1. トップ
  2. 2027年“NHK朝ドラ”、8年前の“代表作”に通ずる設定…「違和感なさすぎて」視聴者をトリコにする“異様な中毒性”

2027年“NHK朝ドラ”、8年前の“代表作”に通ずる設定…「違和感なさすぎて」視聴者をトリコにする“異様な中毒性”

  • 2025.12.17

2027年度前期NHK連続テレビ小説『巡(まわ)るスワン』の脚本に、お笑いタレントで脚本家のバカリズムが起用されることが発表され、SNSでは「絶対観る」「楽しみ」など、早くも期待が高まっている。これまで、巧みな会話劇と独特の温度感でファンを魅了してきたバカリズム。そこで今回は、その代表作品のひとつであるドラマ『架空OL日記』(2017年)の魅力を改めて振り返りたい。

バカリズムのOL役に「なぜか違和感ゼロ」

2017年に読売テレビで放送されたドラマ『架空OL日記』は、2006年からバカリズムがOLになりきって綴ったブログをドラマ化したものだ。バカリズム本人がOL役で主役を務める。“私”(バカリズム)は実家暮らしの銀行員で、会社の仲良し4人とともに、上司の愚痴や美容、食べ物のことなど、日常の他愛もない話題で盛り上がる様子を描く。

男性であるバカリズム本人がOLを演じるという異例の設定で話題を呼んだ。唇にリップグロスを塗り、女性銀行員用の制服を着用。家では女子に人気の高いジェラートピケのモコモコ部屋着でくつろぐ姿を見せる。

本来であれば違和感が生まれてもおかしくない設定なのに、なぜか驚くほどスムーズに受け入れられる。これは、脚本が徹底してリアリティに寄り添っているからだ。過度にギャグに寄せたり女性っぽく振る舞ったりせず、淡々と描くことで、かえって自然に見えてくる。バカリズムの自然な演技と脚本の精密さが相まって成功したのだ。

放送当時、SNSでも「違和感なさすぎてびっくりした」「バカリズムが普通にOLに見えてくる」 などの感想が多く寄せられた。

「リアル」「ずっと見ていたい」テンポある会話劇と個性あるキャラが魅力

『架空OL日記』の中心となるのは、私(バカリズム)、マキちゃん(夏帆)、小峰様(臼田あさ美)、サエちゃん(佐藤玲)、酒木さん(山田真歩)ら銀行で働く女性たちの日常だ。

undefined
夏帆 (C)SANKEI

彼女たちの会話は、驚くほどリアル。“酢豚に入っているパイナップル、許せない派か好き派か” や“社内のトイレットペーパーを取り替えている回数” など、本当にささいなことばかり。この日常のしょうもない会話が妙に心地よくて中毒性がある。バカリズム特有のテンポの良いセリフ回しが、まるで自分も混ざっているかのような錯覚を生むのだ。さらにバカリズム演じる私の心の声のツッコミが的を射ていて笑わせてくれる。

また、ほんの数分の会話の中で、キャラクターの性格が自然に浮かび上がってくる作りも秀逸。“スポーツジムのスタッフに間違われるマキちゃん” “漫画を全巻持ってくるサエちゃん” “ゴキブリにも全く動じない小峰様” “マツキヨを略さずに言う酒木さん” 皆愛すべきキャラばかり。派手な事件や大きな展開がないにも関わらず、じわじわとキャラクターへの愛着が増していく構成は、まさにバカリズムの職人技といえる。

SNSでは「会話劇がリアルでおもしろい」「ダラダラしながらずっと見ていたい」「何も起きないけどそれがいい」といった声が多く上がっている。

バカリズム脚本ならではの“何も起こらない日常”に期待

ドラマ全体に漂う独特のゆるさと温度感がクセになる『架空OL日記』。1話約20分程度でサクサク見られ、何度も繰り返し視聴するファンも多い。

そんなバカリズムが脚本を手掛ける2027年の朝ドラ『巡るスワン』は、警察署の“生活安全課”が舞台。派手な事件は起こらず、主人公が市民の相談に寄り添いながら日常を描くという設定は、『架空OL日記』とも通じるものがある。日々の何気ない会話や感情を瑞々しく描くバカリズム脚本ならではの味わいが、朝ドラでもきっと発揮されるはずだ。放送が始まる前に『架空OL日記』を見返し、その独特のテンポと心地よさを再確認してみてはいかがだろうか。