1. トップ
  2. 恋愛
  3. 俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」

  • 2026.2.27

幼少期から、物事をそのまま受け取ることが少なかったという青木崇高さん。説明書どおりに作るはずのプラモデルにも、つい疑問を抱いてしまう。その「立ち止まる癖」は、大人になった今も変わらず、俳優として台本に向き合う姿勢や、演じることへの考え方に深くつながっています。子ども時代の記憶、絵本との出会い、そして言葉の外側にあるものをひろい続ける感覚が、今の仕事にどう繋がっているのか、話を聞きました。

考えて確かめることが 必要な子どもだった

――子どもの頃は、どんなお子さんでしたか?

結構、疑り深かったと思います(笑)。「ほんまか?」って、すぐ思うタイプ。何かを教えられても、そのまま受け取る前に一回立ち止まって考えてしまうんです。たとえば、プラモデルとか、説明書を見ながら作っていても「ん? この形はおかしいやろ」って、どうしても思ってしまって。接着剤を使わない組み立て式の恐竜の模型があったんですが、前足と後ろ足のバランスがどうしても信じられなくて、「絶対違うやろ」って、勝手に接着剤で固定していました(笑)。変な頑固さがあったと思います。どうしても納得できなかったんですよ。

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」の画像1

――ユニークですね。その「疑う」という感覚は、どこからきていたんでしょう?

疑うというより、一回立ち止まって考えたかったんだと思います。本当にそうなのか、ほかの可能性はないのか。全部を否定したいわけじゃなくて、そのまま受け入れる前に、自分の中で一度確かめたいという気持ちが強かった子どもだったんだと思います。

大人になって気づいた 絵本の力

――子ども時代には、どんな絵本を読んでいましたか?

『100万回生きたねこ』など、いろいろ読んでいたと思います。ただ、子どものころより大人になってからのほうが、絵本を好きだと感じているかもしれません。年を重ねてから改めて読み返すと、全然違うものが見えてくるなと感じているんです。

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」の画像2

――どんなところに惹かれるようになりましたか?

大人になってから読むと、書き手が子どもに対して、あるいは世の中に対して、どういう気持ちを大切にしてほしいのかを表現しているかが見えてきますよね。ただ、子どもはそのすべてのメッセージを直接的に受け取れないことも多い。もちろん、受け取らなくてもいいと思うんです。そのときはわからなくても、どこかに浸透していって、それがあとから効いてくるものなのかな、と。それに気づいたとき、改めて、絵本ってすごいなと思ったんです。

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」の画像3
『100万回生きたねこ』 佐野洋子/作・絵 講談社 1650円

――大人になってから絵本の意図に気づいて、それが幼心にどう影響していたか知ることって確かにあるかもしれません。

学生のころ、甥っ子に絵本を買ってあげようと思って読み返したら、自分のほうが泣いてしまうみたいなこともありました。「ああ、なんてすごい本なんだろう」って。絵本の力って、やっぱりすごいなと思います。

――ご自宅ではどんなふうに絵本を楽しんでいますか?

よく子どもへの読み聞かせをしています。声に出して読むのは深い。たとえば、「ぷくぷく」って書いてあったとして、それを必ず「ぷくぷく」って発音しなきゃいけないのか?って思うんです。文字としては「ぷくぷく」なんですけど、本当はほかにも表現しきれない音があって、無理やり日本語に落とした結果が「ぷくぷく」なだけなんじゃないかなって。

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」の画像4

――言語になる前のものがある、ということですか?

そうですね。たとえば(大きくはっきりした声で)「ぷくぷく!」と、(やわらかくゆっくりと)「ぷぅくぅぷぅくぅ」では、全然違うじゃないですか。強いて文字にするならこれ、というだけで、音自体はもっと幅がある。いろんな可能性があると思うんです。単純な意味づけをしすぎると、余白がなくなってしまう気がしてしまう。教えようとか、わかりやすくしようとせずに、余白を大事にしたほうが楽しいんじゃないかと思います。

文字化しきれない 感情や時間を演じたい

――その感覚は、俳優としての仕事にもつながっていますか?

かなりつながっています。台本もそうですけど、文字はツールという感覚が強いです。感情がまず発露されて、それを伝えるために後天的に言葉や文字を使っているから。そう考えると、文字になる前にある物事のほうが、圧倒的に多いんじゃないかな、と。

俳優・青木崇高さんインタビュー「子どもの頃から『ほんまか?』と、一旦立ち止まって考えるタイプです」の画像5

――台本を読むときも、演技する際も意識するものですか?

