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「非常に重要なポイント」不動産屋がこっそり教える。入居後に後悔しないために、「内見でチェック」すべきポイントとは?

  • 2025.12.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃貸や中古物件の内見で、実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔した経験はありませんか?

特に騒音の悩みや通信環境の悪さ、そして隠れた湿気問題は、短い内見時間で気づくのが難しいため不安に感じる方も多いでしょう。

今回は、多数の物件を見てきた不動産会社のプロに、内見時に特に注目すべきポイントや簡単に行えるチェック方法を詳しく伺いました。専門的な知識がなくてもできる「見抜く力」を身につけるための秘訣をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

内見時の騒音チェックは「聞こえるか」ではなく「伝わりやすさ」を見極める

---入居後のトラブルNo.1といえば『騒音』ですが、内見の短い時間で壁の薄さや遮音性をどう見極めればよいでしょうか? 単に壁を叩くだけでなく、『部屋の中央で手を叩く』『窓を閉めて外の車の音を聞く』など、プロが実践している具体的な『耳のテスト』を教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「内見中は静かなことがほとんどです。

そのため、騒音トラブルを避けるには『その場で音が聞こえるか』ではなく、音が伝わりやすい構造かどうかを短時間で見抜く視点が欠かせません。

私が必ず行うのは、まず部屋の中央に立ち、手を1回だけ強めに叩くことです。連続して叩く必要はありません。叩いたあとの音が『パーン』と乾いてすぐ消えるか、『ボワン』『ビリッ』と響きや余韻が残るかを確認します。

後者の場合、壁や床が振動を拾いやすく、隣室の生活音が回り込みやすい傾向があります。

次に、窓を完全に閉めた状態で数十秒間、何もせず耳を澄ますことも重要です。このとき、遠くの車の走行音が低音として響いてくる物件は注意が必要です。低音は高音より遮音しにくく、深夜でもストレスになりやすい音だからです。幹線道路や線路が見えない距離にあっても、音だけが届くケースは珍しくありません。

さらに有効なのが、壁に背中や手のひらを軽く当ててみることです。耳で聞くだけでなく、体で振動を感じ取るイメージです。軽量鉄骨造や築年数の経ったRC造では、音そのものより先に微細な振動が伝わる場合があり、これは足音やドアの開閉音が響きやすいサインといえます。

あわせて、上下左右の住戸配置も必ず確認してください。羊羹型(共用廊下の片側に同じ間取りの部屋が一直線に並ぶ、いわゆる長細い構造の建物)や、部屋同士が密接して隣り合う物件、さらに生活リズムが異なる入居者が多い構成では、建物の構造以前に騒音トラブルが起きやすくなります。」

内見でわかる!通信環境が良好か見極めるコツ

---最近増えているのが『高層階や鉄筋コンクリートの部屋で、スマホの電波が入らない』というトラブルです。内見時に確認すべきは、単にアンテナが立っているかだけでなく、実際に『スピードテスト』をすべき場所(トイレや浴室など)はありますか? 現代生活に不可欠な通信環境のチェック法を教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「内見時に通信環境を確認する際は、アンテナ表示だけで判断しないことが重要です。建物の構造や間取りによって、部屋の中でも電波の入りやすさには大きな差が出るため、短時間でも確認すべきポイントを押さえておく必要があります。

まず大前提として、玄関付近だけで電波状況を判断しないことが大切です。玄関は屋外に近く、実際の生活スペースより電波が入りやすい傾向があります。

そのため、内見時に確認すべきなのは次の3ヶ所です。

・トイレ
・浴室(ドアを閉めた状態)
・寝室(ベッドを置く想定位置)

トイレは建物の奥まった位置にあることが多く、電波が最も弱くなりやすい場所です。ここでアンテナ表示が極端に低い場合、通話や在宅ワーク時に強いストレスを感じる可能性があります。

