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119番通報で「蚊に刺されて痒い」東京消防庁からの“切実なお願い”に反響「発令させていただきます」

  • 2025.11.27
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

東京消防庁が「救急車ひっ迫アラート」を発令しています。「救急車ひっ迫アラート」とは、救急要請が増加して救急出場体制のひっ迫度合いを伝えるとともに、救急車の適時・適切な利用を訴えかけることを目的としたアラートのこと。

令和6年中の救急出場件数は93万5千件を超え、3年連続で過去最多を更新しました。特に11月後半から12月にかけては救急需要が急増する時期です。真に救急車を必要とする方のために、適切な利用が求められています。

冬季に急増する救急車要請…過去最多を更新

東京消防庁が2月10日に発表したデータによると、令和6年中の救急出場件数は93万5,162件(速報値)に達しました。これは令和4年から3年連続で過去最多を更新する記録です。救急車が現場に到着するまでにかかる平均時間は8分59秒ですが、要請が多い場合は遠くの救急車が出動することになり、さらに時間がかかります。

日別の救急出場件数で歴代上位10日間のうち、8日間が令和6年中の夏季と冬季に集中しています。背景には高齢化社会の進展があり、10年前と比較すると東京都の総人口は3.0%増にとどまる一方、救急搬送人員は18.5%増と大きく上回っています。特に75歳以上の後期高齢者の搬送は全体の42.7パーセントを占め、10年間で44.6%も増加しました。

「蚊に刺されて痒い」「ヘルパーが来ない」不適切な利用事例

令和6年中に救急搬送された方のうち、軽症と判断された割合は52.8パーセントと半数以上を占めています。119番通報の約2割は、明らかに緊急性のない問い合わせです。実際に報告されている不適切な利用事例には、次のようなものがあります。

  • 蚊に刺されて痒い
  • ヘルパーさんを呼んでも来なかったから
  • 今診療している病院を教えて欲しい
  • 電気が消えなくなった
  • タクシーがつかまりません。救急車をお願いします

驚くべき内容が多いのですが、こうした問い合わせが少なくないのが現状なのです。

こうした状況を受け、東京消防庁は令和5年7月1日から「救急車ひっ迫アラート」の運用を開始しました。救急車の出場率が90パーセントを超えるなど、非常編成の救急隊の出動が必要となる場合に発表されるもので、今朝も発令されています。

本当に緊急の時は迷わず119番を

不適切な利用を避けることは大切ですが、本当に緊急性がある時に救急車を呼び控えてしまうことは避けなければなりません。東京消防庁は「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、次のような症状を挙げています。

【成人の場合】

  • 意識がない、またはおかしい
  • 呼吸困難、息が苦しい
  • 胸や背中の激痛
  • 顔半分が動きにくい、しびれる
  • 突然の激しい頭痛
  • 冷や汗を伴う強い吐き気

【子どもの場合】

  • けいれんが止まらない
  • 意識がない、またはおかしい
  • 激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう
  • 唇の色が紫色で呼吸が弱い

【高齢者の場合】

  • 突然の激しい頭痛
  • 突然の高熱
  • 支えなしでは立てないぐらい急に力がぬける

いずれも一刻を争う大きな病気の可能性があります。こうした症状が見られる場合は、ためらわずに119番通報してください。救急車の適切な利用とは、「本当に必要な時に確実に呼ぶこと」も含まれるのです。

出典:救急車を上手に使いましょう(総務省消防庁)

迷った時は#7119へ相談を

救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合には、「東京消防庁救急相談センター(#7119)」や「東京版救急受診ガイド」を活用しましょう。#7119は24時間365日体制で、看護師や保健師などの専門スタッフが病気やけがの緊急度についてアドバイスをしてくれます。症状に基づいて救急車の必要性や受診可能な医療機関を案内してもらえるほか、緊急性が高い場合はそのまま119番へつないでもらえます。

また、「東京版救急受診ガイド」は、スマートフォンから症状に応じた質問に答えることで、救急車を呼ぶべきかの緊急度判断ができるウェブサービスです。緊急性がなく自分で病院に行ける場合は、公共交通機関や民間救急車の利用も検討しましょう。

真に必要とする人のために

救急車は限りある医療資源です。不適切な出動に使われている間、本当に救急車を必要としている方のもとへの到着が遅れてしまいます。緊急性がある場合は迷わず119番を、判断に迷う場合は#7119を活用してください。

真に救急車を必要とする方のもとへ、一刻も早く救急車が到着できる社会を、私たち全員で守っていきましょう。


参考:
救急車ひっ迫アラート(東京消防庁)
救急お役立ち ポータルサイト(総務省消防庁)
救急出場件数が3年連続で過去最多を更新(東京消防庁)
その通報、本当に119番ですか?(東京消防庁)


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