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【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪

  • 2025.11.13

京都といえば、仏像や絵画をはじめとする文化財の宝庫。そこに、今年の8月、新しく仲間入りしたのが「琵琶湖疏水」です。滋賀から京都へと流れる疏水施設24か所が重要文化財に、そのうち5か所が国宝に指定されました。疏水沿線には船に乗ったり、インクラインや水路閣といった新国宝めぐりをしたりして楽しめるスポットが数多くあります。また、水路閣のある南禅寺は紅葉の名所で、付近のご当地名物は湯豆腐。写真を撮ったり、グルメやスイーツを楽しみながら秋の1日を過ごしてみましょう。

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪

「びわ湖疏水船」で滋賀から京都へレトロクルーズ

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
大津港~蹴上は14000円(時期により運航区間、料金が異なる)

滋賀の大津から京都へと流れる琵琶湖疏水。疏水(そすい)とは、人工的に造られた水路のことです。明治期に築かれ、130年以上たった今も琵琶湖の水を京都に運び、水道水、水力発電、観光船などさまざまな形で利用されています。

なかでも、琵琶湖の大津港と京都・蹴上の約9.3kmの間を春と秋の期間限定で運航している「びわ湖疏水船」は、人気のアクティビティです。

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
トンネルを抜けると紅葉のトンネルが迎えてくれる

大津から蹴上は、水の流れに沿ってゆったりのんびりとした感覚。流れに逆らう蹴上から大津へは、エンジンを使い爽快な船旅。楽しい話や冗談を交えながらガイドさんが案内してくれ、歴史や見どころを知ることができます。

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第3トンネルの西口(京都側)には三条実美が揮毫した「美哉山河(うるわしきかなさんが)」

たとえば、明治期に掘削された第1~第3までのトンネルの出入口には、伊藤博文の「氣象萬千」、山縣有朋の「廓其有容」など、琵琶湖疏水の完成を称える言葉が刻まれた扁額が掲げられています。水が流れ出る大津側は文字を掘り下げた陰刻、水が流れ入る京都側は文字が浮き出る陽刻になっているのだそう。

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旧御所水道ポンプ室は、明治期を代表する宮廷建築家・片山東熊と内匠寮技師・山本直三郎の設計

第3トンネルを出ると約2時間の船旅も終わり、蹴上乗下船場に到着します。そこで威厳ある姿を見せるレトロ建築は「旧御所水道ポンプ室」。かつては、京都御所に防火用水を送る「御所水道」に送水をするため、裏の九条山山頂の貯水池に水を圧送するポンプを収めた設備でした。中央にバルコニーを備え、アーチ型の窓を縁取る赤レンガの装飾が素敵です。

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インクラインは、線路跡をたどりながら自由にさんぽできる

船を降りて北へ行くと、一直線にどこまでも伸びる線路。実はここも琵琶湖疏水の一部なのです。蹴上付近は急な坂になっており、とてもではないけれど船が通れる水路を造ることができませんでした。

そこで採用されたのが、船を台車に乗せて運ぶ傾斜鉄道、インクラインです。全長約580mにもなる線路は建設当時世界最長を誇ったといわれ、今回国宝に指定された5か所のうちのひとつです。

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南禅寺船溜横の琵琶湖疏水記念館は、噴水越しに疏水を望む特等席

次に疏水の流れが姿を見せるのは「南禅寺船溜(ふなだまり)」と呼ばれるスポット。昔は、ここで船から荷物を降ろしたり、船頭さんたちが休息をとったそうです。船溜の中央の噴水は、土地の高低差を利用し水圧だけで動作するエコ仕様。電気を使わずに、こんなダイナミックな仕掛けができる知恵に驚きです。

この辺りまでくると南禅寺はすぐ。せっかくなので、少しよりみちをしてみましょう。

紅葉に包まれる絶景「南禅寺」と水路閣

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三門の手前にも奥にも紅葉が群生する

「南禅寺」は、鎌倉時代に亀山法皇の離宮を禅寺に改めた寺院。秋になると参道が深紅に染まり、堂々とした三門を彩るスケールの大きな紅葉が魅力です。

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三門の楼上からは、東に赤く染まる境内、西に色づく京都市街を一望

