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「12月から1月がピーク」政府が“異例の注意喚起”→管理栄養士「ウイルスが広がる原因に」冬のキッチンでの“NG行動”とは

  • 2025.12.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

冬になると増えるノロウイルス。政府広報オンラインは2025年11月17日、公式X(旧Twitter)アカウントで、「ノロウイルス」に関する注意喚起を投稿しました。

家族の健康を守るために、「なぜキッチンでの感染が起きやすいのか」「日常のどんな行動が感染リスクを高めているのか」といった疑問は多いはずです。

調理中のちょっとした習慣が、知らず知らずのうちにウイルスを広げてしまうこともあります。今回は、管理栄養士 工藤まりえさんに冬のキッチンでなぜノロウイルス感染が起こりやすいのか、その原因と具体的なリスク行動、そして今からできる効果的な予防策について詳しくお伺いしました。

冬のキッチンでノロウイルス感染リスクが高まる“無意識の行動”とは?

---なぜ冬のキッチンではノロウイルスの感染リスクが高まるのでしょうか?調理環境や食材の扱いで注意すべきポイントは?

工藤まりえさん:

「冬のキッチンでノロウイルスの感染リスクが高まるのは、ウイルスの性質と家庭内での無意識の行動が重なるためです。

ノロウイルスはわずか10〜100個の少量で感染し、低温や乾燥に強く、冷蔵庫内や調理台の上でも長時間生き残ります。一般的な細菌性食中毒とは異なり、ノロウイルスは食品中で増殖しません。また、除菌用アルコールが効きにくいのも厄介な特徴です。

そのため、調理前の手洗い不足や、まな板・包丁を食材別に使い分けないことは、少量のウイルスでも簡単に食材へ広がるリスクを高めます。また、家の中でよくあるタオルやふきんの使い回し、調理中にスマホや髪に触るような“ついしてしまう行動”も、手指を介した二次汚染を引き起こします。

さらに、家庭内に感染者がいる場合、嘔吐物を適切に処理しないとウイルスが空気中に飛び散り、キッチンや共用部を介して急速に広がる恐れがあります。食中毒症状が治った直後でもウイルスは排出され続けるため、手洗いが不十分な状態で調理すると食材が汚染されやすくなってしまいます。

食材では、特にカキなどの二枚貝にウイルスが付着していることが多く、加熱調理用のカキを生で食べたり加熱が不十分なまま食べることで感染リスクが高まります。」

日常でついやってしまうNG行動8選 ノロウイルス感染リスクを高めるキッチン習慣とは?

---普段の調理で感染リスクを知らずに高めてしまう行動は?冬のキッチンで注意すべき具体的なNG習慣を教えてください。

工藤まりえさん:

「以下の8つの生活習慣がノロウイルスの感染リスクを高める代表的なNG行動です。

  1. 調理前の手洗いが不十分なまま作業を始める
    →石けんを使わずに軽く濡らすだけや、帰宅後すぐに手を洗わず調理に入るのはウイルスを食材に移す大きな原因になります。
  2. まな板・包丁を食材ごとに分けずに使い回す
    →カキなど二枚貝を扱った調理器具に直接、他の野菜や調理済み食品を切ると交差汚染が起こり、ウイルスが広がります。
  3. ふきん・スポンジ・タオルの使い回し
    →布巾はウイルスが長く残りやすい場所。シンクや調理台、手拭きに同じものを使うと家庭内感染の原因になります。
  4. 調理中にスマホ・髪・顔に触る
    →スマホや髪にはウイルスが付きやすく、触ったあと食材に触れることで二次汚染を引き起こします。
  5. 生もの(特に二枚貝)を常温で放置する
    →調理前の常温放置はウイルスを残しやすく、未加熱や加熱不足で食べるリスクが増えます。
  6. 加熱が不十分なまま調理を終える
    →カキなど二枚貝は中心温度が85〜90℃に達しないとウイルスが残る可能性があります。
  7. 嘔吐物や汚れを適切に消毒せずに拭き取る
    →ティッシュや水拭きだけで処理するとウイルスが周囲に飛散し、調理台や床を汚染します。
  8. アルコールで拭くだけで満足してしまう
    →ノロウイルスはアルコール除菌が不十分。汚れのある場所やふきんは塩素系漂白剤を使うことが必要です。」

明日からすぐできる!冬のキッチンでノロウイルス感染を防ぐ最重要ポイント

---ノロウイルス感染を防ぐために、明日からすぐに実践できる最も効果的な対策は何でしょうか?

工藤まりえさん:

「冬のキッチンでの感染防止には、手指の衛生管理、食品の加熱、環境の清潔保持を徹底することが最も重要です。

まず調理の前後やトイレの後、帰宅時に必ず石けんを使った丁寧な手洗いを行いましょう。ノロウイルスは少量でも感染し、アルコールでは十分に不活化できないため、流水で指先や爪の間、手首までしっかり洗うことが欠かせません。

次に、特に二枚貝などの生ものは中心温度が85〜90℃以上に達するまで加熱してください。まな板や包丁は食材ごとに使い分けるか、使用後は洗浄と塩素系消毒を行い、交差汚染を防ぐことが大切です。

また、布巾・スポンジ・手拭きタオルはウイルスが長く残りやすいため使い回しは避け、調理中にスマホや髪、顔に触ることも控えましょう。アルコール除菌だけに頼らず、家庭に塩素系消毒薬を常備して手指や調理器具、台所環境の安全を確保すれば、二次感染リスクを大幅に下げられます。

もし家庭内に感染者がいる場合は、健康な人が調理を担当し、手洗いを徹底してください。症状が治まった後もウイルスを排出し続ける場合があるため注意が必要です。これらの基本対策を守ることで、家庭内の感染予防効果が大きく高まります。」

冬のキッチンでできるノロウイルス感染予防の3つの柱

冬のキッチンでのノロウイルス感染は、ウイルスの強さと私たちの無意識な行動が原因で起こりやすくなっています。

今回の取材で明らかになったのは、感染リスクを高めるNG習慣を知り、日常的に徹底した手洗い、十分な加熱調理、そして調理環境の清潔保持を心がけることが最も効果的だということです。

特に二枚貝などの生ものの取り扱いやまな板の使い分け、調理中のスマホ操作やタオルの使い回しを控えることで、交差汚染や二次感染のリスクを大幅に下げられます。少しの注意と習慣の見直しが、家族の健康を守る大きな力になるのです。

明日からはぜひ手洗いを丁寧に行い、調理器具の管理とキッチンの衛生を徹底し、安全な食卓作りを実践しましょう。専門家の助言をふまえた今回のポイントを押さえれば、冬のキッチンでも安心して調理ができるようになります。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。