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“スマホ認知症”に要注意。脳に負担をかけない使い方とは?【ヴォーグなお悩み外来】

  • 2025.9.13

“スマホ認知症”とは?働く世代に向けての認知症外来

Young doctor talking with woman patient in clinic during visit

ーー “スマホ認知症外来”を日本で初めて立ち上げたきっかけは?

スマホに依存する生活が続くことで、一時的に記憶力や集中力が落ちる“スマホ認知症”。実は、この症状を訴える方が年々増えているんです。高齢者なら認知症外来に行けばいいのですが、20代や30代の若い方にとってはなかなかハードルが高いもの。「物忘れがある」と言うと疲れているせいにされたり、精神科に回されてしまったりするケースも少なくありません。若い世代でも気軽に相談できる専門の場をつくりたいという思いから、スマホ認知症外来を開設しました。

ーー具体的には、どのような治療を行う?

まずは、どんなことで困っているのか、スマホとの付き合い方や生活習慣についてお話を伺います。必要に応じて、記憶力や注意力をチェックする簡単な検査を行うこともあります。その結果をもとに、スマホとのちょうどいい距離感やライフスタイルの見直し方、時間の使い方のコツなどをアドバイス。場合によってはお薬も使いながら、無理なく症状を改善できるようサポートしていきます。

脳の「仕分け作業」が追いつかない現代

Overthinking Brain Concept

ーーそもそもなぜ、スマホを使うと記憶力や集中力が落ちるの?

スマホを長時間だらだら見ていると、脳は情報過多になります。脳は本来「これは大事」「これはそうでもない」と仕分けしながら記憶を整理するのですが、そのためには“ボーッとする時間”が必要なんです。でもスマホを常に見ているとその余白がなくなり、脳は仕分けできずに、“全部どうでもいい情報”として並べてしまう。すると情報が雑多になって必要な記憶が取り出せなくなり、名前が出てこない、約束を忘れる、昨日の晩ごはんが思い出せない…といったことが起こるんです。

“スマホ認知症”危険度をチェック!

Woman reading and texting on smartphone in bed

ーースマホをだらだらと続けていると、誰でも“スマホ認知症”になってしまう可能性がある?

はい、その通りです! なんとなくダラダラと1時間以上スマホを見ていると、スマホ認知症のリスクは高まります。でも、仕事で情報を集めたり、目的を持って調べたりする分には心配ありません。主体的に使っているときは、脳が「これは必要」「これは不要」とフル回転で整理してくれるからです。一方で、受け身で眺めているだけだと、情報がどんどん溜まってしまい、脳の中がごちゃごちゃになりやすいんです。

なお、以下の項目に3つ以上当てはまる方は“スマホ認知症”になる危険度が高いと言われています。注意が必要です。

・スマホはいつも手元にスタンバイ

・知っている人の名前がすぐに出てこない

・最近、漢字が書けなくなった

・覚えておくために写真を撮る

・スマホ以外で調べ物をしない

・いつも睡眠不足状態

・やる気が起きず、興味もわかない

・仕事や家事の段取りが悪くなった

メリハリがカギ!スマホと上手に付き合う方法

Woman analyzing documents while using a smartphone at home

ーースマホは「脳に悪い」と思われがち。本当のところはどうなの?

必ずしも悪いわけではありません。大事なのは使い方。睡眠や食事を削らず、仕事や人間関係に影響が出ていなければ問題ありません。コツはメリハリで、20〜30分使ったら5〜10分休むのがおすすめです。

それから、“スマホに暇つぶしをさせない”こと。どうでもいい情報はスマホで簡単にリサーチしたり記録したりして、逆に心から興味のある建築アートは自分の目でしっかり味わう。そんなふうに「スマホに任せること」と「自分の頭で体験すること」を上手に区別できれば、脳を疲れさせずにスマホといい関係を保てます。

話を聞いたのは……

内野勝行先生

脳神経内科医、金町駅前脳神経内科院長、医療法人天照会理事長。脳神経内科を専門とし、これまで約1万人の患者を診察。2025年6月に、日本初となるスマホ認知症外来をオンラインでスタート。近著に『退屈ボケの処方箋 脳はスマホで若返る』(辰巳出版)など。

Photos: Getty Images Text: Kyoko Takahashi Editor: Kyoko Muramatsu, Yuna Shibata

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