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「カビ? 病気?」白菜の“黒い斑点”を見て捨てていませんか? 農水省が「食べて」と呼びかける、意外な正体とは【栄養士解説】

  • 2025.12.6

農水省が呼びかけ「黒い斑点があっても捨てないで!」

筆者宅の白菜にも小さな黒い斑点がチラホラと。カビ?病気?その正体とは?
筆者宅の白菜にも小さな黒い斑点がチラホラと。カビ?病気?その正体とは?

冬の食卓に欠かせない白菜。いざ料理しようと包丁を入れたとき、白い茎の部分に黒いゴマのような斑点がびっしり……という経験、ありますよね。「なんだか気味悪いし、カビかもしれないから取り除こう」と、その部分を削ぎ落として捨ててしまっている人も多いのではないでしょうか。

しかし、その行為、ちょっと待ってください。 農林水産省の公式X(@MAFF_JAPAN)が2025年11月21日、こんな投稿をして話題になりました。

「白菜に写真のような黒い斑点があっても捨てないでください! ポリフェノールなので食べても害はありません」

そう、あの黒い点々の正体は、カビでも病気でもなく、私たち人間にとってもうれしい成分「ポリフェノール」だったのです。農水省のWebサイトによると、この現象は「ゴマ症」と呼ばれるものだそうです。

そもそも「ゴマ症」ってなに? 栄養士が解説

栄養士の視点から、もう少し詳しく「ゴマ症」について解説しましょう。

名前の響きから病気のように聞こえますが、これは白菜が成長する過程で生じる「生理障害」の一種です。

白菜は、高温や低温といった気温の変化、肥料の過多、あるいは収穫後の低温保存などによってストレスを感じると、自らを守るために抗酸化作用のある「ポリフェノール」を生成します。それが細胞壁に蓄積し、黒い斑点として現れたものが「ゴマ症」なのです。

ポリフェノールといえば、お茶に含まれる「カテキン」や、ブルーベリーの「アントシアニン」、大豆の「イソフラボン」などが有名ですよね。これらは老化や生活習慣病の予防に役立つとされる抗酸化物質です。

つまり、白菜の黒い点もこれらと同じ仲間。「見た目がちょっと悪い」というだけで、食べる分には全く害がないどころか、むしろ栄養成分の証とも言えるのです。

冷蔵庫で増えることも? キャベツや小松菜にも共通

「買ってきたときは綺麗だったのに、冷蔵庫に入れておいたら黒い点が出てきた」そんな経験がある方もいるかもしれません。実はこのゴマ症、収穫後であっても、低温で長く保存されることによるストレスで発生することがあります。

これを防ぐためには、正しい保存方法が大切です。

4分の1サイズなどにカットされた白菜は、ペーパータオルや新聞紙で包み、芯を下向きにして冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。そして、おいしく食べるためにも1週間を目安に使い切るのがおすすめです。

ちなみにこの現象は白菜だけでなく、キャベツ、小松菜、大根、カブといった、同じ「アブラナ科」の野菜にも共通して見られます。もしこれらの野菜に黒い点を見つけても、「頑張って育ったんだな」と思って、安心して食べてあげてください。

白菜は「95%が水分」ダイエットの味方にも

白菜の約95%は水分でできており、非常に低カロリー。ダイエット中の方でもたっぷり食べられるのがうれしいポイントです。

その一方で、ビタミンCや食物繊維が含まれており、特に芯の中心部にはうまみ成分である「グルタミン酸」が豊富に含まれています。

煮込むほどに甘みとうまみが増す白菜。スープごといただく鍋や煮込み料理なら、水に溶け出したビタミンCやポリフェノールも余すことなく摂取できます。

これから寒さが本番を迎える季節。黒い斑点も気にせず丸ごと味わって、体の中から温まりましょう。

(野村ゆき)

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