はい。文字に書かれていない時間や感情をどれだけ想像できるかを大事にしたい。それをしっかりとひろっていくことで、ステレオタイプじゃない、自分たちの身近にいるような人間が立ち上がってくるんじゃないかなと思っています。台本を読んだときに、たくさんのものが自分のなかに蓄積できていたほうが、現場での驚きや新鮮さにつながると感じています。

疑うことは、 壊すのではなく、考えること

――現在は、「館」シリーズ実写化第2弾のHuluオリジナル「時計館の殺人」に出演されています。十角館の惨劇から3年が経ち、島田は駆け出しの推理作家・鹿谷門実として、館の主人が遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追う役どころですね。

はい。作家という役柄でもありますし、物語のなかで謎を説明していく立場ですが、ただ言葉を並べればいいというわけではないんです。謎解きのセリフはかなり長くて情報量も多かったので、単純に覚えて話すだけだと成立しないなと感じていました。

――先ほど話していた、文字にいたるまでの感情や背景が大切だということにつながります。

まさに、そうです。謎解きって、どうしても情報を伝えることが目的になりがちなんですけど、それだけだと人間として立ち上がらないと思うんです。その人がなぜ今ここでそれを語っているのか、どういう思考の流れがあったのかを考えないといけない。特にあの長いセリフは、言葉の意味だけじゃなくて、間とか、呼吸とか、視線とか、そういうものすべてを大事にしなければいけないな、と。ドラマとして立体的になる瞬間には、文字化しきれないものがたくさんあると思っています。

――なるほど。説明を説明と感じさせないようにしなければいけなかったんですね。

今回は新たに作家という立場も加わって、前作よりもさらに静かに俯瞰して物事を見ている部分はあると思います。でも一方で、冷静だからといって感情がまったく動かないわけでもない。その両方をどう出すかは意識していました。そのなかで、最後のシーンは物語を受け取るうえで大事な場面だと思っていたので、できるだけ押し付けにならないようにしたかったですね。セオリーどおりに説明するだけじゃなくて、この人が今どういう状態で話しているのか、そこを感じてもらえたらいいなと思って演じていました。

――セオリーをそのままなぞらないというのは、どういうことですか?

たとえば、Aの読み方や表現が、いちばん万人にわかりやすいとします。でも、それだけじゃおもしろくない。それとは別のBという読み方やCという表現の可能性も考えてみるんです。最終的に決めるのは監督ですけど、間違っていたら修正すればいいし、「こういう選択肢もありますよ」って差し出すのが、自分の役割なんじゃないかなと思っています。

――子どもの頃と同じように、すんなり受け取らないという感覚や、絵本の読み方はひと通りではないという感覚に近いということでしょうか。

そうなんです。疑うって、壊すことじゃなくて、考えること。その癖は、今もこれからも変わらないんでしょうね。

青木崇高
あおきむねたか/俳優。大阪府八尾市出身。2002年の映画『マッスルヒート』で俳優デビュー。NHK大河ドラマ『龍馬伝』『鎌倉殿の13人』などの話題作に出演するほか、映画『るろうに剣心』シリーズや『ゴジラ-1.0』、『犯罪都市 NO WAY OUT』、『ミッシング』など多彩な役柄を演じる。TBS系バラエティ『ララLIFE』のメインMCを務めるなど、活躍の幅を広げている。

INFORMATION

Huluオリジナル「時計館の殺人」

鎌倉の外れに建つ謎の館・時計館。3年前に起きた十角館の惨劇を知る江南孝明(奥智哉)は、オカルト雑誌の新米編集者として、ある企画の取材班の一員として時計館を訪れる。館に棲むと噂される少女の亡霊と接触する交霊会が行われた夜、参加者のひとりが忽然と姿を消し、以降、閉ざされた館の中で、メンバーが何者かに、次々と襲われる。一方、推理作家の鹿谷門実(青木崇高)は、館の主人が遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追うことに。館内と館外、二つの視点が交錯する中、針のない時計塔に秘められた真実とは。ミステリー史に残る大トリックを軸に、人間の心理と知性のせめぎ合いを描く本格ミステリー作品。

出演:奥 智哉 青木崇高 ほか
原作:綾辻行人 『時計館の殺人(上)(下)』(講談社文庫)
©綾辻行人/講談社 ©HJホールディングス・NTV

〈第1部〉第1話〜第6話 Huluにて独占配信中
〈第2部〉第7話・最終話 3月20日(金)よりHuluにて独占配信

インタビュー/晴山香織 撮影/坂口愛弥(TABUN) スタイリング/小泉美智子 ヘアメイク/髙橋雅子

元記事で読む
の記事をもっとみる