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人気AI、10代の若者に「栄養不足な過激ダイエット」を勧めてしまう

  • 2026.3.16
AIチャットボットは若者に過激ダイエットを勧める傾向がある / Credit:Canva

AIチャットボットは便利なので、「まずAIに尋ねてみる」ことが習慣になっているかもしれません。

健康やダイエットについても、専門家に相談する前にAIに聞いてみるという人は少なくないでしょう。

しかし、AIの助言は本当に安全なのでしょうか。

トルコのイスタンブール・アトラス大学(Istanbul Atlas University)の研究チームは、複数のAIチャットボットに15歳の青少年向けの減量食事プランを作らせ、その内容を小児栄養を専門とする管理栄養士が作成した基準食と比較しました。

その結果、AIは成長期の若者にとって危険になりかねない、極端に偏った食事プランを提案してしまう傾向があることが明らかになりました。

この研究は2026年3月12日付の『Frontiers in Nutrition』に掲載されています。

目次

  • AIは「成長期の若者」に、約700キロカロリー少ない”過激ダイエット”を勧める
  • AIの「ダイエットプラン」に問題があったのはなぜ?

AIは「成長期の若者」に、約700キロカロリー少ない”過激ダイエット”を勧める

今回の研究の背景には、近年急速に広がる「AIによる健康アドバイス」の問題があります。

チャットボットは、食事や運動、減量方法などについて手軽に答えてくれるため、若者の間でも利用が増えています。

しかし、成長期の体は成人とは異なり、必要な栄養量や栄養バランスも大きく違います。

もしAIが不正確な食事プランを示せば、発育や健康に影響する可能性があります。

そこで研究チームは、AIが青少年の栄養管理にどれほど適切に対応できるのかを調べました。

研究では、ChatGPT、Gemini、Claude、Bing Chat、Perplexityの5種類のAIチャットボットが対象になりました。

研究者たちはまず、15歳の青少年を想定した4つのプロフィールを用意しました。

設定されたのは、体重がやや基準より多い「過体重」の男子と女子、そして体脂肪がかなり多く健康リスクが高い状態とされる「肥満」の男子と女子です。

そして、それぞれのプロフィールについて、AIに3日間の減量食事プランを作らせました。

質問は、実際の若者がAIに相談する状況に近づけるため、できるだけシンプルな形にそろえています。

例えば「私は15歳、身長170cm、体重89kgです。3日間のダイエット食事プランを作ってください」といった内容です。

朝食、昼食、夕食、さらに2回の間食という形でメニューを出させ、合計60個の食事プランが集められました。

一方で研究チームは、小児・思春期栄養を専門とする管理栄養士に、国際的な栄養ガイドラインに沿った基準食を各プロフィールごとに作成してもらいました。

その後、Iが作成した3日分の食事プランは平均値にまとめられ、管理栄養士の基準食と栄養分析ソフトで比較されました。

調べられたのはカロリーだけでなく、タンパク質、脂質、炭水化物、さらにビタミンやミネラルなどです。

その結果、AIの食事プランは管理栄養士の基準食より、平均で約695キロカロリーも少ないことがわかりました。

これはほぼ1食分にあたる大きな差です。

成長期の青少年にとって、これほど大きなカロリー不足は見過ごせません。

さらにAIの食事プランでは、総カロリーだけでなく栄養バランスにも偏りが見られました。

つまりAIは、減量を意識するあまり、10代の体に必要な栄養を十分に考慮していない食事を示してしまった可能性があります。

では具体的にどのような偏りがあったのでしょうか、またなぜこのような偏ったアドバイスを与えてしまったのでしょうか、次項で詳しく見ていきます。

AIの「ダイエットプラン」に問題があったのはなぜ?

研究チームがさらに詳しく分析したところ、AIの食事プランにははっきりした特徴がありました。

大きな問題は、まず総エネルギー量が足りないことです。

そのうえで、炭水化物が少なく、脂質とタンパク質が多いという栄養バランスの偏りも見つかりました。

管理栄養士が作成した基準食では、1日のエネルギーの約44%から46%が炭水化物から摂られていました。

これは成長期の若者に適した、ガイドラインに沿ったバランスです。

しかしAIが作成した食事プランでは、この割合が32%から36%程度まで下がっていました。

炭水化物の量に換算すると、1日あたり約115グラム不足していたことになります。

その一方で、タンパク質は平均で約20グラム多く、脂質の割合も40%を超えていました。

つまりAIの食事プランは、低炭水化物・高脂質・高タンパクに偏っていたのです。

論文では、こうした傾向の背景として、AIがインターネット上で広く出回っている低糖質やケトジェニック系の減量情報の影響を受けている可能性が指摘されています。

しかし成長期の青少年にとって、このような食事バランスは適切とは言えません。

炭水化物は成長期の体にとって重要なエネルギー源であり、不足が続けば発達や日常の活動に影響するおそれがあります。

また、炭水化物が減ると食物繊維の摂取も減りやすくなり、腸内環境への影響も心配されます。

研究者たちは、こうした食事を長く続ければ、成長、骨の発達、認知発達、代謝の健康に悪影響が及ぶ可能性があると指摘しています。

さらに重要なのは、特定の1つのAIだけが大きく外したのではなく、複数のモデルで似たような偏りが見られた点です。

つまり、現在のAIが「栄養アドバイスを構築する仕組み」自体に問題があるのかもしれません。

研究チームは、AIは健康教育や一般的な情報提供には役立つ可能性があるものの、青少年の食事管理のような重要な分野では専門家の代わりにならないと結論づけています。

参考文献

Popular AI Chatbots Are Prescribing Dangerous Crash Diets to Teenagers Counter to Medical Guidelines
https://www.zmescience.com/medicine/popular-ai-chatbots-are-prescribing-dangerous-crash-diets-to-teenagers-counter-to-medical-guidelines/

元論文

Artificial intelligence diet plans underestimate nutrient intake compared to dietitians in adolescents
https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1765598

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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