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25年前、「余韻」を捨てて走り抜けた“全力ポップ” 「かわいい」だけでは終わらない3人

  • 2026.1.11

2001年2月。冬から春へと向かう街は、まだ少し冷えていて、それでもどこか浮き足立っていた。携帯電話の着信音が増え、改札前の会話が長くなる。そんな空気の中で、一気に色温度を上げるようなポップソングが鳴り響いた。それは「かわいい」だけでは終わらない、明確な意志を持った一曲だった。

プッチモニ『BABY! 恋にKNOCK OUT!』(作詞・作曲:つんく)――2001年2月28日発売

光を放つための、再編成

この曲は、プッチモニにとって3枚目のシングルであり、新体制では第2弾にあたる作品だ。第2期メンバーは、保田圭、後藤真希、吉澤ひとみ。グループの重心が変わり、声の質も、ステージでの立ち姿も変化したタイミングだった。

当時のつんくが掲げたテーマは「原色J-POPミュージック」。曖昧さを排し、輪郭を太く描く。迷いを残さないポップソングを作るという意志が、制作段階から明確に存在していた。

原色で塗られた、一直線のポップ

『BABY! 恋にKNOCK OUT!』の最大の魅力は、音が持つスピード感と明度の高さにある。

イントロから勢いよく展開されるビート、隙間を作らないバックトラック、そして一瞬も温度を落とさない構成。すべてが「前へ進む」ことを前提に設計されている。

小西貴雄によるアレンジは、クラブミュージック的な要素を咀嚼しながらも、J-POPとしての親しみやすさを失わない絶妙なバランスに仕上がっている。

音数は多いが、決して雑にならない。むしろ整理され、ダンスと歌が同時に成立するための空間が、緻密に作られている印象だ。

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後藤真希-1999年撮影(C)SANKEI

3人の声が描いた、3つの輪郭

この曲では、3人それぞれの個性が明確に機能している。後藤真希のボーカルは、強さと鋭さを担い、楽曲の推進力そのものになる。以前よりも意志の輪郭がはっきりと感じられ、ポップでありながら芯のある存在感を放っている。

保田圭は、楽曲全体の安定軸だ。リズムへの理解とコントロールが高く、楽曲を地面にしっかりと接地させる役割を果たしている。

そして吉澤ひとみは、経験の少なさを感じさせない集中力で、フレーズを積み重ねていく。逃げず、粘り強く歌う姿勢が、そのまま音に現れている。

3人の声が交わることで、単なるユニゾンではない立体感が生まれていた。

ステージを前提にした完成度

『BABY! 恋にKNOCK OUT!』は、CDの中だけで完結する楽曲ではない。

ダンスの構成、表情の切り替え、ポップとロックを行き来する振り付け。そのすべてがステージでの再現を前提に組み立てられている。

特に、女性ダンサーにとって難度の高い動きを含む振り付けは、楽曲の持つエネルギーを視覚的にも補強した。それは努力や鍛錬を感じさせない形で提示され、結果として「軽やかだけど本気」という印象を強く残す。

迷わないポップが残したもの

この曲が放ったのは、切なさや余韻ではない。恋に落ちる瞬間の高揚、その勢いのまま走り出す感覚を、ためらいなく鳴らし切る潔さだった。

このストレートさは決して当たり前ではない。だからこそ、『BABY! 恋にKNOCK OUT!』は、今聴いても色褪せない。原色のまま、スピードを落とさず、記憶に残り続ける一曲として。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。