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「持った瞬間ふにゃっ…」雨の日に段ボールが突然弱くなる!宅配現場で起きていた“見えない劣化”の正体とは

  • 2025.12.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元宅配員のmiakoです。

雨の日に届いた段ボールが、いつもより少し頼りなく感じたことはありませんか。

持ち上げたときにふにゃっとしたり、角が弱くなっていたり。

もちろん、すべての荷物がそうなるわけではありませんが、雨の時期にはそういうことも起きやすいのが段ボールの特徴です。

宅配の現場にいた頃、私は雨の予報が出るだけで少し気を引き締めていました。道路状況だけでなく、荷物の状態も、晴れの日とは少し違う変化を見せるからです。

とくに段ボールは、見た目では分からない弱まり方をすることがあり、思わぬ誤算につながってしまうケースもありました。

今回は、そんな雨の日だからこそ起きやすい段ボールの変化について、宅配の現場からお話ししていきたいと思います。

雨の日に段ボールが弱く感じる理由

段ボールの元の素材が紙なのはご存じかと思います。

普段はしっかりとした強度がありますが、紙である以上、湿気を吸うと一気に弱くなってしまいます。

雨の日や湿度の高い時期は、段ボールが湿気を取り込みやすく、触った瞬間にふにゃっとした感触になることがあります。

見た目でもすぐに分かるほど質感が変わり、一度湿気を含んで弱くなった段ボールは、たとえ乾いても元の強度には戻りません。

もちろん、すべての荷物が湿気の影響を受けるわけではありません。保管されていた環境や輸送トラックでの位置、梱包の状態などによって、問題なく届くものも多くあります。

ただ、雨の日はどうしても湿気を吸収しやすく、普段の強度なら耐えられる重さでも、湿気で弱くなった段ボールは負担に耐えきれなくなります。

通常時であれば問題ないはずの荷物でも、湿気を含んだ段ボールでは、荷物を重ねた瞬間に上の荷物を支えきれず、崩れてしまうことがあるのです。

雨の配送現場で起きている想定外

雨の日は、宅配員にとっても想定外の変化が起きやすい日です。

荷物が発送される営業所からお客様のもとへ届くまでには、いくつかの工程があります。
そのどこかで雨や湿気の影響を受けてしまうことがあるのです。

たとえば、大型の輸送トラックへの積み下ろしのとき。
すべての営業所が屋根の下で作業できるわけではなく、屋根があっても風向きによって雨が吹き込んでしまう場所もあります。
できる限り短時間で屋内へ移動させますが、どうしても雨に触れさせてしまうことがあります。
また、荷物はまとめて積み重ねて搬入されることが多いため、わずかな濡れでも段ボールに負荷がかかりやすくなる場面もあるのです。

さらに、営業所で仕分けた荷物を各宅配トラックへ積み込む際も、作業スペースの構造によっては雨の影響を受けることがあります。
宅配員としても濡らしたくない気持ちは同じですが、現場ではどうしても避けきれない瞬間が発生してしまうことがありました。

宅配員が雨の日にしている工夫

雨の日は、荷物をできるだけ濡らさずにお届けするため、宅配員もさまざまな工夫をしています。

A4サイズ程度の荷物や小さめの荷物などは、サービス袋に入れて守ったり、荷物によっては手持ちの防水シートなどで覆ったりと、その場でできる方法を選びながら対応していました。お客様へお渡しする前に、濡れた部分を軽く拭き取ってお届けすることもあります。

ただ、現場には十分な防水資材がそろっているわけではありません。大きなビニール袋が常備されていない営業所もあり、宅配員が自分で用意したり、それぞれの判断で工夫して対応することも多いのが実情です。

道路わきの屋根のない門扉にインターホンがある場合や、荷物が大きく両手がふさがってしまうときは、荷物は一旦宅配車に置いたままチャイムを押し、お客様が在宅であることを確認してから急いで荷物を取りに戻ってお渡しする、という動き方になることもありました。
在宅かどうか分からない状況で、雨の中、傘も差せずに大きな荷物を持ち歩けば、わずかでも濡れてしまう可能性があります。それが家電製品や精密機械であれば、なおさら避けたいところです。

その根底にあるのは、できるだけきれいな状態で届けたいという気持ち。

雨脚が強くなるたびに、その場でできる最善の方法を選びながらお届けしていました。

雨の日に置き配ができない理由

雨の日は、置き配のご指定をいただいていても、対面でのお届けに切り替えることがあります。

その理由は、荷物が濡れてしまう可能性と、濡れたことで品質が損なわれてしまう恐れがあるためです。そのため、宅配業界では基本的に雨の日の置き配は避けられることが多いのです。

玄関前が濡れていなくても、風向きや建物の形によって雨が入り込むことがあり、置いたあとで荷物が濡れてしまうリスクを完全には避けられません。宅配員としても、荷物を守るために置いて大丈夫かどうかを慎重に判断します。

たとえば、しっかりしたガレージの奥や、二階が居住スペースで一階が屋根の深い駐車スペースになっているお宅、玄関ポーチが広く設計されている場所など、雨がほとんど入り込まないと判断できる場合は置き配が可能なこともあります。
一方で、少しでも雨に濡れてしまうのではと感じた場合は、対面でのお届けを優先します。ご不在の場合は不在票を入れ、改めてお客様のご指示をお待ちします。

また、同じご家庭でも宅配員によって判断が異なることがあります。それはできそうできなそうという感覚の違いもありますが、そのときの状況を踏まえた宅配員なりの判断であり、いずれも荷物の安全を最優先にしている結果として起きるものです。

中には、お客様側で工夫してくださるケースもあります。置き配指定のお宅で、玄関前に大きなビニール袋と雨の日はこの袋に入れて置いてくださいとメモを添えてくださる方もいました。すのこを敷いて水が浸入しないようにするなど、お客様と宅配員が協力することで、雨の日でも安全に置き配ができる場合があります。

雨の日は宅配員にとっても緊張の一日

 雨の日は、宅配員にとっても気を配る場面が増える一日です。

道路は滑りやすく、視界も悪くなるため、普段より慎重な運転が求められます。お届け先までの道中でも、わずかな段差や濡れた地面で足を滑らせてしまうことがあり、急ぎたいけれど転倒しては元も子もないと自分に言い聞かせながら動くことが多くありました。

車を運転する際も同じです。雨の日はスリップ事故が起きやすく、自分が気をつけていても周囲の車の動きに巻き込まれる可能性があります。とくに住宅街は見通しが悪くなりやすいため、普段以上の注意が必要でした。

宅配員自身も雨に濡れてしまう場面はたくさんありますが、それでもできるだけ丁寧に、安全に届けたいという思いは変わりません。雨の日はいつもより少し緊張しながら、安全と荷物の状態の両方に気を配ってお届けしていました。

雨の日だからこその誤算

雨の日は、段ボールが想像以上に変化したり、置き配が難しくなったりと、思わぬ誤算が起きやすい日です。

それでも宅配員は、できる限り良い状態で届けたいという気持ちで、一つひとつのお届けに向き合っています。

今回の記事が、雨の日のお届けの背景を知るきっかけになれば嬉しく思います。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。