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「色気ダダ漏れ」竹内涼真、“同一人物とは思えぬ”ギャップに悲鳴…Netflix話題作で魅せた“新境地”

  • 2025.12.24

Netflix映画『10DANCE』が12月18日より世界配信中だ。W主演を務めるのは、竹内涼真と町田啓太。竹内が演じるのは、ラテンダンス界トップレベルのダンサー・鈴木信也。つい先日まで、ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で、時代錯誤な“昭和化石男・海老原勝男……通称”エビカツを演じていた同一人物とは到底思えない。視線ひとつ、指先ひとつ、汗の粒の一滴までもが色気を帯びるダンサー役は、彼にとってのまさに新境地だった。そのギャップの衝撃と、役者としての振り幅に迫る。

※以下本文には放送内容が含まれます。

俳優・竹内涼真が見せた進化

『10DANCE』で竹内涼真が演じる鈴木信也は、ラテン種目の日本チャンピオン。野性味と情熱を体現した男で、金髪のウェーブヘアとしなやかに鍛え上げられた肉体は、もはや彫刻と表現したくなるほどだ。
指先から滲み出る官能性と、ラテンのリズムに乗せた艶やかな動きは、これまでの竹内像を軽々と飛び越える。
つい先日まで、ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で彼が演じていたのは、昭和の価値観を引きずる曲者・海老原勝男。女性は男性の後について歩き、完璧な料理で男性の帰りを待っていなければならない、そんな古めかしい考えを臆せず口にする典型的な昭和男だった。

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『10DANCE』Netflixにて独占配信中

しかし、そのエビカツもまた、竹内の手にかかればどこかチャーミングで憎めない存在になっていた。彼は不快さすら愛嬌に変える、不思議な魔法を持っているのだ。そんな竹内が一転して挑んだ鈴木信也は、“肉体と言葉で魅せる”ラテンダンサー。エビカツのような饒舌なキャラクターとは真逆だ。むしろ無言の時間や、視線、沈黙の圧力で語るキャラクターでもある。

ダンサーとしての佇まい、情熱を秘めた演技、そして少しずつ芽生える恋心。すべてを抑制の美で描ききる竹内の演技には、役者としての深化がある。

受けの芝居で魅せる、繊細な感情のうねり

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『10DANCE』Netflixにて独占配信中

『10DANCE』でまず圧倒されるのは、竹内涼真の身体性だ。まるで生まれながらのダンサーであるかのような、しなやかで滑らかな動きを見せている。肩甲骨の波打ち、腰のひねり、指先にまで宿る艶やかさ。衣装の下からでも浮かび上がる筋肉は、画面越しにも十分な美しさと迫力である。

とりわけ印象的なのは、ダンスシーンの“静と動”の対比。激しく躍動するリズムのなかに、不意に訪れる静寂……ボールルーム界のトップダンサーである杉木信也(町田啓太)との距離が一気に縮まり、互いの体温を感じる瞬間。竹内の瞳がふと揺らぎ、感情が溢れそうになる刹那、観る者の胸に熱が走る。

動きだけでなく、内面の火花までをも視覚化する。これぞ、身体で語る演技の極致である。

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『10DANCE』Netflixにて独占配信中

本作のもう一つの見どころは、町田啓太演じる杉木信也との“魂のバディ感”だろう。完璧主義の杉木に翻弄され、反発しながらも惹かれていく鈴木。その感情の揺れを、竹内は言葉ではなく、受けの演技で表現する。

とくに中盤、バーで酒を飲みながら杉木の態度に思いを巡らせるシーン。ダンスパートナーとしての関係を越えた何かを感じ始めるも、それをうまく言語化できない。戸惑い、揺らぎ、そして“疑似恋愛”という言葉に目を逸らそうとする様子。その不器用さと真剣さが、彼の演技から滲み出る。

こうした繊細な表現において、竹内は主張しすぎない芝居の妙を心得ている。杉木がリードし、鈴木がそれを受け止める。そのリズム感は、まさに“10ダンス”のような絶妙なバランスで成り立っているように見える。

俳優としての覚悟が詰まった新境地

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『10DANCE』Netflixにて独占配信中

竹内涼真という俳優の最大の魅力は、やはりその“熱量”だ。ひたむきさ、真っ直ぐさ、感情が表に溢れるような生っぽさ。鈴木信也というキャラクターに、それが見事に重なる。自信と嫉妬、優越感と劣等感がせめぎ合う場面で、竹内演じる鈴木はそれを隠さずにぶつける。唇を噛み、視線を逸らし、言葉を飲み込む。そんな葛藤の描写が、彼を単なるイケメン俳優ではなく、いわば“感情の人”たらしめている。

彼が表現する、強がりの裏にある弱さは、どこか普遍的だ。観る者は自分のなかに巣食う脆さと重ね合わせ、鈴木というキャラクターに親近感を覚える。そして、その人間臭さこそが、物語の温度を上げていく。共演の町田啓太とのバディ感、体当たりのダンス、そして溢れんばかりの色気。すべてが結晶となり、竹内涼真という俳優の魅力を新たに証明している。

ギャップは驚きであり、俳優としての可能性の広がりだ。SNS上でも「色気ダダ漏れ」「思わず悲鳴」と評判の、その振り幅の大きさこそが、これからの彼を支える最大の武器になるに違いない。


『10DANCE』Netflixにて独占配信中
[出演]草彅剛、細田佳央太、のん
[監督]大友啓史
[配信]Netflixにて独占配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_