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「絶対にありません」元警察官が断言 『ニセ警官』が使う“典型的なセリフ”とは?

  • 2025.11.16
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出典:photoAC(写真はイメージです)

昨今、警察官を装った特殊詐欺や、自宅や電話・オンライン上で「警察です」と名乗る不審な連絡が増えています。

なかには、AI合成技術で作られた顔写真や身分証を見せて信用させようとする手口もあり、「本物かどうか見抜ける自信がない」と不安を抱く人も多いのではないでしょうか。

この記事では、元警察官で防犯アドバイザーを務めるりょうせいさん(@ryosei_bouhan)に、「ニセ警察官の狙い」と「だまされないための行動」について詳しく教えてもらいました。

ニセ警察官かもと思ったら「話し込まない」

まず、「ニセ警察官かも?」と思ったときに最も大切なのは、“話し込まないこと”だとりょうせいさんは指摘します。

特殊詐欺やニセ警察官を名乗る詐欺の多くは、会話を続けさせることで信ぴょう性を高める仕組みになっており、犯人はあらかじめ練り込んだシナリオを用意し、同じやり取りを何人にも繰り返しているそうです。

こちらが話を聞けば聞くほど、“本物っぽく”思わせる材料を次々と出してくる構造になっている、と説明します。

さらに詐欺犯に共通しているのが、「電話を切らせない」という点だといいます。

「電話を切ったら逮捕される」「今切ると手続きが無効になる」といった言葉であの手この手で引き延ばし、冷静に考える時間を与えないようにしてくるのだそうです。

「電話を切っただけで逮捕されることはありません。それに逮捕する前に『あなたは逮捕されますよ』と連絡することもありません」とりょうせいさんは説明します。

AI技術を使って偽造するケースも

また、近年ではAI技術を使って顔写真や身分証を偽造するケースも出てきており、一見すると本物そっくりに見えることもあります。

ですが、画面越しの情報を“本物の証拠”として信じ切ってしまうのは危険。「顔写真や証明書を送ってきたから本物だ」と思い込まないことが大切だといいます。

そのうえで、りょうせいさんは「取るべき行動は、『変だな』と思った瞬間に電話を切ること」だと強調します。

逆に、「失礼になってはいけない」と遠慮して話を続けるのはNGで、詐欺の世界は“早く電話を切ったもの勝ち、遠慮した人が騙される世界”だと説明します。

迷ったときはすぐに警察署へ相談するか、家族や知人に確認してほしいと呼びかけます。

ニセ警察官の目的は一貫して「お金」、不安をあおるセリフに注意

そもそもニセ警察官は、最終的に何を狙っているのでしょうか。

りょうせいさんによると、ニセ警察官が登場する目的の多くは「金銭をだまし取る詐欺」であり、主な狙いは現金・キャッシュカード・暗証番号などだといいます。

手口としては電話を使うケースが主流ですが、近年ではオンライン通話を悪用するケースも増加。制服姿で現れたり、画面越しに警察手帳を見せたりして信頼させようとするのが特徴だと説明します。

ただし、本物の警察官がオンライン上で事件説明を行うことは「絶対にない」とりょうせいさんは断言します。

また、自宅への訪問や電話だけでなく、「近くで事件が起きている」などと路上で声をかけてくるケースも見られるといいます。

ニセ警察官が口にしがちな典型的なセリフとして、「逮捕される可能性があります」「今切ると手続きが無効になります」「あなたの口座が犯罪に使われています」「これから現金を預かりに伺います」といったフレーズを挙げます。

なかでも、“逮捕”をちらつかせて不安をあおる発言が目立つそうです。

一方で、本物の警察官が「逮捕を避けるための条件」を提示することはありません。逮捕は必要な条件が整って初めて行われるものであり、事前に「逮捕されますよ」と個別に知らせることもないといいます。

そのため、「〇〇しないと逮捕される」といった言葉が出た時点で、ニセ警察官のサインだと判断して間違いないと強く指摘します。

「本物かもしれない」と信じてしまうと…被害は想像以上に大きい

では、「本物の警察官だ」と信じ込んでしまうと、どのような事態に発展するのでしょうか。

りょうせいさんによると、最も多いのは詐欺被害で、ニセ警察官がキャッシュカードを預かったり、暗証番号を聞き出したりして、口座から現金を引き出されるケースが非常に多く発生しているといいます。

一度渡してしまえば取り返すのは難しく、被害額が数百万円規模にのぼることもあるといいます。

もう一つ見落とされがちなのが、個人情報の流出です。

住所や家族構成、勤務先などを話してしまうと、その情報が犯罪グループ内で共有され、次の詐欺や別の手口に利用される危険があるのだとか。

いわば「名簿化」されてしまうことで、電話やメール、訪問といった形で何度も狙われるおそれがあるのだそうです。

こうした被害の背景には、「本物かもしれない」という心理を突くニセ警察官の常とう手段があります。

「たとえ制服を着ていても、警察手帳を見せられても、少しでも不審に感じたらその場で応じず、いったん電話を切るか、警察署へ直接確認すること」

それが、次の被害を防ぐ最も確実な方法だとりょうせいさんは強調します。

不審を覚えたら「すぐ切る・すぐ確かめる」を習慣に

ニセ警察官を名乗る詐欺は、AI合成やオンライン通話などを取り入れ、ますます巧妙になっています。

彼らは長く話をさせ、不安をあおり、「逮捕」をちらつかせながら、現金やカード・暗証番号、さらには個人情報を引き出そうとします。

「失礼になってはいけない」と遠慮して会話を続けることこそが、最大のリスクです。

少しでも違和感や不安を覚えたら、ためらわずに電話を切り、自分で調べた警察署や家族・知人に相談する。

「不審を感じたら話を続けない」という習慣を心がけるようにしましょう。


監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。
現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。 


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