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「控除を受けられないケースも」お金のプロが警告。“ワンストップ特例”が無効に…ふるさと納税でやりがちな「3つのミス」とは

  • 2025.12.27
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出典元;photoAC(※画像はイメージです)

年末が近づくと、ふるさと納税のワンストップ特例申請を済ませたいと考える人は多いでしょう。

しかし、「いつまでに何をすれば控除が受けられるのか」「申請が無効になったらどうすればいいのか」など、疑問や不安は尽きません。

実際には小さなミスや誤った理解が原因で控除が受けられないケースも増えています。今回は、ワンストップ特例申請の重要ポイントとよくある誤解、そして確実に手続きを終えるための対策を、金融機関勤務の現役マネージャー 中川 佳人さんに詳しく伺いました。

確実に控除を受けるための正しい準備を進めていきましょう。

年末の申請期限と書類不備、寄付先の自治体数に注意

---ふるさと納税のワンストップ特例制度で「無効」になってしまう致命的なミスには、どのような手続き上の見落としや誤解が最も多く関わっているのでしょうか?

中川 佳人さん:

「ワンストップ特例申請書は、寄付した翌年の1月10日までに自治体に到着する必要があります。『投函日』ではなく『到着日』が基準であるため、注意が必要ですが、『1月10日までに投函すれば間に合う』と誤解している方が多くいらっしゃいます。

特に年末年始は郵便物が集中し、天候や物流の影響で配達が遅れることも珍しくありません。その結果、期限に間に合わず、控除を受けられないというケースが発生しています。

次に多いのが、申請書や添付書類の不備です。マイナンバーカードの表面・裏面のコピー漏れ、氏名や住所の記載漏れ・誤記など、些細なミスでも受理されない可能性があります。また、引っ越し後に住所変更手続きをしていないまま申請し、寄付時の住所と住民票上の住所が一致していないケースも、よくある不備の事例です。

さらに、寄付先が5自治体を超えていることに気づいていない例も少なくありません。ワンストップ特例は5自治体までが対象で、1自治体でも超えると、すべての寄付について確定申告が必要になります。

年末は特に慌ただしく、注意事項を見落としがちになります。確実に控除を受けるためにも、早めに寄付を完了させ、余裕をもって手続きを行いましょう。」

ワンストップ特例と確定申告の関係、見落としがちなリスクとは?

---ワンストップ特例の申請書を提出したにもかかわらず、後から確定申告をしてしまう(例:医療費控除や住宅ローン控除など)ことで特例が無効になるケースは多いでしょうか?

中川 佳人さん:

「はい、このケースは実務上、非常に多いです。特に多いのが、医療費控除や初年度の住宅ローン控除を受けるために確定申告をした結果、ワンストップ特例が無効になってしまうケースです。

ワンストップ特例制度は、『確定申告の不要な給与所得者』を前提とした仕組みのため、確定申告を行えば、適用外となります。問題なのは、『申請書は出しているから大丈夫』『ふるさと納税分は別で処理されると思っていた』という誤解が非常に多い点です。確定申告をする場合は、ワンストップ特例はなかったものとして扱われ、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告書に記載し直す必要があります。

特に注意したいのが、初年度の住宅ローン控除申請です。住宅ローン控除を受けるためには、初年度に必ず確定申告が必要となります。したがって、その年にワンストップ特例を申請しても無効となってしまいます。

また、もともと確定申告をするつもりのなかった人が、医療費が思った以上にかかり、医療費控除を受けるために後から申告するケースも多く見られます。その際に、ふるさと納税の記載を忘れてしまい、結果として控除を受けられないケースもあります。

ワンストップ特例は、確定申告をしない場合に受けられる制度であることを確認し、確定申告をした場合は、忘れずにふるさと納税の寄附金控除も申請しましょう。」

申請状況の確認方法と期限ギリギリの対策法

---ワンストップ特例を申請した方が、確実に控除を受けるために「今すぐ確認すべきポイント」と「期限前にできる対処法」を教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「今すぐ確認すべきポイントとして重要なことは、以下の2点です。

①申請書が自治体に届いているか確認する
②不備なく受理されているか確認する

多くの自治体では、受付完了のメールやマイページ上でのステータス確認が可能です。ワンストップ特例を申請した後にメールなどを確認し、手続きが進んでいるか把握しましょう。

次に、寄付先自治体の数が5つ以内かを改めて確認してください。複数サイトを使って寄付した場合、把握しきれていないことがあります。また、寄付時と現在の住所が異なる場合は、自治体に住所変更届を提出しているかも重要なポイントです。

年末に寄付を行う際には、オンラインワンストップ特例に対応している自治体を活用することも有効です。マイナンバーカードがあれば、アプリやWeb上で手続きが完結し、郵送遅延のリスクを避けられます。また、紙で提出する場合でも、簡易書留や速達を利用することで『出したつもり』を防げます。

万が一、『期限に間に合わなかった』『不備があったかもしれない』と気づいた場合でも、確定申告をすれば控除を受けられる可能性は十分あります。ワンストップ特例が使えなくなった=控除不可ではありません。寄附金受領証明書を保管しておき、早めに確定申告の準備に切り替えることが重要です。

まずは、受付完了のメールや、申請したWebサイトのマイページを確認してみてください。」

確実な控除は「早めの申請」と「状況確認」から

ワンストップ特例申請で控除を確実に受けるためには、「申請書の到着期限を守ること」「不備を防ぐためにコピーや記入ミスに注意すること」「寄付先の自治体数を正確に把握すること」の3点が何より重要です。

また、確定申告の有無によってワンストップ特例の適用状況が変わるため、申告が必要になる場合はふるさと納税の控除も忘れず確定申告で申請しましょう。

年末は特に慌ただしいため、余裕をもった寄付と手続き、そして申請状況のこまめなチェックが控除獲得への近道です。万が一申請期限を過ぎてしまっても、確定申告での対応が可能なので慌てず対応してください。これらを踏まえ、今年のふるさと納税も安心して利用できるよう準備していきましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。