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「金曜の夜に“事故が多発”するのは…」元警察官が明かす、『開放感』だけではない“意外なワケ”

  • 2025.11.14
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出典:photoAC(写真はイメージです)

1週間の仕事や学校がようやく終わり、「やっと休みだ」と気持ちがゆるむ金曜の夜。

多くの人にとって特別な時間ですが、元警察官で防犯アドバイザーのりょうせいさん(@ryosei_bouhan)は、この“開放感”こそが事故を生みやすい最大の要因だと指摘します。

金曜夜の街で何が起きているのか。そして、私たちはどう注意すべきなのか。

りょうせいさんの現場経験をもとに、その「意外な理由」と対策を教えてもらいました。

「開放感」が事故のリスクに?

りょうせいさんは、警察官として勤務していた頃、金曜の夜になると交通量も人の動きも目に見えて増えることを体感してきたといいます。

飲み会や買い物、週末の予定などが集中し、街全体が慌ただしくなる時間帯。それに伴い、事故も急増するという実態があります。

「金曜の夜は、1週間の仕事や学校が終わり『ようやく休みだ』と気持ちが緩む時間帯です。この開放感こそが事故のリスクを高める一因だと感じます」とりょうせいさんは話します。

平日のあいだは「遅刻しないように」「ミスをしないように」と緊張状態が続いていますが、金曜の夜にはその糸がふっと切れ、注意力が一気に低下するのだそう。

運転中に「もうすぐ家だから」「慣れている道だから」と油断したり、歩行者が「車少ないし渡っちゃおう」と軽く判断してしまう場面は、現場でも多く見られたそうです。

さらに、週末特有のイベントや飲み会に向かうため時間に追われたり、友人との連絡のためスマートフォンを操作しながら移動したりと、普段よりも“ながら行動”が増え、こうした小さな油断の積み重ねが意外にも事故につながるそうです。

「金曜の夜は体よりも“心”が休みモードに入る時間。だからこそ、少しだけ意識を引き締めることが週末を安全に迎えるための最初の防衛策になります」と話します。

現場で見てきた“金曜の夜らしい事故”の実態

金曜の夜に増える事故の中でも、りょうせいさんが最も多く対応してきたのが、飲酒が絡むケースでした。

車の飲酒運転だけでなく、自転車でも同じことが起こりうるそう。

酔った状態での自転車運転は違反になることはもちろん、酔った状態ではバランスが崩れやすく、転倒や歩行者への接触といった事故が発生しやすくなるそうです。「少しだけだから大丈夫」という油断が招く典型例だと強調します。

そして、意外にも見落とされやすいのが、歩行者側の飲酒による事故。路上で寝てしまった人が走行中の車と接触してしまう事例もあるそうです。飲酒により判断力が鈍くなるため、信号無視や無理な道路横断も増え、事故の危険性は一気に高まります。

また金曜夜は、落とし物や置き忘れの届け出も急増するとのこと。財布やスマートフォン、バッグをどこかに置いたまま帰宅してしまうケースはもちろん、路上で寝ている間に財布を盗まれたり、カバンの中身を抜き取られる被害も後を絶たないといいます。

お酒により気が大きくなり、些細な口論から暴行や器物損壊へ発展することもあり、「楽しい週末のはずが、ほんの少しの気の緩みでトラブルに変わってしまう」と、実際の現場を知るりょうせいさんだからこそ重く響く言葉を話してくれました。

金曜の夜を安全に過ごすためにできること

りょうせいさんが「1週間の中で最も緊張感を保つべき時間」と位置づけるのが金曜の夜です。飲酒による事故が多いということは、車も歩行者も普段以上に不規則な動きをする可能性が高く、予測しにくい状況が多発します。

特に夜間は注意していただきたい、とりょうせいさんは強調します。視界が悪くなるため、車通りが少ないとついスピードを出してしまいがちですが、歩行者側も「車がいないから大丈夫」と思い込みやすく、双方の油断が重なれば事故に直結してしまうそうです。

もうひとつは、「ながらスマホ」を絶対にしないこと。運転中でも歩行中でも、週末の連絡でスマホを操作する場面は多いものですが、ほんの数秒の視線の逸れが致命的な事故を招く危険性があるそうです。

「金曜の夜こそ、気を抜かない」

これが、りょうせいさんが“もっとも確実な予防策”として挙げる言葉です。

日常の中で意識を少し変えるだけで、金曜夜の事故の多くは防げるといいます。週末を安全に楽しく過ごすためにも、疲れた1週間の締めくくりこそ、いつもより慎重な行動を心がけたいですね。



監修者:りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。
現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。


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