1. トップ
  2. 新築購入も「“泥だらけ”で掃除地獄」キッチンや壁紙にお金をかけすぎた結果…30代男性の悲しき末路【一級建築士は見た】

新築購入も「“泥だらけ”で掃除地獄」キッチンや壁紙にお金をかけすぎた結果…30代男性の悲しき末路【一級建築士は見た】

  • 2025.12.21
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

「予算オーバーで、外構(庭や駐車場)は後回しにしました。『住んでからDIYでやればいいや』って。でも、冬の土があんなに凶暴化するなんて…」

そう語るのは、郊外に土地を購入し注文住宅を建てたTさん(30代男性)。

Tさんは、キッチンや壁紙にお金をかけすぎた結果、外構予算が底をつきました。玄関周りの一部に砂利を敷いた以外は、庭も駐車場も「黒土のまま」で引き渡しを受けました。

晴れた日は問題ありませんでしたが、1月に入り、強い寒波が来た翌朝、悲劇が始まります。

庭が“底なし沼”に…

「朝、出勤しようと庭を歩いたら、土がザクザク持ち上がっていたんです。『霜柱』でした。子どもの頃は喜んで踏んでいましたが、大人になって自分の家の敷地で起きると、これほど厄介なものはないですね」

昼になり、気温が上がると、持ち上がった霜柱が溶け出します。すると、空気を含んだふかふかの土が水分を含み、庭全体が「底なしの泥沼」へと変貌したのです。

学校から帰ってきた子どもたちの靴は泥団子状態。そのまま真っ白な玄関タイルに上がり込むため、新築の玄関は茶色いドロドロの足跡で埋め尽くされました。

「毎朝、凍えるような寒さの中で玄関タイルをデッキブラシで擦るのが日課になりました。でも、擦れば擦るほどタイルの目地に泥が染み込んで、薄汚れていくんです……」

一級建築士が教える“泥の対策”

Tさんの失敗は、家づくりにおいて「建物の外側」を軽視したことにあります。特に、関東以北や内陸部など、冬に氷点下になる地域では、土のまま放置するのはリスクが高すぎます。

建築士として推奨する最低限の「泥対策」は以下の通りです。

1、アプローチの舗装
道路から玄関までの動線だけは、必ずコンクリートかタイルで固める。

2、防草シート+砂利
庭をコンクリートにする予算がない場合でも、防草シートの上に砂利を敷くだけで、泥汚れは激減します。

建物よりも先に“足元”を固めよ

Tさんは結局、春を待たずに外構工事を行うことになりました。

「内装のグレードを下げてでも、最初からやっておくべきでした。毎日の掃除の時間とストレスを考えたら、安いものです」

家は、玄関ドアを開けたところから始まるのではありません。敷地に入ったところから始まっています。外構を後回しにすることは、家の周りに“底なし沼”を放置するのと同じです。

冬の霜柱に泣かないためにも、予算配分では必ず「足元の工事費」を死守してください。それが、美しい家を保つための秘訣なのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】