ちなみにこちらの三門は、藤堂高虎という戦国時代の武将が再建。高虎は2026年の大河ドラマの主人公、豊臣秀吉の弟である豊臣秀長の一番の家臣でもあったので、今年は要チェックの人物ですよ。

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全長93m、高さ9m。裏手の坂を上っていくと水の流れを見ることができる

さらに、南禅寺境内には琵琶湖疏水も流れています。それがこちらの水路閣。古代ローマの建築を彷彿させるアーチ型がリズミカルに連なるデザイン、レンガ造りの風格あるたたずまいはSNSで人気のフォトジェニックな撮影スポットです。

見た目の珍しさについつい目がいってしまいますが、国宝に指定されたばかりの水路閣は、今も琵琶湖の水を京都市内へ届ける現役の水道橋。京に暮らす人たちの日々の生活を支えているのです。

琵琶湖疏水を引き入れた日本庭園「對龍山荘」

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
約1800坪の広大な敷地を約1時間かけておさんぽ

疏水が開通した明治時代、南禅寺の界隈は、政財界の要人がステータスとして競うように別荘を建てた地でした。内閣総理大臣を務めた山縣有朋や、野村家といった財閥の別邸には、東山を仰ぎ琵琶湖疏水の水を利用した日本庭園が築かれ、その多くは作庭家・七代目小川治兵衛によるものです。

そのなかのひとつ、「對龍山荘」は、1896(明治29)年に実業家・伊集院兼常が造営した別荘で、2024年に庭園、2025年に建物内の一般公開が始まったばかり。

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お屋敷から庭園を眺めたり、庭を散策したり多彩な楽しみ方ができる

鯉がゆったり泳ぐ池を中心に広がる日本庭園は、どこを切り取っても絵になる風景。茶室のある静かな一角や、水車小屋が建つ里山の風景など、情景が次々と移り変わります。

滝の音や、小川のせせらぎ、水車の音が聞こえ、いつも水の気配を感じられる点もポイントです。途中には飛び石もあるので、歩きやすい靴で訪れましょう。

「南禅寺 順正」でご当地名物のゆどうふを

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
「ゆどうふ(月)コース」4840円。メインのお鍋は、ゆどうふとゆばから選べる

秋も深まり肌寒い日が続くと恋しくなるのはゆどうふ。「南禅寺 順正」は南禅寺の松並木が並ぶ参道に店を構えるゆどうふの料亭です。

豆腐は、国産大豆から作られる甘味のある豊かな味わい。木綿豆腐でありながら絹ごしのような滑らかな口あたりで、火を通すとさらに柔らかさが増す、ゆどうふ用の豆腐が使われています。シンプルに醤油ダレで味わうのがおすすめです。

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今は、会席料理の客室として使われている順正書院

敷地内の美しい庭園には、国の登録有形文化財「順正書院」が建ちます。もともとは、江戸時代に医学問所として開かれ、当時は大名や文人が集まった文化サロンでもあったそう。食後は、お庭めぐりを楽しみましょう。

おさんぽ途中にほっと一息「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」

【京都・新国宝を訪ねる紅葉さんぽ】琵琶湖疏水で船旅を楽しんだ後は、庭園めぐりや湯豆腐も♪
吹き抜けの天井と大きなガラス窓が開放的で心地よい(写真 太田拓実)

南禅寺参道には歴史ある料亭だけでなく、カジュアルに入れる「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」も。築100年を超える京町家を改装した空間には、古き良き時代の重厚な柱や梁、土壁が残ります。

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「ワッフルプレート シナモンクリーム&チョコレート」831円と、ドリップコーヒー630円〜

シナモンクリームをトッピングした焼きたてワッフルなどのスイーツやハンドドリップのコーヒーで、ひと息ついたり、旅のプランを練ったり。おみやげには、京都限定の刺繍ハンカチ(1544円)などのオリジナルグッズをどうぞ。

滋賀県の大津から船で京都へ向かい、新国宝や紅葉、日本庭園をめぐる旅は明治時代の歴史ロマンがたっぷり。当時は、都が東京へ移り、京に暮らす人びとが新たな街づくりに取り組んでいた頃。琵琶湖疏水の完成は、そんな人びとを勇気づけたといいます。この秋は、先人たちに思いを馳せ、琵琶湖疏水をテーマに旅してみませんか。

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