1. トップ
  2. 親戚8名に新築披露も「顔から火が出そうでした…」40代主婦を襲った「お正月の悲劇」【一級建築士は見た】

親戚8名に新築披露も「顔から火が出そうでした…」40代主婦を襲った「お正月の悲劇」【一級建築士は見た】

  • 2025.12.14
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

「『下駄箱なんて、家族の靴が入れば十分でしょ?』と、土間収納の提案を断ったんです。でも、お正月に親戚が集まった瞬間、我が家の玄関は集会場のような有様になってしまいました」

そう後悔を口にするのは、昨年家を建てたばかりのSさん(40代主婦)。

Sさんの家は、リビングの広さを優先し、玄関スペースを最小限に抑えました。

収納は、壁付けの標準的な「下駄箱」のみ。

家族4人の靴は何とか収まりましたが、初めて迎えたお正月、そのキャパシティは完全に崩壊します。

ロングブーツとダウンコートの行き場がない

元旦、Sさんの弟夫婦や両親、総勢8名の来客がありました。

玄関ドアを開けた瞬間、Sさんは絶望します。

「冬の靴って、大きいんですよね。女性陣のロングブーツや、子どもたちの雪用ブーツが玄関のタタキ(土間)を埋め尽くして、足の踏み場がないんです。靴を脱ぐ場所すらない状態でした」

さらに深刻だったのが「コート」です。

冬の重装備であるダウンジャケットやウールのコートは、かさばる上に、外の埃やウイルスがついています。

しかし、玄関にはコート掛けがありません。

「まさかリビングに持ち込むわけにもいかず……。結局、玄関ホールの手すりや、リビングのソファーの上に山積みにするしかありませんでした。せっかくの新築披露なのに、部屋中が服の山で生活感丸出し。恥ずかしくて顔から火が出そうでした」

一級建築士が見る“冬の玄関”の必要機能

Sさんの失敗は、玄関を「靴を脱ぐ場所」としか捉えていなかった点にあります。

特に冬場、玄関には以下の機能が求められます。

1、アウターの一時保管
花粉やウイルス、雪がついたコートを室内に持ち込まないための「コートクローク」は、今や必須級の設備です。

2、ブーツや長靴の待機場所
高さのある冬靴は、普通の下駄箱には入りません。土間続きの収納(シューズクローク)がないと、これらは冬の間ずっと玄関に出しっ放しになります。

「誰か来る日」を想定できるか

Sさんは現在、玄関の壁に後付けのフックを取り付けましたが、狭い通路に服がぶら下がり、通るたびに邪魔だといいます。

「たった半畳でもいいから、土間収納を作っておけばよかった。そうすれば、ブーツもコートもベビーカーも、全部隠せたのに」

玄関は家の“顔”です。特に人が集まる年末年始、その家の「収納力」の真価が問われます。

これから間取りを考える方は、「正月に親戚が5人来たとき、その靴とコートをどこに置くか?」をシミュレーションしてください。その答えが「ソファーの上」なら、Sさんのような末路を辿ることになるでしょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。