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「玄関まで20段…」50代男性が“26年の歴史”が詰まった家との別れ。定年目前で決意したワケ

  • 2025.12.23

遺品整理や特殊清掃の現場を通して、現代社会が抱える「孤独」や「家族のあり方」を問いかけるYouTubeチャンネル「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」。

今回は、メモリーズの動画がきっかけで、人生の大きな決断をした男性のエピソード、「メモリーズの動画で転機が訪れた!?定年目前で夢を叶えるための決断」をご紹介します。

そこにあったのは、住み慣れた家との別れ、そして「残りの人生」を見据えた、50代からの“夢への挑戦”でした。

26年の歴史がつまった「難所」への挑戦

今回の現場は、玄関まで20段もの石段がある一軒家。

依頼者のご夫婦は、ここで26年間暮らし、2人のお子さんを育て上げました。しかし、奥さんのご実家の事情や、旦那さんのご両親が高齢になったことを機に、「親の近くで暮らす」ための引っ越しを決意されたそうです。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「玄関まで20段…これは落下せんようにするわ(笑)」そう冗談めかして気合を入れるメモリーズ代表の横尾さん。

プロのスタッフにとっても過酷な「難所」。スタッフたちは、ご夫婦の26年分の想いが詰まった家財を、一つひとつ慎重に運び出していきます。

「パパ大好き」父の日に贈られた小さな手形

作業が進むにつれ、家中のあちこちからご家族の「愛しい記憶」が顔を出しました。引き出しからは、お庭で育てて乾燥させた「月桂樹の葉(ローリエ)」が。

さらに片付けの中盤、現場が優しい空気に包まれる場面がありました。見つかったのは、お子さんたちが小さかった頃に贈った父の日のプレゼント。「いっぱいあそんでね」「パパ大好き」というメッセージが小さく添えられた「手形」です。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「泣けてきませんか?」その手形を見たスタッフが思わずつぶやくと、横尾さんも深く頷きます。

かつて旦那さんは、子どもの帰りを待つ家が暗くないようにと、外にイルミネーションを飾っていたこともあったそうです。この小さな手形は、そんな親子のかけがえのない絆を物語っていました。

息子と遊んだ思い出、「ウルトラマン」の大群

思い出の品はまだまだ出てきます。ご本人たちがすっかり忘れていたという「成人式の記念写真」には、「あれぇ、完璧に忘れていました。ありがとうございます」と旦那さんも驚きの様子。

そして圧巻だったのは、2階の部屋。スタッフが整理して並べたのは、なんと165体もの「ウルトラマン」と94体の「怪獣」の人形でした。「懐かしの面々が勢揃い」したその光景を見て、旦那さんは嬉しそうにスマホを構えます。

「よくこれで遊びましたね」

賑やかな声が聞こえてきそうなその光景。息子さんと共に戦い、笑い合ったあの日々が、人形一体一体に刻まれているようです。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

「ここにあるもの、ほとんどがご家族のためのものですよね」

横尾さんは、片付けられた品々を見渡してそう感じたといいます。イルミネーションに、大量のおもちゃ。自分たちのこと以上に、家族が喜ぶ顔を見るために時間とお金を使ってきた。

そんなご夫婦の「家族思い」な生き方が、部屋の景色から溢れ出ていました。

「明日も頑張る原動力」動画がくれた勇気

実は今回のご依頼には、もう一つの大きなドラマがありました。

旦那さんは、この引っ越しを機に、35年勤めた会社を早期退職されたのです。その決断を後押ししたのは、これまで見てきた「メモリーズのYouTube動画」でした。

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

特に旦那さんの心を動かしたのは、特殊清掃の動画にまつわるエピソード。

カメラマンから「最初の特殊清掃はどうだったか」と問われた横尾さんは、自身の原点を語ります。それは、遺族から「ありがとう」ではなく、「あなたがいてくれてよかった」と感謝されたこと。この言葉こそが、「明日も頑張るメモリーズの原動力」となっているといいます。

その想いに触れ、さらに身近な義弟さんを50歳で亡くされた経験が重なり、旦那さんは一念発起しました。

「この先、何年生きるか分からない。自分が元気なうちに、本当にやりたい仕事をしたい」

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出典:『遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)』(YouTube)

旦那さんが選んだ新しい道、それは小学校1年生からの夢だった「幼稚園バスの運転手」。

「毎日、夫から園児の話を聞くのが楽しみなんです」

そう嬉しそうに語る奥さん。

旦那さんが夢を叶え、生き生きと働く姿を、誰よりも近くで喜び、その選択を温かく受け入れているのが伝わってきます。夫婦で新たな人生を楽しんでいる様子に、現場も温かな空気に包まれました。

空っぽになった部屋から、新しい明日へ

すべての荷物が運び出され、空っぽになった部屋をご夫婦が見渡します。

「懐かしいんですよ、この風景が。26年前に初めて大きな買い物をして。引っ越しをした記憶が蘇りました」

寂しさはありますが、そこには確かな希望がありました。思い出の品を整理することは、過去への「さようなら」ではなく、大切にしてきた記憶への「ありがとう」なのかもしれません。

感謝と共に身軽になり、新しい人生へと踏み出した旦那さん。50年越しの夢を叶えたその晴れやかな姿は、私たちに「元気なうちに、心のままに一歩踏み出す」ことの尊さを教えてくれているようです。



動画:「メモリーズの動画で転機が訪れた!?定年目前で夢を叶えるための決断

取材協力:「遺品整理人横尾将臣(メモリーズ代表)」、「公式Webサイト

※本記事は動画の権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています


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