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150坪の土地を相続も「1年売れず」70代女性を襲った大誤算→不動産社長が「1ヶ月で完売」させた“大逆転劇”

  • 2025.12.12
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

不動産について「土地は広ければ広いほど、高く売れる」というイメージを持たれている方は少なくありません。確かに、数字だけを見れば“面積が大きい土地=価値が高い”と感じてしまいますよね。しかし実際の現場では、その常識がまったく通用しなかったケースも数多くあります。

今日は、1年以上動かなかった広い土地が、分け方を変えただけでわずか1ヶ月で次々と買い手が決まったという不動産の現場ならではの実話をご紹介します。

相続で受け継いだ150坪の土地

今から7年ほど前のことです。私が売買仲介の現場で担当することになった、70代の女性Aさんの案件でした。

相続された土地は、南北に細長くのびた約150坪の長方形で、接道(道路に接している部分)は約10メートル。住宅地としての立地条件も決して悪くありません。

ただ、この土地は、私が入社する前から同じ会社の別担当者が販売を続けており、その時点ですでに約1年近く、まったく売れない状態が続いていました。

私がこの案件を引き継ぐことになったとき、上司からは正直な前情報を伝えられました。

「正直、あの土地はもう1年近く動いていない。オーナーさんも半ばあきらめているし、かなり厳しい案件だぞ」

そんな状況を聞いたうえで、私はAさんのもとへ担当変更のご挨拶に伺いました。するとAさんは、少し困ったような表情で、こう打ち明けてくださいました。

「本当は、できるだけ早く売りたい気持ちはあるのよ。でも正直、あまり動いてくれている感じがしなくてね…」

さらに少し間を置いて、こう続けられました。

「そろそろ、他の不動産会社に媒介(売却の依頼)を変えようかとも思っているの」

この言葉を聞いたとき、私ははっきりと感じました。これは単に“土地が売れない”という問題だけでなく、売主様との“信頼関係が揺らぎかけている状態”でもあるのだと。

同時に、胸の奥で強い気持ちが湧いてきました。

(ここは、なんとしてでも自分の手で結果を出したい。Aさんにも、会社にも、そして自分自身にも、必ず証明してやろう)

こうして私は、半ばあきらめムードが漂っていた150坪の土地を、正式に担当することになったのです。

しかしその直後、私はこの土地が「なぜ、ここまで売れずに停滞していたのか」という本当の理由を、はっきりと思い知らされることになります。

売れない1年。需要と価格帯の致命的なズレ

販売を始めてからというもの、次のような状態が延々と続いていました。

  • 内見(実際に現地を見ること)はほぼゼロ
  • 問い合わせは月に1件あるかどうか
  • 価格交渉に入る前に検討対象から外される

当時は、私が担当する前にも別の担当者がこの土地を販売していましたが、売り方は次のような状況でした。

  • 分割の提案はなし
  • 価格戦略の見直しもなし
  • 売り方の再設計もなし

「ただ物件情報をネットに載せる」というだけの状態で特別な販売活動は行われず、結果として約1年間、状況は変わらないままだったのです。では、なぜここまで売れなかったのか。原因を整理してみると、問題は非常にはっきりしていました。

売れなかった本当の理由は「広さ」にあった

売れない原因を突き詰めていくと、意外なところに行きつきました。一見すると魅力的な150坪という広さそのものが、「価格帯を一気に引き上げてしまう」という弱点になっていたのです。

その結果「資金力に余裕のある、ごく一部の層しか検討できない」「住宅メーカーの建売用地としても、広すぎて扱いづらい」という状況が生まれていました。

さらに、このエリア自体が「150坪クラスの需要はほぼなし」「最も動くのは60~80坪前後の土地」という、非常にわかりやすい地域特性を持っていたのです。

つまりAさんの土地は条件そのものが悪いわけではなく、良い土地なのに「地域の需要から大きくズレたサイズ」だったのです。

2区画に分けるだけで1ヶ月後にすべて完売

そこで私は、Aさんにこう提案しました。

「この土地、2区画に分けて売りませんか?」

具体的には、次のような分け方です。

  • 北側:90坪の旗竿地(道路から細く入る土地)
  • 南側:60坪の整形地(形の良い土地)

さらに今回は、口頭での説明だけでなく、土地家屋調査士に正式に分筆(ぶんぴつ・土地を分けること)の案を依頼し、図面と数字の両方で具体的な計画を作成。あわせて、分割後の想定売却価格を、現実的な数値として提示しました。

Aさんは当初こそ戸惑いながらも、「このまま動かないよりは」と、最終的に分割を決断されました。

その結果、わずか1ヶ月で、2区画すべてに申込みが入って完売したのです。

  • 90坪の北側旗竿地:自営業の若い共働き夫婦
  • 60坪の南側整形地:地元の会社員

しかも一括売却の想定価格より総売却額は上昇し、売却時期も大幅に前倒しという、まさに理想的な着地となりました。

すべての引き渡しが終わったあと、Aさんは穏やかな表情で、こうおっしゃいました。

「この土地は、広すぎただけだったんですね。売れない土地だと、勝手に思い込んでいました」

この土地が動き出した転換点

このケースから得られる最大の教訓は「土地は広ければ有利とは限らない」という点です。確かに、面積は土地の価値を判断する一つの指標ではあります。

しかし実際の売却では、次のような需要とのズレが、売れるか売れないかを大きく左右します。

  • そのエリアで、どのくらいの広さが求められているのか
  • 誰が、現実的に買える価格帯なのか
  • 住宅会社と一般の買主のうち、どちらの需要に合っているのか

もし今、「土地がなかなか売れない」と悩んでいる方がいらっしゃったら、原因は土地の条件そのものではなく「売り方」や「価格帯の設定」にあるのかもしれません。

土地は、ほんの少し視点を変えるだけで、思いもよらないスピードと条件で動き出すことがあります。「うちの土地は無理だ」と最初から決めつけてしまう前に、ぜひ一度、「このエリアで本当に求められている土地の形」を考えてみてください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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