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「実家の母が携帯ショップで勧められて…」 70歳以上の相談が2倍のデータ、“実質無料”の落とし穴に警鐘

  • 2025.11.30
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

国民生活センターは11月19日、据え置き型Wi-Fiルーターに関するトラブルが増加しているとして、消費者への注意喚起を行いました。

「実質無料」と言われて契約したものの、解約時に高額なルーター本体代金を請求されるケースや、電波状況が悪くつながらないといったトラブルが相次いでいます。

特に70歳以上の高齢者の相談割合が2020年度の11.3%から2025年度(9月末時点)には28.8%へと2倍以上に上昇しており、注意が必要です。

「実質無料」の落とし穴 70歳以上の相談が2倍以上に

据え置き型Wi-Fiルーターは、コンセントに挿すだけでインターネットが利用できる機器です。光回線と異なり工事が不要なため、手軽にネット環境を整えられる点が特徴です。

しかし、全国の消費生活センターには「『実質無料』と言われ契約したが、通信料金がかかると聞いていなかったので解約したところ、ルーター本体の代金を請求された」「スマホの使い方を聞きに行っただけなのに、よくわからない箱を2つ渡され、2台分の据置型Wi-Fiルーターの契約をさせられていた」といったトラブルが寄せられています。

相談件数は2024年度に1,164件に上り、2025年度も9月30日までに573件の相談があり、前年同期の458件を上回るペースです。

特に深刻なのは、契約当事者に占める70歳以上の割合が急増している点です。2020年度は11.3%でしたが、2025年度には28.8%まで上昇。高齢者を中心にトラブルが広がっています。

販売形態別では、店舗購入が57.7%と約6割を占め、電話勧誘販売が19.2%、通信販売が13.1%と続いています。

実際のトラブル事例

国民生活センターが公表した事例では、以下のようなケースが報告されています。

【事例1】「実質無料」と言われたが通信料の説明なし
70歳代の男性が携帯電話ショップで「ルーター本体は約7万3,000円(36回払い)だが、毎月約2,000円を割り引くので実質無料」と言われて契約。しかし後日、通信料金が約5,000円高くなっており、解約を申し出ると「3年間継続すれば無料だが、中途解約する場合は本体代金を支払ってもらう」と言われました。

【事例2】既存のネット環境があるのに重複契約
70歳代の男性がスマートフォンの相談で訪れた携帯電話ショップで、「携帯料金が安くなる」と言われ、何の契約か分からないまま承諾。料金を確認すると5,000円位だったのが1万円以上になっており、据え置き型Wi-Fiルーターを契約していたことが判明。自宅には以前から別のWi-Fi環境がありました。

【事例3】2台も契約させられていた
80歳代の女性がスマートフォンの使い方を聞きに行っただけなのに、「これを持って行ってくれ」と白い箱を2つ渡され、何の説明もなかったため無料と思っていたところ、据え置き型Wi-Fiルーターを2台契約させられていました。
出典:コンセントに挿すだけで使える据置型Wi-Fiルーターが"実質無料"?-途中で解約するとルーター本体代金の支払いが必要に-(国民生活センター)

国民生活センターは、相談事例の分析から以下の問題点を指摘しています。

まず、本体代金・通信料金の説明不足が挙げられます。「実質無料」という言葉だけが強調され、月々の通信料金や割引条件の説明が不十分なケースが多く見られます。

また、利用実態の確認不足も問題です。既存のネット環境を確認せず、重複契約をさせている事例が報告されています。

電話勧誘においては、契約前の説明書面が交付されないケースもあります。電気通信事業法では説明書面の交付が原則となっていますが、これが守られていない場合があります。

さらに、通信速度について誤解を招く説明がされている点も指摘されています。必ず速くなるかのような説明をしていますが、実際は回線の混雑状況や通信環境により速度は変化します。

SNSでも被害報告が相次ぐ

X(旧Twitter)上でも、同様のトラブルに関する投稿が見られます。

「c実質無料って言われたらしいけど、解約したら本体代を請求されて困ってる」といった家族の被害報告や、「祖父がよく分からないまま2台も契約させられていた。高齢者を狙った悪質な販売方法だと思う」という声が上がっています。

また、「電話で勧誘されて月3,000円って聞いてたのに、届いた契約書見たら全然違う金額だった。説明書面ももらってない」「据え置きWi-Fiルーターの契約トラブル、周りでも増えてる気がする。家族や友人にも注意喚起しないと」といった投稿も見られ、問題の深刻さが伺えます。

消費者へのアドバイス

国民生活センターは以下の注意を呼びかけています。

契約前には、自宅のネット環境の有無とデータ使用量を確認することが重要です。月額の請求合計金額だけでなく、通信料金・本体代金・解約金も確認しましょう。「実質無料」という言葉だけで判断せず、具体的な金額と条件を確認することが大切です。

トラブルが起きた場合は、キャンセル・解約したい場合はすぐに契約先事業者に申し出てください。通信サービスは「初期契約解除制度」または「確認措置」の対象となります。不安な場合は消費者ホットライン(188番)に相談しましょう。

据え置き型Wi-Fiルーターは便利なサービスですが、契約内容を十分に理解しないまま契約すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。特に高齢者の方は、家族と一緒に契約内容を確認するなど、慎重に判断することが重要です。


参考:コンセントに挿すだけで使える据置型Wi-Fiルーターが"実質無料"?-途中で解約するとルーター本体代金の支払いが必要に-」(国民生活センター)


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