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「訴えたろかと思った」医師が静かに漏らした一言に、看護師が凍りついたワケ

  • 2025.10.26
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは、現役看護師ライターのこてゆきです。

医療現場では、患者さんへのケアだけでなく、チームで働く中での人間関係に悩む場面も少なくありません。

時には、患者さんの急変対応以上に、同僚や医師とのやりとりに心をすり減らすこともあります。

今日は、私がある出来事を通して目の当たりにした「言葉の重み」についてお話しします。

医師が静かに漏らした本音は、私にとってもチームで働くうえでの価値観を大きく揺さぶる瞬間でした。

看護師から医師への挑発的な愚痴

ある日、ナースステーションで同僚看護師のBさんが医師の前で愚痴をこぼしました。

「先生のあの言い方、ほんとムカつくんですよね…何様なんだろう」

Bさんは、医師がその場にいることを知ったうえで、あえて愚痴を言ったのです。

軽い挑発、あるいはストレス発散の意図もあったのかもしれませんが、医師の立場からすれば侮辱に近いものでした。

医師は無言で書類を見つめ、反応を示しませんでした。その沈黙が逆に重く、空気を張り詰めさせ、ナースステーション全体が微妙に緊張に包まれました。

私には、その沈黙が「何も見なかったことにはできない」という警告のようにも感じられました。

処置中で2人きりの瞬間

数日後、私は患者さんの処置でその医師と2人きりになりました。

Bさんはいません。あの愚痴を言った本人は、現場にはいないのです。

処置中はいつもより静かで、緊張と集中が入り混じった独特の空気が流れていました。

処置が終わる直前、医師はふと低い声でつぶやきました。

「…あの看護師、訴えたろかと思った」

怒鳴るでもなく、苛立ちをあらわにするでもなく、淡々とした口調。しかし、その声には静かな怒りと、深く傷ついた気持ちがにじんでいました。

私は言葉の裏にある感情の重みを感じ、胸がぎゅっと締め付けられる思いでした。

看護師からの謝罪と医師受け止め方

後日、Bさんは医師に謝罪しました。

「先日は軽率な発言をしてしまい、申し訳ありません」

医師はしばらく沈黙した後、穏やかに言いました。

「……もういいですよ」

怒りをあらわにすることはなかったものの、心の奥には確かに距離が残ったままでした。

この出来事は、チームの信頼関係が、たった一言で揺らぐことを私に教えてくれました。

言葉の重みを目の当たりにする

私はその場に立ち会うことで、愚痴の持つ力を痛感しました。

第三者としてその影響を目の当たりにすることは、決して軽くはありませんでした。

私はチームで働くうえで最も大切なのは、技術や知識以上に互いへの敬意であると改めて感じました。

愚痴や挑発的な発言も、たとえ軽く口にしただけでも、相手の心に深く刺さり、信頼関係を揺るがすことがあります。

そして、そうした状況に直面したときにどう行動するか、どう心を整理するかが、チームの雰囲気や安全にもつながるのだと実感しました。

言葉には力があり、誰かを傷つけると、簡単には取り戻せない影響を残す。

だからこそ、発する前に自分の言葉を意識し、敬意を忘れず、責任を持つことの重要性を改めて学んだのです。

静かな怒りの重み

目撃者として、その現場にいた私は、医師の静かな本音を忘れることができません。

怒鳴るわけでもなく、ただ低くつぶやかれた一言。それだけでチーム全体の空気は変わり、信頼関係に影を落とすこともある。

軽い愚痴や挑発も、誰かの心に深く刺さることがあるということを意識してほしい。

そして、自分の発言に責任を持ち、互いに敬意を払うことが、患者さんを守ることにもつながるのです。



ライター:こてゆき

精神科病院で6年勤務。現在は訪問看護師として高齢の方から小児の医療に従事。精神科で身につけたコミュニケーション力で、患者さんとその家族への説明や指導が得意。看護師としてのモットーは「その人に寄り添ったケアを」。


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