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バスの屋根に『謎の傷』 ルートに障害物は無い…→運転士がたどり着いた“まさかの原因”に「愕然としました」

  • 2025.10.26
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは。送迎バス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今回は、15年ほど前にあった1つの思い込みが、バスを傷つけることにつながった出来事をお伝えします。みなさんは、木の横にバスや車を止めるとき、何を考えますか?もしそれが、車両を止める位置だったとしたら…。

「思い込みとは恐ろしい」と、今でも忘れられない出来事です。

いつの間に?身に覚えのないバスの傷

朝の出庫から夕方の入庫まで、バスに全く覚えのない傷を発見したのは、入庫時の点検でした。傷があるのは、左側面の後方部で屋根に限りなく近い場所です。バスの中央よりやや後ろから後部まで、1本の深い傷がついていました。

屋根スレスレになるような場所は運行ルートになく、障害物があったわけでもありません。しかし、出庫時の点検では見当たらなかった傷です。

その日、私が運行していたのは自治体の市内巡回バスでした。バスから離れる時間はあったものの、屋根まで人の手が届くわけがありません。

まるで狐につままれたように感じましたが、会社に報告したところ、翌日バスが接触した場所を調べることになりました。

いくら探しても見つからない「その場所」

塗装が剥がれ、数本の線が入っているため、運行中についた傷なら音で気づくはずです。しかし、運転していた私には全く身に覚えがありません。

「空から何かが降ってきた」

「実は見えないトンネルがあった」

笑い話のようですが、会社でもそのような話題に上がったほどです。同じルートを運行した運転士は、「そんな場所が当たる場所なんてない」とみな口を揃えていたからです。

昨日と同じバスに同乗し、車内からバスのルートをどんなに眺めても、やはり見当たりません。諦めかけたとき、ちょうどお昼休憩となりました。

お昼休憩はバスが停車できるスペースがあり、そのそばにはイチョウの木が植えられています。

「まさか、この木が倒れかかってたりして…」

同僚の運転士と笑ってそのような話をして、イチョウの木に手を置いて体重を預けたときに愕然としました。

予想外の事故

7mほどあるイチョウの木は、自治体が管理している施設に植えられています。高齢者が出入りする施設であり、十分に安全の配慮が整った場所です。

しかし…私が体重を預けたイチョウの木は30度ほど角度を変え、傾いてしまいました。

「いつからそんなに腕力を鍛えたんですか?」

おどけて問う同僚に、やや怒りを覚えながらも、「これか!」と思いました。以前はもう少し直立していたイチョウの木が、私が押したからと言って倒れるわけがありません。同僚とも確認し、やはりイチョウの木がやや倒れていたことに気づき、やっと確信したのです。

倒れかかった木は、枝も垂直に折れ曲がり、ちょうどバスの屋根の位置に当たりそうな位置にあります。木が少々傾いてしまったため、正確には測れないものの、他に思い当たる箇所もなく、会社に報告することにしました。

予測不足の後悔と楽観しすぎた大誤算

自治体にも報告し、翌日にはイチョウの木が撤去され、よく気づいてくれたと感謝の言葉をいただきました。しかし、これは対外的なもので、社内的にはバスに傷をつけた罰則案件です。

上司いわく、「木が倒れてくる予測は困難とはいえ、それでもプロとして予測しなければならない」とのことでした。実はそのとき、私は木が倒れる予測はできないから、社内的な事故の罰則は免れると楽観視していました。

無事故手当の休止に加え事故報告書まで書かなければならず…予測不足だったと痛感した事故として、今でも記憶に残っています。

どのような職業であれ、予測できることは全て予測し、可能な限り回避しなければなりません。

そのときの事故をきっかけに、多方面からリスクを考え、思いもよらぬことが起こる「かもしれない」と思うようになりました。「橋を叩いて渡る」とよく言いますが、叩きすぎるくらいが丁度いいと思いつつ、日々の業務に活かしています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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