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NHK大河女優、一転で反響「見応えありすぎ」敵役で魅せた“圧巻の演技力”と“身体性”『赤影』

  • 2025.12.19

ダンス&ボーカルグループ・FANTASTICSの佐藤大樹主演、テレビ朝日系『仮面の忍者 赤影』において、物語の核とも考えられる復讐者・黒影が本格的に動き出す。演じるのは、映画や大河ドラマでも存在感を放ってきた女優・山田愛奈。静かな家族のぬくもりをまとった少女・百合から、怒りと哀しみを宿す忍者・黒影への変貌は、観る者の胸に迫る。復讐の道に身を投じた女忍者の美しくも切ない覚醒。その背景にある父娘の絆、そして山田の凛とした佇まいに、心が揺さぶられる。

※以下本文には放送内容が含まれます。

父の死が、“黒影”を生んだ

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『仮面の忍者 赤影』第5話より(C)テレビ朝日

SNS上でも「見応えありすぎる」「毎話おもしろい」と評判の『赤影』。とくに最新話にかけて、黒兵衛(唐橋充)の死により、娘・百合が黒影へと覚醒するまでの過程が、濃密かつ繊細だ。赤影(佐藤大樹)への誤解、父を救えなかった無力感、幻妖斎への復讐心。あらゆる感情が、百合の内面に複雑に絡み合い、ついにその名を黒影と変えるに至る。父を失った哀しみが怒りに転じ、それは彼女の眼差しに宿る鋭さとなって現れる。

ここで注目すべきは、山田愛奈がこの過程をセリフだけではなく、表情と所作で合わせて語っていることだ。静かに父の最期と向き合い、忍びとなることを決意した瞬間、その覚悟の強さ。どのカットにも、彼女の演技力と身体性が宿っていた。百合はあくまで、黒兵衛の娘だった。家族とともに穏やかな日常を送り、控えめで健気な印象を視聴者に与えていた。しかし彼女は黒影として、もうひとつの顔を持つ存在へと変貌する。その落差こそが、山田愛奈の女優としての幅を証明する見どころだ。

百合は、家族のぬくもりをまとった少女。そして黒影は、父の死を背負った復讐者。この両者を、山田はまったく異なる身体感覚で演じ分けている。歩き方ひとつ、目の動きひとつが変わることで、同一人物でありながら別人のように見える。その繊細なスイッチングに、本作に備えて基礎から殺陣を学んだという背景さえ窺える。

アクションよりも心の熱が伝わる殺陣

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『仮面の忍者 赤影』第7話より(C)テレビ朝日

『赤影』は特撮×時代劇というジャンルの特性上、迫力あるVFXやアクション演出が魅力だが、黒影のアクションにはそれとは異なる熱が宿る。山田愛奈演じる黒影の殺陣は、決して派手な動きではない。むしろ一挙手一投足に“ため”があり、あくまで“静”をベースにしている。それが、黒影というキャラクターの哀しみや葛藤をより際立たせている。その動きに至るまでの間とためらい、そして迷い。そうした心の声が、動きに潜んでいるのだ。

黒影となった百合は、赤影を憎んでいる。しかしその憎しみは、幻妖斎によって巧みに植え付けられた誤解に根ざしている。ここにこそ、ドラマとしての残酷さと美しさが同居する。復讐の道を歩むというのは、自分の心を燃やし続けることだ。黒影はその火に照らされながら、いずれ真実に向き合うことになるのだろう。

今後の展開において、黒影=百合がどのように真実と出会い、何を選ぶのか。その過程にこそ、物語の大きな感情のうねりが宿ることは間違いない。そしてそのとき、百合の哀しみは、赤影に、そして視聴者にも届くだろう。

演技の陰影が物語を深化させる

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『仮面の忍者 赤影』第7話より(C)テレビ朝日

近年、山田愛奈は大河ドラマ『光る君へ』などでも注目を集めてきた。今回の『赤影』での彼女は、これまで以上に役をものにしている、と感じさせる存在だ。

単なる敵キャラではない。過去を背負い、誤解のなかで必死に自分の道を見出そうとする黒影というキャラクターは、視聴者の感情を掻き立てる。その陰影のグラデーションを、山田は確かな説得力と静かな美しさで体現している。

物語を変える存在である黒影は、間違いなく、今後の『赤影』を大きく動かすキーパーソンとなるだろう。そしてその立役者である山田愛奈という女優の魅力もまた、ドラマの枠を超えて広がっていくに違いない。


出典:
山田愛奈「仮面の忍者 赤影」で“黒影”を名乗る謎の女に、現場では山本千尋に救われる|映画ナタリー

テレビ朝日系『仮面の忍者 赤影』毎週日曜 深夜0時10分 ※一部地域を除く

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_