1. トップ
  2. 屋台の店舗「PayPay使えます」→よく見ると“決済用”ではなく“個人のQRコード”…規約違反になる?【弁護士が解説】

屋台の店舗「PayPay使えます」→よく見ると“決済用”ではなく“個人のQRコード”…規約違反になる?【弁護士が解説】

  • 2025.11.28
undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

近頃、地域のお祭りやフリーマーケットなど、小規模なイベント会場でもキャッシュレス決済が普及してきました。現金のやり取りが不要で便利な一方、スマホ決済の仕組みについては意外と知られていないことも多いようです。

SNS上でしばしば「屋台でPayPayのQRコードを掲示していたけど、よく見たら『個人間送金用』だった」「フリマでPayPay払いがあったけど、『個人間送金用』だった。これって規約違反じゃないの?」といった声が上がります。

はたして、屋台での個人間送金QRコード利用は、法律上どのように扱われるのでしょうか?気になる疑問について、弁護士に詳しく話を伺いました。

個人間送金QRコードでの代金受け取り…何が問題?

PayPayには大きく分けて2つの決済方法があります。1つは加盟店として正式に登録した店舗が使う「加盟店決済」、もう1つは友人同士の割り勘などに使う「個人間送金」です。

問題となっているのは、後者の「個人間送金用QRコード」を屋台や飲食店が、商品代金の受け取りに使っているケースです。PayPayの公式Webサイトでは、「商品代金の授受に個人アカウント(送金機能)を使うことは規約違反」と明記されています。

しかし実際には、個人アカウントのQRコードを掲示している出店者が目撃された例も少なくないようです。

規約違反と法的リスクについて、弁護士が詳しく解説

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

---イベントの屋台などで、PayPayの「個人間送金用QRコード」を掲示して代金を受け取ることは、PayPayの利用規約に違反しますか?また、違法行為にあたる可能性がありますか?

寺林弁護士:

イベント屋台などで「個人間送金用QRコード」を掲示して商品代金を受け取ることは、PayPayの利用規約に違反します。ただし、直ちに刑事罰の対象となる違法行為ではなく、主に「契約違反」としてPayPay側から利用停止等の措置を受けるリスクがあります。

1、PayPay利用規約上の位置づけ

・個人間送金機能は営利目的での使用禁止
PayPayは「個人間送金」を友人同士の割り勘や送金など、非営利の用途に限定しています。商品販売やサービス提供の代金受領に使うことは規約違反です。

・加盟店規約違反の具体例
個人アカウントで商品代金を受け取る行為やQRコードをネット上に公開して販売に利用する行為は、加盟店規約違反として、加盟店サービスの停止やポイント付与取り消しなどのペナルティを受ける可能性があります。

2、違法性の有無

・刑事罰の対象ではない
個人間送金を商品販売に使うことは「規約違反」であり、刑法や特別法で処罰される行為ではありません。したがって「罪に問われる」ことは通常ありません。

・民事上のリスク
PayPayとの契約違反により、アカウント停止や売上金の入金拒否などの不利益を受ける可能性があります。さらに、消費者との間でトラブルが発生した場合、PayPayは規約違反利用に関して責任を負わないため、店舗側が全責任を負うリスクがあります。

3、消費者側の注意点

・消費者が「個人QRコード」に送金して支払った場合、決済履歴は「送金」扱いとなり、通常の加盟店決済のような保護やキャンペーン適用が受けられません。

・万一トラブルが起きても、PayPayは規約違反利用に関して補償しないため、消費者もリスクを負うことになります。

買った側も規約違反になる?

---買う側が、店が提示している「個人間送金用QRコード」に支払い目的で送金することは規約、法律に違反していますか?

寺林弁護士:

先述の通り、商品販売代金を受け取るために個人QRコードを掲示する行為は店舗側の規約違反ですが、消費者が送金する行為自体は「友人に送金する」機能と同じ仕組みであり、規約上「禁止されている行為」には該当しません。つまり、消費者が規約違反に問われることはありません。

また、消費者が送金する行為は、通常の送金機能の利用にすぎず、刑法や特別法で処罰されるものではありません。したがって「罪に問われる」ことはありません。

消費者が送金した場合、決済は「送金」扱いとなり、通常の加盟店決済と異なり、キャンペーン適用や購入者保護制度の対象外となります。万一商品が渡されないなどのトラブルが起きても、PayPayは補償しないため、消費者が不利益を被る可能性があります。

支払いを「個人間送金用QRコード」で行うことでのトラブル

---屋台や飲食店、サロンへの支払いが「個人間送金用QRコード」だった場合、支払ってしまうと何かトラブルになる可能性はありますか?

寺林弁護士:

消費者側、店舗側、双方にトラブルのリスクがあります。

1、消費者側のリスク

・購入者保護制度の対象外
PayPayの「個人間送金」は、友人同士の送金を想定しているため、商品購入時の不着やサービス未提供に対する補償制度が適用されません。そのため、商品が渡されない、サービスを受けられない場合でも、PayPayは返金に応じません。

・決済証明が弱い
「送金」扱いになるため、通常の加盟店決済のような「取引証明」が残らず、領収書や決済履歴が曖昧になります。後日紛争になった際に証拠力が弱いという問題があります。

・キャンペーンやポイント付与の対象外
PayPayの還元キャンペーンやポイント付与は「加盟店決済」に限られるため、送金では適用されません。

2、店舗側のリスク

・規約違反によるアカウント停止
個人間送金を商品販売に使うことはPayPay利用規約違反であり、アカウント停止や入金拒否などの措置を受ける可能性があります。

・消費者とのトラブル責任
PayPayは規約違反利用に関して責任を負わないため、消費者から「商品が届かない」「サービスを受けられない」といった苦情があれば、店舗側が直接対応しなければなりません。

・信用失墜
消費者から「怪しい」「正式な加盟店でない」と見られ、信頼を失うリスクがあります。

便利さの裏にあるリスク、正しい知識で安全な決済を

個人間送金QRコードでの代金受け取りは規約違反であり、店舗側にも消費者側にもリスクがあります。トラブル時の補償が受けられない、アカウント停止の可能性があるなど、無視できないデメリットがあります。

店舗側にとっては、正式な加盟店登録をすることで、決済の信頼性が高まり、顧客の安心感にもつながります。多少の手間はかかりますが、長期的に見れば大きなメリットがあるでしょう。

消費者側も、支払う際に表示されているQRコードが「個人間送金用」なのか「加盟店決済用」なのかを確認する習慣をつけることが大切です。特に初めて利用する店舗では、少し注意を払うだけでトラブルを未然に防ぐことができます。

キャッシュレス決済は便利で今後もますます普及していくでしょう。だからこそ、正しい知識を持って安全に利用することが、店舗と消費者双方にとって重要なのではないでしょうか。


参考:
PayPay残高利用規約(PayPay)
加盟店様向けヘルプ(PayPay)

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です

undefined

【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名OK】