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ポップでクール!新進気鋭のアーティスト・茶薗彰吾さんインタビュー【私の推しごと#27】

  • 2025.12.12

福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。

#27は、現在、『六本松 蔦屋書店』でアートとグッズの展示販売イベント『STEREOLIFE(ステレオライフ)』(サブ会場/九大伊都 蔦屋書店、福岡天神 蔦屋書店)を開催中のグラフィックアーティスト・茶薗彰吾さん。

80年代カルチャーやストリート文化の影響を受けたポップで自由な作風の作品が、大きな注目を集めています。

現在は湘南を拠点に活動されていますが、福岡は12年間過ごしたデザイナーとしての原点の地。凱旋個展の初開催にかける思いや、デザイナーからアーティスト活動へと一歩を踏み出した経緯、両立の秘訣などをうかがいました。

茶薗彰吾さん
画像:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

「茶薗彰吾(ちゃぞの・しょうご)」プロフィール 1983年鹿児島県鹿屋市生まれ、宮崎県都城市育ち。福岡で12年間グラフィックデザイナーとして活動後、上京。大手メーカーの食品・飲料パッケージデザインを数多く手掛け、現在は外資系ブランディング会社のデザインディレクターとして、CI(コーポレート・アイデンティティ)・VI(ビジュアル・アイデンティティ)を中心に大手企業のブランド構築に携わる。 デザインディレクターを職業としながら、2023年にアーティストとしてのキャリアをスタート。長年培ったデザインスキルと表現力をもとに、これまでの仕事とは全く異なる創造プロセスで、独自のアート活動を展開している。 デザイン、コラージュ、アートを交えたPOPで多彩な表現スタイルは、ジャンルにとらわれない独特の世界観を形づくる。アーティストブランド「STEREOLIFE」を通じてグッズやアパレルも展開し、デザインとアートの境界を軽やかに行き来している。 HP:https://showgochazono.com/ Instagram:@sg_czn

「デザイナー」と「アーティスト」の二足の草鞋

まずは、茶薗さんに「お仕事」の平均的な1日、そして「推しごと」を楽しむ日のタイムスケジュールを教えていただきました。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

「仕事」と「休日」ではなく、「デザイナー」と「アーティスト」のそれぞれの活動の1日! デザインディレクターとして企業に勤めながら、プライベートではアートの創造活動を行う、二足の草鞋(わらじ)を履く茶薗さんならではです。

茶薗 彰吾さんタイムテーブル
画像:ARNE

Q:茶薗さんの「推しごと」はアーティスト活動なんですね。会社員としての仕事(デザイナー)と両立させているなんて、大変そうです。

はじめは朝から夕方まで会社の仕事をしたら、一度寝て、21時くらいから明け方まで創作していました。僕は起きた直後が最も調子が良く、さまざまなアイデアが下りてくるタイプなので、1日に“寝起き”を2回つくったんです。今は(アーティスト活動での)個展の規模が大きい時は、休職して創作に集中しています。仕事でもアーティスト活動でも、基本的に午前中に大事なことを進めます。集中力がもたないので7時間以上続けることはありません。

Q:大手企業のコーポレート・アイデンティティやビジュアル・アイデンティティ、ロゴ、商品パッケージなどを手がける茶薗さん。普段の仕事での「デザイン」では、どこに面白さを感じていますか?

クライアントワークの中で、自己表現の一部を「デザイン」に昇華できるのが楽しいです。戦略的に考えビジネスとしてデザインが成り立つようにつくること、つくったものに責任を持つことは、もちろん大変です。それでも、自分の作品が世に出てCMで流れ、「みんなが知っているあのデザインは、僕の作品なんだよ」と言えることにやりがいを感じますし、消費者が喜んでくれるとうれしいです。SNSで反響をチェックすることもあるんですよ。

―デザインの仕事を始めて22年、20代と今で心境の変化はありますか?

何も変わっていないと、今になって思います。僕はやっぱり、自己表現をしたい。そして、なるべくみなさんの手に届くもの、目に触れるものに携わりたいというのは変わりません。デザイナーはどこまでも黒子で、企業様ができないことを代わりにデザインを通して表現する仕事です。

その黒子であることにしびれを切らしてアーティスト活動で表に出てきました(笑)。自分の作品と自分自身を、リンクしてほしくなったんです。

Q:茶薗さんが仕事やアーティスト活動で欠かせないこととは?

仕事では「デザイン=情報を整理すること」です。情報を整理したうえで、余白に表現や遊びを入れる。なので、仕事を始める時も、まず広い机の上を片付けます。机には何も置きません。ガジェットやペンを置く時でも、きちんとレイアウトしています。

一方でアーティスト活動の場合は、衝動や発散を大事にしたいので、片づけません。散らかったところからスタートして、散らかったまま終わる。

これは、意図するかしないかの違いです。デザインは完成形が明確に頭にあり、意図してつくるもの。アートは意図せずにつくることが面白い作品に繋がると思います。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

Q:アプローチの仕方も異なる「デザイン」と「アーティスト活動」。両立させるのはすごいことだと感じます。

僕は根がデザイナーなので、今後もデザインの仕事に関わっていきます。ただ、それを基盤にアーティスト活動が加わったことで、人生がさらに面白くなった。

大変なこともありますが、一つの仕事だけでなく、趣味でもいいからいくつか同時に動かせると、人生が倍楽しいのでは、と思うんです。みなさんにも、ぜひ「二足の草鞋(わらじ)」を推したいです。

Q:創作活動で愛用しているものはありますか?

仕事はほとんどがパソコンの中で完結するので、スマホとタブレットとパソコンですね。

アーティスト活動の時は、アイデアノートとペンです。ノートには日々のToDoリストのほか、アイデアやラフスケッチ、忘れたくない格言や名言、心の所在地を書き残しています。「何がしたくて、今、絵を描いているのか」という心の軸がないと、アートをつくり続けられないし、伝わるものも伝わらないと思うんです。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

今年(2025年)の1月には「ドリームリスト」に、「福岡で個展をする」と書きました。この時はまだ、今回の個展の話はいただいてなかったんです。1年が終わる12月に福岡で個展を開催できて……やはり、夢は書くと叶うんだなと実感しています。

―ノートにはさまざまなことを書き留めているんですね。

悩みごとも書いていますよ。悩みがある場合は、書いて3日あけて、自分で返答を記入しています。たいていのことは、自分で解決できるんですよね。

あっ、「本気とはどういうことか」という「本気の定義」も残してる! 暑苦しい人と思われそう(笑)。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

こういった日々考えたことやドリームリストは、スマホでも保存できますが、そうするともう、自分の目に留まらなくなるので、やはりノートに記すことが大事だと思っています。

もう一つ、1月から12月までを一目で見ることができるカレンダーも持ち歩いています。年始にマイルストーンを置き、半年先まで見通して今やるべきことを考えるようになってから、1年の使い方が変わりました。夢も叶いやすくなった気がします。

「お仕事」のイチ押し

2026年1月12日(月)まで『六本松 蔦屋書店』をメインに開催中の茶薗彰吾さんによるアートとグッズの展示販売イベント『STEREOLIFE』。

茶薗彰吾さんによるアートとグッズの展示販売イベント「STEREOLIFE」/メインビジュアル
提供:茶薗彰吾

茶薗さんの作品のアイコン・5つの目を持つ動物のキャラクターは、「現代人の目は二つでは足りない」をテーマに、現代人の理想に内在する“敏感さ”と“鈍感さ”を表現しているのだとか。

茶薗彰吾さんアート作品
提供:茶薗彰吾

メイン会場となる『六本松 蔦屋書店』では、2025年に制作された新作25点を展示。またサブ会場の『福岡天神 蔦屋書店』と『九大伊都 蔦屋書店』では、これまでの個展で発表してきた過去作品が展示されます。

会場では、Tシャツや帽子などのアパレルグッズや、ステッカーやキーホルダーなど、茶薗さんのアーティストブランドのオリジナルグッズも購入できます。※会場により取り扱いアイテムは異なります。

茶薗彰吾さんによるアートとグッズの展示販売イベント「STEREOLIFE」/販売グッズイメージ
提供:茶薗彰吾

『六本松 蔦屋書店』『福岡天神 蔦屋書店』では、イベント開催を記念したコラボレーション商品も登場!

手土産にすれば話題必至、蔦屋書店オリジナルパッケージのクラフトビール。そして、茶薗さんの直筆サイン入りもうれしいe-Bike「BESV PSA2」の2種がありますよ。

Q:今回の個展「STEREOLIFE」のテーマは?

『STEREOLIFE』は僕の初めての個展と同じタイトルなんです。アーティスト活動を始めた2023年からの2年間で培ったこと、最初の個展で実現できなかったことを、福岡の広い会場でやりきるのが目標です。

また、作品は「今をどう生きるか」をテーマに描きました。僕自身が創作しながら、「もっと早く始めればよかった」「こうすればよかった」という焦りを感じ、一方で新たな「気づき」も得られたので、今回の作品に込めています。

―特に「The Times」は自信作。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

こちらの「The Times」を描いたのは、「人生は短いから、早く動かないと時間があっという間に過ぎていく」と焦っていた頃でした。先ほどのように二足の草鞋を推すのも、時間がまたたく間に流れていく焦燥感があるからです。今回の作品は自分の人生観が強く表れていると思います。

―確かに「STEREOTYPE」の文字が折られた「The Times」は、メッセージ性を強く感じます。どのように製作したんですか?

先に自分で描いたイラストなどを組み合わせたコラージュ部分を完成させ、僕の作品のアイコンである目が5つあるキャラクターを入れました。キャラクターが入ることで消えた文字があるのは、「意図しない」から。僕の作品はこういったアート、コラージュ、デザインの融合であり、これらがないと僕がやる意味がないと思っています。

ちなみに、5つの目を持つ動物のキャラクターは最初の作品から描き続けていて、個展を重ねるたびにより洗練された表現へ変わってきています。期間中は『九大伊都 蔦屋書店』と『福岡天神 蔦屋書店』には過去の作品を展示していますが、雰囲気が違います。もしかしたら、同じ人が描いているとは思わないかも。見比べてもらえると楽しいと思います。

Q:茶薗さんにとって、作品を生み出す喜びとは?

忘れられない一言があるんです。作品を見た人が「ありがとう、目が覚めたよ」と言ってくれて、「あ、これだ」と思いました。「僕が伝えたかったことが伝わったかもしれない。こういう人をもっと増やせたら」と。その人が何に目が覚めたのかは聞きませんでしたが、僕の作品から何かを感じ取ってもらえたらうれしいです。

(※写真は、ARNEの「A」ポーズ)

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

Q:最後に、福岡で個展を楽しみにしてくださっているみなさんへメッセージを。

地元福岡を離れて10年が経ち、デザインやアートを通してたくさんの素晴らしい機会に恵まれました。こうしてアーティストとして帰ってきて、ステキな会場で個展を開催し、みなさんに作品を見てもらえるのはとても光栄なことです。自由に作品を楽しんでくださいね。そして両親や恩師、お世話になった仕事仲間や友人たちには、僕の成長を感じてもらえたらと思っています。

茶薗彰吾さん
画像:ARNE/撮影:松本創

―アーティストとしての活動歴はまだ短いながらも、着実にファンを増やしている茶薗さん。

「在廊している日は、話しすぎて声が枯れることもある」のだとか。作品について作者に直接聞けるなんて、めったにない贅沢な機会。とっても気さくに話してもらえるので、在廊日やワークショップにぜひ訪れてみて!(取材・文/奥永智絵)

<茶薗彰吾「STEREOLIFE」開催概要>
会期:
2025年12月5日(金)~2026年1月12日(月・祝)
場所・開催時間:【メイン会場】六本松 蔦屋書店 ギャラリースペース(福岡市中央区六本松4‐2‐1)9:00〜22:00
【サブ会場】福岡天神 蔦屋書店(福岡市中央区天神一丁目11-1 ONE FUKUOKA BLDG. 4階)/九大伊都 蔦屋書店 アートラウンジ(福岡市西区九大新町5‐1)各10:00〜21:00
入場料:無料
「六本松 蔦屋書店」アーティスト在廊日時:2025年12月13日(土)、20日(土)、21日(日)各12:00~16:00
※在廊スケジュールは変更となる場合があります。茶薗さんと直接お話しされたい方は、事前に茶薗さんのInstagramをご確認のうえ、来場を。
問い合わせ(メール):ropponmatsu.event@ccc.co.jp(六本松 蔦屋書店 イベント係
公式サイト:https://store.tsite.jp/ropponmatsu/event/art/50990-0947521105.html

<ワークショップイベント>
茶薗さんと一緒に、自分だけのオリジナル缶バッジを作ろう! 紙に自由に描いた絵を丸く切り取り、缶バッチマシンにセットするだけ。子どもから大人まで楽しめます(所要時間:約15分)。

茶薗彰吾さんワークショップ
提供:茶薗彰吾

会場:九大伊都 蔦屋書店 アートラウンジ(福岡市西区九大新町5‐1)
開催日時:2025年12月14日(日) 11:00~15:00
定員:なし(材料が無くなり次第終了)
材料費:1個300円 ※パッケージ付き参加方法:直接会場に来店を。
注意事項:小学生以下のお子さまは、保護者の同伴が必要です。
主催:九大伊都 蔦屋書店
お問合せ:092-407-2360(九大伊都 蔦屋書店)

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