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夏より甘い!?秋ナスの栄養と正しい保存法を栄養士ライターが解説

  • 2025.9.14

秋ナスはなぜおいしい?栄養と豆知識を解説

皮に傷がなく、艶やかでハリがあるナスが味が良いとされています。
皮に傷がなく、艶やかでハリがあるナスが味が良いとされています。

まだまだ暑い日が続きますが、季節は秋に移り変わっています。秋に食べたくなる野菜の一つが、「秋ナス」ではないでしょうか。秋ナスは、夏のナスに比べて甘みとうまみが凝縮されているのが特徴です。この記事では、秋ナスが美味しいとされる理由やナスに含まれる栄養について、解説したいと思います。

秋ナスがおいしい理由

夏から秋に収穫される露路栽培のナスは、おいしさが格別。
夏から秋に収穫される露路栽培のナスは、おいしさが格別。

現在はハウス栽培を含めて年中手に入りやすいナスですが、強い日差しを浴びたナスは発色がよく、夏から秋の露地栽培ものは食感や風味がよい利点があります。とりわけ秋ナスは盛夏に収穫されるナスよりも、気温や日差しがやわらいだ環境で育つため、皮と果肉がやわらかく、甘みやうまみが増すと言われています。

ナスに含まれる主な栄養素

ナスに含まれる主な栄養素を解説していきます。

◆体にたまった熱を逃す

「秋ナスは嫁に食わすな」という有名なことわざには「ナスを食べると体を冷やす」ことから、お嫁さんを気遣っているという解釈も。これには一理あり、ナスに利尿作用のあるカリウムが比較的多く含まれるため、体にたまった熱を逃し、暑さバテを軽減する効果が期待できます。ただし、腎臓の持病がある人はカリウムの摂りすぎには注意が必要なので、かかりつけ医の指示に従ってくださいね。

◆老化を招く活性酸素から体を守る

ナス特有の濃い紫紺色をした皮に含まれているのは、ポリフェノールの一種でアントシアニン系の色素「ナスニン」。コレステロールの吸収を抑え、増えすぎると体をサビつかせる活性酸素から守ってくれる働きが注目されています(白ナスなど皮が紫色ではない品種を除きます)。皮をむかなくてOKな料理なら、なるべく皮を残して料理するのがおすすめです。また、皮を鮮やかな紫色に仕上げたい場合は短時間で加熱するか、油をひいて焼くときに皮目から焼いて油でコーティングするのがコツです。

◆消化を助け、生活習慣病の予防にも

ナスには「コリン(コリンエステル)」と呼ばれるビタミンB群に似た働きを持つ成分が含まれています。コリンは神経伝達物質の材料となり、血圧やコレステロールを下げて動脈硬化を防いだり、胃液を分泌して消化を助ける働きがあると言われています。

◆ナスのアクの正体はポリフェノール

ポリフェノールやカリウムの流出を防ぐためにもナスのアク抜きは10分以内を目安に
ポリフェノールやカリウムの流出を防ぐためにもナスのアク抜きは10分以内を目安に

ナスにはアクがあり、切ったまま放置すると切り口が褐色に変わり、えぐみを生じます。このアクの正体はクロロゲン酸などのポリフェノール。ナスニン同様に活性酸素を抑える強い抗酸化作用があるため、アク抜きのために水にさらす時間が長くなるほど栄養成分も溶け出してしまうデメリットも。水にさらす時間は10分以内を目安に。切ってすぐに調理する場合はアク抜きなしでOKです。

ぬか漬けで栄養価アップ

ナスのぬけ漬けが美味しいのは、ぬかに含まれる栄養素がナスに吸収されるため。奥深い!
ナスのぬけ漬けが美味しいのは、ぬかに含まれる栄養素がナスに吸収されるため。奥深い!

ナスと言えば、ぬか漬けを思い浮かべる人も多いでしょう。特別な味付けをしていないのに、漬物にするとナスの果肉が弾力を帯び、味わい深くなるのが不思議ですよね。これは、ぬか床に含まれる乳酸菌やビタミンB群、ミネラルなどが、塩の浸透圧で水分が抜けてスポンジのようになったナスの果肉に吸収されるため。ナスそのものに含まれているビタミンB群がわずかですが、ぬか漬けにするとビタミンB1は約2倍に増えます。

冷やしすぎに注意!ナスの保存方法

ナスは高温多湿を好み、低温と乾燥を嫌います。冷蔵庫で冷やしすぎると、低温障害を起こして種が黒くなり、傷みやすくなります。冷蔵保存する場合はキッチンペーパーなどに包んでポリ袋に入れるかラップで包んでから、野菜室で保存を。暑い時期以外は常温保存することもできます。その場合は風にあてないよう新聞紙に包み、2?3日以内に食べ切るようにしましょう。

※参考文献:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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