「声出た」「ここ数年で一番」第１話からの“大量伏線”がすべてリンク… “完成度の高い”【最終話】絶賛相次ぐ『シナントロープ』

テレビ東京系 ドラマプレミア23『シナントロープ』の最終話が、12月22日に放送された。初回放送後にTVer見逃し配信再生数100万回を突破。その後もXでは考察が飛び交う、話題のドラマだ。本作は、アニメ『オッドタクシー』の脚本を手がけた此元和津也が、原作と脚本の両方を担当し、完全オリジナルとして描き下ろした作品である。監督を務めるのは、映画『もっと超越した所へ。』などで注目を集めた山岸聖太。二人のタッグによる、新感覚のミステリードラマだ。

最終話の放送後、「良質なミステリー」「めちゃくちゃ面白い」など視聴者の声とともにその見どころを振り返る。

※【ご注意下さい】本記事はネタバレを含みます。

最終回：明らかになる真実

クルミと別れ、ひとり山道を進んでいた都成（水上恒司）は、車を降りる龍二（遠藤雄弥）の姿を偶然目にする。顔を知られていることを悟った都成は、とっさに目出し帽で正体を隠そうとするが、すぐに見破られてしまい、右腕を切りつけられたうえ拘束されてしまう。龍二は都成を折田（染谷将太）のもとへ連行しようとするが、都成は隙を突いて言葉で揺さぶりをかけ、拘束を振りほどいて逃走に成功。追跡する龍二は、その途中で思いもよらない光景を目撃することになる。

水町の策略

事件から一年後。銀行員として働く都成を誘い、志沢（萩原護）はシナントロープを訪れる。店はすでにB.Pバーガーを買収し、水町は大学生ながら経営者として名を知られる存在になっていた。そこで志沢は、「すべてを手に入れたのは水町だ」と静かに語り出す。

志沢の推測によれば、目的は四つあった。父への復讐、父が望んでいたものを手に入れること、父の形見である免許証を取り戻すこと、そして自分自身の欲望を叶えること。そのため、水町はシナントロープが襲われた日から、祖父とともに周到な計画を実行していたという。

強盗事件当日、レジ金を奪ったのはインカアジサシ（綾田俊樹）だった。また、都成を利用してバーミンが隠していたデータを記憶させ、そこからB.Pバーガーのオーナー情報を抜き取ったのも彼だった。そして志沢は、インカアジサシこそが水町の祖父だったと明かす。

つまり、折田に脅迫状を送り、シマセゲラを探させるよう仕向けた黒幕は、水町自身だったということになる。ただし、それを直接裏付ける決定的な証拠はなく、あくまで志沢の推論に過ぎない。

しかし、強盗事件後に都成が発見した、折田のものだと考えていたスマートフォンの顔認証を試したところ、折田の顔では解除されなかった。そして、水町の顔を向けた瞬間にロックが外れたのだ。この反応が意味するのは、シナントロープを意図的に標的にし、事件を引き起こさせた人物が水町である可能性が極めて高い、という現実だった。SNSでは「とんでもなかった」「怖すぎ」「ミスリードだったか」などその結末に反響が起きている。

都成のとなり

都成は自宅で、5歳の頃に瞬間記憶能力を発揮し、ひき逃げ事件の犯人特定に貢献したことで表彰された当時の新聞記事を手に取る。記事を読み進めると、その事件の容疑者として名前が挙がっていたのは、折田の父親だった。さらに、その隣には、幼い水町が監禁されていた場所から逃げ出し、九死に一生を得たという別の記事が掲載されていた。偶然とは思えない並びに、都成は息をのむ。自分自身が、水町と折田をめぐる過去の因縁に、知らぬ間に深く関わっていた事実を突きつけられ、言葉を失ってしまう。

そのとき、都成の脳裏によみがえったのは、志沢からかけられた「都成さんの隣には、水町さんが似合うから」という言葉だった。都成は小さく、「都成の隣……」とつぶやき、その意味をかみしめるのだった。

視聴者からは、「ここ数年で一番面白かった」「もう一度見返したい」「鳥肌が立った」「今まで出したことない声出た」といった驚きと称賛の声が相次いでいる。緻密に張り巡らされた伏線、言葉遊びによって編み上げられる物語、そして俳優陣の確かな演技力。そのすべてが噛み合い、最後まで先の読めない展開で多くの人を引きつけた。

第1話から丁寧に仕込まれてきた数々の仕掛けは、終盤ですべて回収され、物語は“ひとりの少女の執念”という強い軸へと結実する。細部まで無駄のない構成で描き切られた、完成度の高い一作だったと言えるだろう。

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テレビ東京系 ドラマプレミア23『シナントロープ』月曜よる11時06分〜

ライター：山田あゆみ
Web媒体を中心に映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X：＠AyumiSand