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“和製エルメス”が子どもたちに伝えたいこと 北海道のマチで地元産業を知る

  • 2025.10.14

北海道砂川市の小学校で児童たちがレザークラフト=革細工に挑戦しました。

講師を務めたのは、日本のエルメスとも評され、天皇陛下の「即位の礼」で使われた馬具一式を制作した馬具メーカーの職人たちです。

この特別授業が実現した背景には、地域を見つめる職人たちの温かいまなざしがありました。

砂川市の北光小学校を訪れたのは、北海道が世界に誇る、馬具メーカーで革製のバッグや小物などを製造する『ソメスサドル』の職人たち。

「ソメスサドルの商品はどういったものを使っているかといいますと、一番多いのは、実は牛なんです」

子どもたちに話をしているのは、ソメスサドルの野澤大輔さんです。
一流の職人が教えるレザークラフト。
特別授業に込められた”想い”を、深掘りしました。

革製品と「思い出」の共通点

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砂川市では、児童数の減少を理由に、北光小学校を含む6つの小中学校が2026年3月で閉校します。

そこで地元企業「ソメスサドル」の協力を得て、閉校の記念品として『革のパスケース』を作ることになりました。

北光小学校の濱本有未代校長は「やっぱり地元にある会社というのがひとつ。あと革製品って大事にしていくと、ずっとずっと使えるということで、学校がなくなっても、思い出が残るっていうところで今回、ソメスサドルさんにお願いすることになりました」と経緯を教えてくれました。

職人からお誘いも

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全校児童45人が職人の指導のもと、パスケース作りに挑戦します。

「楽しい」と話しながら制作する児童に、「才能はあります。将来はソメスでお待ちしています」と職人さんからお誘いも…!

砂川市に工場を構える日本唯一の馬具メーカー『ソメスサドル』。
一つひとつハンドメイドで作られる革製品には、職人たちの高い技術がつまっています。

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日本の中央競馬で、歴代最多の4600勝を達成した、あの武豊騎手も30年以上、ソメスサドルの鞍を愛用しています。

パスケースが選ばれた理由

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かわって職人たちの姿は、砂川市内の別の小学校にありました。
豊沼小学校の児童たちが作っているのはもちろん『革のパスケース』です。

閉校する6つの小中学校は、2026年4月に開校する小中一貫の義務教育学校「砂川学園」に統合されます。

新しい校舎から自宅が遠い児童はバス通学となるため、春からの通学で使えるパスケースが記念品に選ばれました。

「大事にしたい」「使うのが楽しみ」と児童たちは話します。

豊沼小学校の卒業生でもある職人は「なかなか日常だと、こういう体験ってできないので、こういうものを通して興味を持っていただけたら、我々もうれしく思います」と話してくれました。

地元の産業を知ってほしい

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当初は完成品をプレゼントする案もありましたが、「思い出に残る体験になれば」と児童みずから手作りすることに。
そこには、地元の産業を知ってもらいたいという想いも込められています。

「地元にこういった企業がある、モノづくりをしている会社があるんだっていうことを、子どもたちに1人でも多く知っていただきたい」

ソメスサドル法人事業部の野澤大輔部長がそう話してくれました。

「将来ソメスサドルで働きたいとか、大人になったらソメスサドルの商品持ちたいな、という子が1人でも増えてくれたら、うれしいと思っています」

子どもたちが作ったパスケースは今後、職人が最終仕上げを行い、校章などの刻印を入れて11月頃の閉校の式典などで児童に手渡されるということです。

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子どもたちに地元の産業を知ってもらう

少子化で児童が減るなか、地元の産業を知ってもらう取り組みは各地で行われています。

釧路市の橋りょうメーカー「釧路製作所」

2019年から市と一緒に市内6つの小学校で出前授業を行っています。

「レオナルドの橋」と呼ばれる接着剤や釘を使わずに自立する小さな橋づくりに挑戦するなど、マチを支えるモノ作りを学んでいます。

北海道運輸局

3年前から、江差町教育委員会などと協力して海や船の仕事に興味を持ってもらうため江差町の小学生を対象に、フェリーの体験航海を行っています。

船内で操舵室を見学したり、奥尻町の津波館を見学したりして防災意識も高めています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年9月11日)の情報に基づきます。

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