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かつて圧倒的人気を誇った「戦隊ヒーロー」俳優。NHK朝ドラ主演→“最凶の敵”へと君臨する現在地とは

  • 2026.6.14
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玉山鉄二-2007年3月撮影(C)SANKEI

役者の存在感は、必ずしも画面の中心で測れるものではない。主役の隣に立ち、その物語に奥行きと緊張を与える。玉山鉄二は、長くそういう場所で力を発揮してきた俳優だ。

彼が演じてきたのは、主人公に立ちはだかる強敵であり、主役を支える伴走者だった。中心ではなく、その向こう側。だが物語の手応えは、たいていそこから生まれている。主演も早くから任されてきたが、彼がいちばん冴えるのは、決まって主役の隣や向こう側だった。中心に立てる力を持ちながら、あえて支える側で物語に深みを出す。そんな得難い俳優である。

中心の外から現れる

玉山の原型は、デビューから間もない一本にすでにある。2001年のテレビ朝日系『百獣戦隊ガオレンジャー』で、彼はガオシルバーこと大神月麿を演じた。チームの輪の外から現れる、孤高の先代戦士だ。中心の五人ではなく、その外側から物語をかき回す立ち位置。ここに、後の玉山のキャリアが小さく凝縮されている。

2005年の映画『NANA』では、人気バンド・TRAPNESTを率いるタクミを演じた。中島美嘉と宮崎あおいが演じる二人のナナの物語を、隣で静かに動かす男だ。主役そのものではなく、主役の運命を握る側に、彼はいた。

敵役で真価を見せる

玉山の名を決定づけたのは、対抗軸としての強さだった。2009年の映画『ハゲタカ』。彼が演じたのは、敵対的買収を仕掛ける中国系ファンドの劉一華、通称「赤いハゲタカ」だ。主人公の前に立ちはだかる最大の脅威を、冷たい知性と熱を併せ持つ人物として立ち上げた。この役で第33回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞している。

NHK大河ドラマでも、玉山は強敵や悲劇の人物を任され続けた。2009年『天地人』の上杉景虎、2013年『八重の桜』の山川大蔵、2018年『西郷どん』の桂小五郎、2023年『どうする家康』の大野治長。実在の重い人物を4作で背負ったことは、制作側の信頼の証しにほかならない。2024年のドラマ『笑うマトリョーシカ』で演じた、政務秘書官・鈴木俊哉もそうだ。表で輝く人物の、その背後を担わせると、玉山はとびきり冴える。

主役でも支える側に回る

向こう側に立つ男は、主役を任されてもその性質を変えなかった。2014年から放送されたNHK連続テレビ小説『マッサン』で、玉山は主人公・亀山政春を演じた。日本のウイスキー造りに挑む男だが、物語の中心にいるのは異国から嫁いだ妻エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)だ。政春は、その妻を信じ支え続ける夫として立つ。朝の連続テレビ小説の主演という座にいながら、彼はやはり誰かを支える側を選んでいた。

玉山は、主演も脇も分け隔てなく引き受けてきた。2005年の映画『逆境ナイン』や、映画『カフーを待ちわびて』(2009年)と、早くから画面の真ん中にも立っている。

象徴的なのが次元大介だ。2014年の映画『ルパン三世』で相棒の次元を演じ、2023年のAmazon Original映画『次元大介』では、そのスピンオフで主演まで務めた。とはいえ次元は、ルパンという主役の隣に立つ相棒。彼の評価を決定づけたのも、隣に立って物語を厚くする力のほうだった。主役も務まる人が、あえて向こう側で深みを出す。そこにこの俳優の妙がある。

考えてみれば、向こう側に立つというのは、ずいぶん難しい仕事だ。中心の俳優より目立ってはいけないが、弱くてもいけない。主役の輝きを引き出しながら、自分の存在もきちんと画面に刻む。その絶妙な力加減を、玉山は長い時間をかけて自分のものにしてきた。

強すぎず、弱すぎず、物語にちょうど必要なぶんだけ立つ。その節度こそが、四半世紀を超えて起用され続ける理由なのだろう。派手に主役を張る華やかさとは別の、玄人好みの確かな強さが、この人にはしっかりと備わっている。

向こう側のいちばん深くへ

2026年、玉山はふたたび強敵の側に立つ。WOWOW『北方謙三 水滸伝』で演じたのは、梁山泊の最大の敵となる青蓮寺の高官・李富(りふ)。主人公たちの理想に正面から対峙する役だ。そして7月からは日本テレビ系土曜ドラマ『告白−25年目の秘密−』で、警視庁捜査一課の刑事・佐倉泰輔を演じる。物語の鍵を握る人物として、ここでも主役の隣に位置している。

中心の華やかさではなく、その向こう側で物語を支え、ときに脅かす。主役に立ちはだかる強敵も、主役を背中で支える伴走者も、玉山が立てば物語の手応えが一段増していく。彼は、そういう役者にしか出せない深みを、今も静かに更新し続けている。


※記事は執筆時点の情報です

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