1. トップ
  2. エンタメ
  3. “王子様系イケメン”として世を虜にしたトップアイドル。天才料理人から“クズ男”まで…「底しれぬ俳優」の現在地

“王子様系イケメン”として世を虜にしたトップアイドル。天才料理人から“クズ男”まで…「底しれぬ俳優」の現在地

  • 2026.6.16
undefined
※ChatGPTにて作成(イメージ)

きれいな顔立ちでアイドルとして世に出た人を、つい「イケメン枠」とひとくくりにしてしまう。玉森裕太も、そう見られてきた一人かもしれない。

でも、この人の歩みを追っていくと、その言葉ではまるで足りないことが分かる。主役を任されれば主役として、誰かの隣に回れば二番手として、玉森はどちらでも作品をきちんと成立させてしまう。主演か助演か、その上下では測れない。どちらでも輝ける男。それが玉森裕太だ。

華やかな入り口から始まった

玉森のキャリアは、たしかに華やかな入り口から始まった。Kis-My-Ft2としての活動と並行して俳優としてもキャリアを進めていく。2011年のTBS系『美男ですね』では、人気バンドのプリンス・桂木廉を演じ、民放の連続ドラマで初主演を果たした。まさに王子様のような役で、ルックスの良さを存分に活かした。多くの人が、ここで玉森を「きれいな顔の子」として覚えたはずだ。

ただ、玉森はそこに留まらなかった。2013年のテレビ朝日系『信長のシェフ』では、戦国時代へ迷い込んだ料理人ケンを演じ、連続ドラマの単独初主演を務めている。20代前半で、一本のドラマを背負った。見た目だけでなく、主役を張れる力が早くからあったということだ。

アイドル出身の俳優にとって、単独初主演は一つの大きな関門だ。話題先行で終わらず、最後まで物語を引っ張れるかが問われる。玉森はその関門を、まだ若いうちにくぐっている。この頃からすでに、「顔だけの人」ではなかった。

隣に立つほど芝居が深くなる

面白いのは、玉森の芝居が強く印象づけられたのが、主役のときだけではなかったことだ。誰かの隣に回った役でも、その実力ははっきりと伝わった。

2017年には湊かなえ原作のTBS系ドラマ『リバース』で、主人公の友人・浅見を演じ、TV Stationドラマ&アニメ大賞で助演男優賞を受けた。2019年のTBS日曜劇場『グランメゾン東京』では、重要な役どころである平古を演じ、第103回ザテレビジョンドラマアカデミー賞および第29回TV LIFE年間ドラマ大賞の助演男優賞に輝いている。木村拓哉が演じる尾花の隣で、悔しさやプライドをにじませる芝居が高く評価された。

主役の隣に立ったとき、玉森の芝居はいっそう深くなる。一歩引いた役だからこそ、こらえた感情がにじむのだ。主演だけが評価されやすい世界で、玉森は「隣にいる役」で確かな手応えを残した。脇に回っても作品を動かせる。それが、はっきりと形になった瞬間だった。主役を張れる人が、あえて二番手でも全力を出す。そのふり幅こそ、この人の強さである。

自分の看板に自分で傷をつける

玉森が面白いのは、つかんだ「王子様」のイメージに、自分から手をかけるところだ。2024年のTBS系ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』では、奈緒演じる主人公の相手役・葛谷海里を演じた。昼はカメラマン、夜はバーテンダー。人当たりのいい顔で女性に近づく、金髪の「クズ男」である。

きれいなだけの王子様とは正反対の役だ。長年の爽やかなイメージを、わざわざ自分で崩しにいった。守りに入れば、これまで通りの好青年を続けることもできたはずだ。それでも玉森は、自分の看板に自分から傷をつけにいく。

しかも、それでいて嫌味にならず、どこか憎めない。ルックスに頼るのではなく、ルックスを役の道具として使いこなす。単なるイケメンではない、というのはこういうことだ。整った顔を持っていることは、もう彼にとって出発点でしかない。

真ん中でも隣でも生きてみせる

2026年、玉森はふたたび主演と二番手のあいだを、軽やかに行き来する。4月期のTBS日曜劇場『GIFT』では、山口智子演じる母・坂本広江の息子で、作曲家を志しながら挫折を抱える音楽事務所のマネージャーを演じた。やはり、大きな座組の中で物語を支える側にいる。そして7月スタートのテレビ朝日系『マイ・フィクション』では“ある日突然、自分だけが忘れられた”状況に陥る主人公を演じる。

主役でも、二番手でも。玉森裕太は、どちらの場所でもその役をまるごと生きてしまう。隣に立てば物語を支え、真ん中に立てば物語を引っ張る。その両方ができる俳優は、案外多くない。イケメンという入り口から始まって、ずいぶん遠くまで来た。次はどちらの椅子で、私たちを驚かせてくれるだろう。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる