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「記念日とか興味ない」と嘘をついた俺が、冷めた手料理の前で何も言えなかった夜

  • 2026.3.16
ハウコレ

あの日、テーブルの上で冷めていく料理をただ眺めながら、自分がどれだけ不器用な人間なのか、嫌というほど思い知りました。

予防線という名の嘘

「え、記念日とかマジで興味ないわ。普通の日でよくない?」。あれは本心ではありませんでした。前の彼女が記念日にこだわる人で、プレゼントを渡すたびに「もうちょっと考えてくれない?」「気持ちがこもってない」と言われ続けた経験があります。

だから今の彼女には最初から予防線を張りました。期待されなければ、がっかりされることもない。傷つくくらいなら、最初から何もしない方がいい。そんな後ろ向きな計算が、あの一言の正体でした。

言えなかった「早く帰ってきて」

でも2年という節目を前に、ちゃんとしたいと思ったのです。仕事帰りにスーパーで食材を買い、スマホでレシピを調べながら料理を作りました。パスタとサラダ、ワインも用意して。

けれど「今日は早く帰ってきて」の一言が、どうしても送れませんでした。もし喜んでもらえなかったら。「興味ない」と言った手前、いまさら「実は準備してた」なんて格好がつかない。そんなちっぽけなプライドが、たった一言を飲み込ませたのです。

自分で壊した夜

19時に届いた「今日ちょっと残業になりそう」というLINE。「了解」と返しながら、テーブルの料理が少しずつ冷めていくのを見ていました。21時を過ぎた頃から、焦りが怒りに変わりました。

「今日って何の日かわかってる?」。送った瞬間、自分で自分に呆れました。 興味がないと言ったのは俺のほうなのに。それでも指は止まらず、「今日何時に帰るの」 「ねえ」 「今日って何の日かわかってる?」 「まだ仕事?」 そして最後に—— 「もういいわ」と打ち込んでしまいました。

あの文字を見た彼女が、どれだけ困惑したか。想像するだけで、情けなくなります。

そして...

彼女が帰ってきて、テーブルの料理を見て言いました。「記念日、興味ないって言ったよね?」

まったくその通りでした。何ひとつ言い返せなかった。本当は、「嘘だった。ずっと大事にしたかった」と言いたかった。でもまた、伝えるべき言葉を飲み込んでしまった。

「興味ない」と嘘をついた自分も、それを信じた彼女を一方的に責めた自分も、どちらも情けなくて仕方がありませんでした。

(20代男性・エンジニア)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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