に溶けやすく、水洗いやゆでこぼしをすると、栄養成分が流出しやすい性質があります。一度に多く摂りすぎても尿として排出されます。体内に蓄積できないので、毎日の食事からしっかり摂る必要があります。

・ビタミンB1【主な働き】糖質の代謝を促し、疲労回復をサポートします。また、神経機能を正常に保つ役割もあります。【不足すると?】エネルギーが作れず疲れやすくなり、脚気(かっけ)、ウエルニッケ脳症を発症する誘因に。【多く含まれる食品】豚肉、ウナギの蒲焼、ボンレスハム、絹ごし豆腐、玄米ごはん、タラコなど

・ビタミンB2【主な働き】脂質の代謝を促進し、たんぱく質の合成を手助けして、皮膚や髪、爪などの生成をサポートします。【不足すると?】口内炎や口角炎、肌荒れ、髪トラブルを招きやすくなります。【多く含まれる食品】豚レバー、ウナギの蒲焼、マガレイ、納豆、鶏卵など

・ナイアシン(ビタミンB3)【主な働き】糖質と脂質の代謝を助け、アルコールの分解を促進します。また、約500種類もの補酵素として活躍します。【不足すると?】皮膚炎や下痢を引き起こす欠乏症(ペラグラ)のリスクが高まります。【多く含まれる食品】カツオ、鶏むね肉、クロマグロ(赤身)、マサバ、タラコ、マイタケなど

・パントテン酸【主な働き】ストレスを和らげ、肌や髪の健康をサポート。エネルギー代謝の手助けもします。【不足すると?】手足のしびれ、頭痛などの不調や免疫力の低下を招く一因に。【多く含まれる食品】鶏レバー、鶏ササミ、子持ちガレイ、タラコ、納豆、アボカド、玄米ごはんなど

・ビタミンB6【主な働き】たんぱく質の代謝を助け、脳と神経の働きを正常に保ちます。また、ホルモンの働きを調整する働きもあります。【不足すると?】肌荒れ、口内炎を招きやすくなります。【多く含まれる食品】クロマグロ(赤身)、カツオ、牛レバー、サンマ、ブロッコリー、モロヘイヤなど

・ビオチン(ビタミンB7)【主な働き】糖質、たんぱく質、脂質をエネルギーに変える手助けをし、皮膚や髪の健康を保ちます。【不足すると?】皮膚炎や抜け毛、白髪、爪がもろくなりやすいなどの不調の誘因に。エネルギーが足りず、疲れやすくなります。【多く含まれる食品】鶏レバー、豚レバー、鶏卵、納豆、マイタケ、スキムミルクなど

・葉酸(ビタミンB9)【主な働き】ビタミンB12と協力して赤血球をつくり、貧血を防ぎます。また、正常なDNAをつくる手助けをするなど、胎児の発育に関与します。【不足すると?】巨赤芽球性貧血を招きやすくなります。また、妊娠初期の不足は胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まります。【多く含まれる食品】鶏レバー、ウマギの肝、トウモロコシ、ブロッコリー、なばな(菜の花)、枝豆、モロヘイヤなど

・ビタミンB12【主な働き】赤血球をつくり、貧血を予防するため別名「造血ビタミン」と呼ばれています。傷ついた神経細胞を修復する働きもあります。【不足すると?】悪性貧血を招きやすくなります。植物性食品にほぼ含まれない栄養素なので、ベジタリアンやヴィーガンの人は不足しやすくなります。【多く含まれる食品】牛レバー、サンマ、アサリ、シジミ、ハマグリ、赤貝、カキ(牡蠣)など

・ビタミンC【主な働き】コラーゲン生成に関与し、ミネラルの鉄の吸収を強力サポートします。体内の酸化を防ぐ抗酸化力の高さも特徴です。【不足すると?】皮膚のシミやシワの誘因に。毛細血管がもろくなり出血する壊血病を引き起こしやすくなります。喫煙やストレスで大量に消費され、不足しやすくなります。【多く含まれる食品】パプリカ(赤)、ブロッコリー、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、キウイフルーツ、柿など

冬至のカボチャ、土用のウナギ…先人の知恵は凄かった

疲れやすい、だるい、などの不調はビタミン不足が原因かも?
疲れやすい、だるい、などの不調はビタミン不足が原因かも?

これら13種類のビタミンを効率よく摂るコツは、やはり「多様な食材を食べること」。

例えば、もうすぐやってくる「冬至」に食べるカボチャは、抗酸化力の高いビタミンA・C・E(ビタミンエース)が一度に摂れるスーパーフード。また、「土用の丑の日」のウナギも、スタミナだけでなく多彩なビタミンを含んでいます。

日本の伝統的な「一汁三菜」や、ぬか漬け・納豆・焼き魚といった朝ごはんの定番メニューは、これらビタミンを無理なく補える理にかなった食事なのです。

年末年始の忙しい時期こそ、サプリメントだけに頼らず、旬の食材からビタミンチャージをして、元気に冬を乗り切りましょう。

冬至に食べる「カボチャ」
冬至に食べる「カボチャ」

冬至に食べる「カボチャ」は抗酸化力の高いビタミンA・C・Eが一度に補給できる優等生!

「ウナギの蒲焼き」。
「ウナギの蒲焼き」。

たんぱく質・脂質だけでなく、多彩なビタミンを含む「ウナギの蒲焼き」。

日本の朝ごはんの定番メニュー
日本の朝ごはんの定番メニュー

ぬか漬け、納豆、焼き魚、卵…。日本の朝ごはんの定番メニューは、三大栄養素+ビタミンも補える理にかなった食べ合わせの好例です。

(野村ゆき)

元記事で読む
の記事をもっとみる