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家具の配達先で、作業員に「壁に絶対に触れないで」と要望する客 カーテンが肩に触れた瞬間…“驚きの反応”に「正直悲しい」

  • 2025.11.15
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは。引っ越し・家財の集配をしているしーやんです。

引っ越しや家財の集配業務の現場では、思わぬ事態に遭遇することがあります。

今回は、お客さんの“きれい好き”が行きすぎて、少し悲しくなったエピソードをご紹介します。

導線すべてに貼られたゴミ袋

ある日、家財の集配作業をしていた日のことです。

「お客さんに渡すだけ」の作業が多かったその日は、私を含め作業員の作業着は汚れらしい汚れは付いていませんでした。

その日の午後、女性のお客さんに家具を配達する作業がありました。

家具は合計3点あり、全て白を基調としたかわいらしいデザイン。

「きっとかわいらしい物がお好きな方なんだろうな」と思いながらインターホンを鳴らすと、お客さんがドアを開けてくれました。

いつものように「失礼します!」と笑顔で元気に挨拶して、玄関に足を踏み入れたその瞬間、目の前に広がった光景に思わず息をのみました。

玄関からリビングまでの導線の床と壁に、透明のゴミ袋がびっしりと貼られていたのです。

まるで壁も床も“養生材”で覆われているかのようでした。

ゴミ袋で覆っているにもかかわらず、お客さんは私たちが部屋に入るとすぐ、「壁には絶対に触れないでください」ときっぱりおっしゃいました。

搬入する家具はどれもサイズが大きい上、廊下は狭い。

「傷をつけず、汚さず、ぶつからず」普段から心がけていることですが、この現場ではいつも以上に神経をすり減らしました。

カーテンに触れた瞬間…!

搬入は2人1組で進めました。

壁に触れないよう、声を掛け合いながら慎重に家具を運んでいましたが、後ろ向きに進んでいた私の肩が窓のカーテンにかすってしまいました。

その瞬間、背後から、

「きゃー!」

という叫び声が。

私の肩がカーテンに触れたことにお客さんが叫び、現場全体が一瞬静まり返りました。

カーテンに汚れはついていませんし、そもそもほとんど触れていません。

私たちは「すみません」と言い、家具を持ち替え、壁にも布にも一切触れないよう慎重に搬入を続けました。

たった数メートルの距離を進むだけなのに、まるで何十メートルもの道のりを歩くような気分でした。

床に寝そべる組み立て作業の試練

搬入を終えると、次は組み立て作業です。

家具の中には、購入店舗で「組み立てオプション」を依頼されていたベッドも含まれていました。

フレームの部品を支えながらネジを止めていく工程では、どうしても床に寝そべる体勢になります。

「すみません、マットを敷いて床に体をつけて作業させていただきます」と伝えると、お客さんは一瞬顔をこわばらせました。

清潔なマットを敷き、工具と部品を整理して、慎重にネジを締めていきました。

途中で、意外な変化がありました。

お客さんが突然近づいてきて、「次、このネジですか?」と手渡してくれたのです。

最初は「触れてほしくない」とまで言っていたのに、いつの間にか作業を手伝ってくれていました。

「早く終わらせてほしい」という気持ちだったのかもしれませんが、作業員はみんな少しほっとしました。

清潔さと信頼を両立する現場づくり

今回のように、きれい好きなお客さんもいらっしゃいます。

私たち作業員は常に清潔な作業着を身に着け、靴下を履き替え、汗や汚れにも気を配っていますが、感覚や価値観は人によって違います。

それでも、「作業員=汚いもの」という印象を持たれてしまうことがあるのは、正直悲しいことです。

お客さんの不安をできるだけ取り除き、お客さんも作業員も気持ちよく作業を終えられるように、服装だけでなく立ち振る舞いに注意し、挨拶や手順の説明を丁寧にするなど、誠実に作業を続けていきたいと思います。


ライター:しーやん

現在は日本語教師をしながら、ライター業、引っ越し・家財の運搬業務をしております。鉄道、受付、テーマパークなど様々な業種で培った経験をもとに「正しい日本語で心に刺さる文章を」をモットーに執筆中。


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