浴室は防水仕様や金属部材の影響で、ドアを閉めると電波が遮断されやすい空間です。生活上の支障は少なく見えますが、家全体の通信環境を判断する指標になります。

寝室については、実際にスマホを使う時間帯を想定して確認することが大切です。就寝前に通信が不安定だと、小さな不便が積み重なります。

可能であれば、スピードテストを1回だけ実施してください。数値そのものよりも、計測が途中で止まらず最後まで完了するかどうかを確認する意識で十分です。途中で固まる物件は、動画視聴やオンライン会議で不満が出やすい傾向があります。

もう一つ見落とされがちなのが、窓を閉めた状態で再確認することです。内見中は換気のために窓が開いていることが多く、閉めた瞬間に電波状況が大きく変わるケースもあります。」

リフォーム物件でも油断禁物!隠れた湿気・ニオイの見抜き方

---部屋に入った瞬間の『ニオイ』や、クローゼットの隅、水回りのカビ跡などから、その部屋が抱える『構造的な欠陥(湿気が溜まりやすい、配管の不備など)』を見抜くことはできますか? リフォームで表面だけ綺麗にされていても隠しきれない、危険なサインを教えてください。

合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹さん:

「この見極めは、数多くの物件を見てきた不動産のプロでも難しい部分ですが、非常に重要なポイントです。リフォームで見た目がきれいになっていても、構造的な弱点は必ずどこかに痕跡を残します。

まず注目したいのが、部屋に入った瞬間のニオイです。判断のポイントは、「一瞬でも違和感があるかどうか」。芳香剤や換気で一時的にごまかしていても、部屋の奥に湿った空気やこもった感じが残っている場合は注意が必要です。物件によっては、壁紙を張り替えて見た目はきれいでも、ペット臭やたばこ臭が完全に消えず、空間に残っていることがあります。

特に、日当たりが悪い部屋や北側に位置する部屋は、構造上どうしても湿気が溜まりやすい傾向があります。梅雨時期でなくても空気が重たく感じる場合は、通気経路や日照条件に問題を抱えている可能性があります。

次に必ず確認するのが、クローゼットの奥や天井付近です。壁紙が新しく貼り替えられていても、角の部分だけがわずかに波打っていたり、押すと柔らかく感じる場合は、過去に結露や湿気が溜まっていた可能性が高いといえます。こうした症状は、北側の壁面や外気に接する面で特に起こりやすく、配管の位置や外壁断熱の不備が原因になっているケースも少なくありません。

水回りでは、洗面台下やトイレの床周りを確認してください。カビの有無よりも、「不自然な拭き跡」や「一部だけ床の色・質感が違う箇所」があれば注意が必要です。過去の水漏れを、部分補修だけで済ませているケースがあります。

私が最後に行うのは、換気扇を数分間止めたまま室内を静置し、あらためてニオイを確認することです。ここでじわっと嫌な空気が戻ってくる部屋は、構造的に湿気がこもりやすい状態と考えられます。」

内見で見抜く力を磨き、快適な住まいを選ぼう

内見はその場の印象に流されやすいものですが、騒音の伝わりやすさ、通信環境の実態、そして湿気やニオイの有無といった細かなポイントを押さえることで、入居後の不便やトラブルを大きく減らせます。

今回紹介した「手を叩く音の響き方」や「窓を閉めた状態での電波確認」「ニオイの違和感チェック」など、簡単にできる手順を意識してみてください。

これらは特別な機械や知識がなくても実践できるため、内見での大きな武器になります。快適な暮らしのために、ぜひ次の内見から取り入れてみましょう。


監修者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹
合同会社ゆう不動産代表。『売る力×伝える力』を軸に、不動産の価値を最大化している。不動産売買の専門家として現場に立ちながら、不動産分野に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作。売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現している。派手な宣伝よりも、目の前の一人に誠実に向き合う姿勢を大切にしている。地域に寄り添いながら、不動産とWebを掛け合わせた独自の発信力で、オーナーに最良の選択肢を示すことが使命。「売買専門×情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出している。