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6畳寝室で「原因不明の頭痛と肩こりに…」都内マンション在住30代男性を襲った悲劇【一級建築士は見た】

  • 2025.12.22
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「原因不明の頭痛と肩こりに悩まされていました。まさか、その原因が『ベッド配置』にあったなんて……」

そう話すのは、都内のマンションをリノベーションしたYさん(30代男性)。

Yさんの寝室は6畳。空間を有効活用するため、ベッド頭側を窓下に配置するレイアウトにしました。海外のインテリア雑誌でよく見る配置で、見た目もスッキリしていました。

しかし、冬になると、Yさんの体調に異変が現れます。

睡眠中に降り注ぐ“コールドドラフト”

「朝起きると、首筋が氷のように冷たくて、頭がガンガンするんです。布団は被っているのに、顔周りだけが寒い」

原因は、窓から降りてくる冷気、「コールドドラフト現象」でした。いくら窓を閉めていても、ガラス面で冷やされた空気は重くなり、カーテンの隙間から下へと流れ落ちます。

Yさんのレイアウトでは、その冷気の終着点が、あろうことか「寝ているYさんの頭」だったのです。

一晩中、冷蔵庫を開けっ放しにして冷風を頭に浴びせられているのと同じ状態。これでは、筋肉が凝り固まり、血行不良による頭痛が起きるのも無理はありません。

Yさんは「見た目重視で配置を決めたせいで、健康を害してしまった」と悔やみます。

一級建築士が教える“安眠できる配置”

Yさんの失敗は、冬の窓辺の寒さを甘く見ていた点にあります。

断熱性能の高い最新のトリプルガラスならまだしも、古いサッシの場合、冬の窓辺は「氷の壁」です。

寝室のレイアウトを決める際は、以下の鉄則を守る必要があります。

1、頭は「内壁」に向ける
外気に面していない、家の中側の壁に枕元を持ってくるのが基本です。温度変化が少なくすみます。

2、窓の下には「頭」も「足」も避ける
可能であれば、ベッドの側面を窓に向けるか、窓から50cm以上離して配置します。

3、どうしても窓下にするなら
厚手のカーテンを窓枠より長く垂らし、さらにカーテンボックスをつけて上部からの冷気も防ぐ対策が必要です。

家具の配置は“健康”に直結する

Yさんはその後、部屋が狭くなるのを覚悟でベッドの向きを90度変え、頭を室内側に移動させました。

すると、あんなに酷かった朝の頭痛が嘘のように消えたといいます。

「たかが家具の配置と思っていましたが、健康に関わる問題でした」

家づくりや模様替えの際、「どこに置けば広く見えるか」ばかりを気にしがちです。

しかし、寝室においては、「どこに置けば、冬の冷気から逃げられるか?」を優先して考えてください。

その判断ミスは、あなたの毎日の健康を損なう原因になりかねないのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。